中央最低賃金審議会が、厚生労働大臣の諮問を受けてこの度最低賃金の引き上げについて答申を出しました。
日本の地域をA~Dまでランク付けして、それぞれ、19円、15円、14円、13円引き上げるように答申しています。
Aは、東京、神奈川、愛知、大阪、千葉のいわば大都市圏で、東北地方や九州地方はDになっていて上げ幅は少なくなっています。(厚生労働省サイト参照)
これにより、生活保護費との逆転現象はすべての都道府県で解消されると報道されています。
毎年、新聞では大きく報道されますが、社労士になるまでほとんど気にもとめなかった「最低賃金」、今は、関心をもって見ています。
9月にある足立区の講座で使用する資料を少しずつ作成中です。作成といっても、ご依頼いただいた会社の担当者の方から、「講座の内容は昨年とほぼ同様、資料もポイントがよくまとめられていて、わかりやすく、参加者の評判も良かったので昨年と同内容で」というメールをいただいたので、昨年使ったものをじっくりと読み直しています。
法改正部分や最低賃金など違っている数字を修正してというような作業になります。
また、自分でもこれがちょっと書き足りなかった、逆にこれは必要ないかもしれない、というような事項がでてくるので、それを修正します。
足りなかったと思うのは、労働者の権利全般を説明するところで、労働条件の文書明示、賃金、有給休暇、産前産後・育児・介護休業、解雇・雇止め、労働・社会保険など、結構盛り沢山なのですが、休憩時間について触れていなかったと今さら気がつき、今般は入れることにしました。
対象が、パートタイマー等短時間で働く方だったため、限られた時間を有効に使うために無意識のうちに除外していたようです。
ちょっと前ですが、車で移動中にラジオを聞いていたら、高校野球を長年取材しているフリースポーツライターらしき人がでていて、高校球界はすっかり勝利至上主義で有名校ほどその傾向が強いと語っていました。
ある甲子園出場常連校の試合では、塁に出た選手が相手キャッチャーのサインを盗むなど朝飯前、負けそうになると相手主力打者に故意にデッドボールをするなどをするそうです。
あるとき、ピッチャーと話すキャッチャーの口元を見て「デッドボールだ」と言っているのをみて、試合後、他の第三者とともにビデオで確認すると、やはりそう言っているように見える。実際にデッドボールだったため、そのキャッチャーに直接問いただしたところ、「てめえ、書けるもんなら書いてみろ」と反省の色もなくやくざまがいの態度だったとか。
有力選手をお金を使って連れてくる高校側の態度にも問題があるとか、いろいろと、高校球界の「闇」みたいなことをしゃべっていて、真偽のほどは私にはわかりませんが、興味深かったです。。
指導者の指導の仕方にもかなり問題があるのかなと思いますが、判例集を見ていたら、生徒に丸刈りを強要したテニス部顧問教諭の解雇を有効とした判例がありました。
自営業者や会社等で厚生年金に加入していない非正規雇用の人ながど加入する国民年金は、20歳から60歳まで40年納付すると、65歳から772,800円(平成26年度)が受け取れます。
40年分納付できなかった人については65歳まで任意に加入して満額になるまで保険料を納付することができますし、さらに受給資格の25年に届かない人については70歳まで納付して、受給資格を得ることは可能です。
保険料の納付については、時効が2年なので、納付していなかった分については2年間だけしかさかのぼって納付ができませんでしたが(免除制度を利用した場合は10年さかのぼれる)、平成24年10月から27年9月までの間の特例として、過去10年間分さかのぼって未納分を納付することができるようになり、現在実施中です。
この「後納制度」ですが、効能(ちょっとしたダジャレです)としては受給資格をあらたに得ることができる、受給額をふやすことができる、要するに無年金、低年金の解消ということのようです。
この度、厚生労働省では、来年制度終了期限の後、5年間さらに延長すると発表しました。
当地は今週猛烈な暑さに見舞われ、通勤のために乗った車の外気温度を表す表示が朝から32度でした。この暑さでは、外で仕事している人は本当に大変だろうなと思います。こまめに水分をとり、涼しい日陰で休憩を多目にとる、最近では「塩飴」のようなものもいろいろ売られているので、スポーツ飲料とともにそういうものも利用されるとよいでしょう。
外での作業というと、道路工事、土木・建設現場、清掃、交通整理、植木の剪定などが思い浮かびます。
そのような場合に、「熱中症」になった場合は、労災がすぐに認められるのでしょうか。「業務起因性」、「業務遂行性」を満たしているので、すぐに労災になりそうです。可能性は高いですが、多少の条件があります。
実は、労災となる疾病は、労働基準法施行規則第35条による別表1の2で細かく挙げられています。
開業2年目ぐらいの頃、ご縁ができた日本実業出版社の雑誌の編集者の方と、いまだにご縁が続いていて、その方が担当していらっしゃる雑誌への執筆をご依頼いただくことがあります。
この度『企業実務 8月号』に、「パート・アルバイトの年休付与・取得をめぐる問題Q&A」というテーマで7,200字ほどですが、書かせていただきました。
自分の得意分野ではありますが、公の活字になると思うと間違いは許されないと思い、総復習して自分でもとても勉強になりました。
今年改正されたパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の施行日が来年4月1日と決まりました。
今年も足立区におじゃまして昨年同様にパートタイム労働者のための労働法講座の講師をさせていただきますが、9月の半ばの本番に向けて資料の整理など暇を見て始めたところです。(昨年の模様は過去記事にあります)
改正についても当然資料に加えますから、厚生労働省のHPから新旧対照表や「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律」の条文をダウンロードして、眺めています。
所属する社労士会の研究会でも、この改正について原稿が提出されたことがあり、以前にも一通り読んではいるのですが、自分が主体となって資料を作るとなると、また、責任の重さを感じながら読むことになります。
政府はこのところ、盛んに「多様な正社員」を推奨していて、短時間や、職種限定、地域限定などの正社員制度をもつ会社も大企業を中心に増えているようです。
厚生労働省の調査では、制度を導入している企業の理由は、優秀な人材確保、従業員の定着を図る、ワークライフバランスの支援と、並んでいますが、その後に多いのが、「賃金の節約のため」とか、「賃金以外のコスト削減」とか、「繁閑の差に対応するため」などという理由が並んでいます。
割合としては、上の三つに比べて少ないので、そう問題にすることもないとは思いますが、職種限定や地域限定で賃金を減らすのは、私はちょっと違うのではないかなと思っています。
短時間勤務などで、減った時間分の賃金を減らすのは問題ありません。地域限定も職種限定も会社はどこでも行ってくれて、何でもやってくれる人がいいのだから賃金減らしても当たり前ということなのでしょうが、賃金というのは、会社の言うことなんでも聞くから高く出すではなく、会社の業績に貢献するから高くだすわけですよね。
このところ、通信教育で有名な企業の個人情報流出問題が大きく報道されています。
昨日は、とうとう情報を流出させた派遣社員のSEが逮捕されました。
アクセス権のある人は限られているし、流出させればいずれはばれると思わなかったのでしょうか。報道によると、このSEは、あるとき自分のスマホを貸与パソコンに接続させて充電したときに、情報を引き出すことができることに気がついたそうです。
通常は、認識されないはずが、新しい機種だったために対応が遅れていたらしく、情報が引き出せたそうです。
魔が差したと言うべきか、悪魔のささやきに負けたと言うべきか、そこから今般の情報漏えい事件が起きるわけですから、案外、悪事への道というのは偶然に支配されているのかもしれません。
必要があって役職定年制について調べています。
役職定年制とは、一定の年齢(55歳から58歳ぐらいが多い)になったら、役職を解くと決めておくことです。ポスト不足を補う、能力がない人を定年までずるずる役職にとどめないようにする、世代交代、社内活性化、人件費の抑制等、メリットはいろいろあります。
デメリットとしては、年齢で線引きすることの危険性?というようなものでしょうか。企業の本音としては、能力のある人はいつまでも頑張ってほしい。能力のない人は適当なところでひいてほしいということですから、年齢で一律に線引きをするとそのような選別ができなくなります。
関与先から、就業規則で関連規程を作りたいとの連絡があったのですが、私は、会社の人事の裁量に属することを働き方のルールを定める就業規則で規定することに違和感を感じました。
今日の夕方、新しくある事業を始め、人を雇う予定なので相談にのってほしいというお客様が当事務所にみえる予定です。
開業して3年ぐらいは、新しい引き合いがあると結構何を聞かれるかわからないので緊張しました。お客様の所に伺うことが多いので資料をごっそり持参したりもしました。さすがに最近は私もそれなりに経験を積みましたので、労働法関係のことだったらたいてい何とかなるなという気持ちになっています。
手続きの細かいことは普段手続き業務をほとんどしないので苦手ですが、事務所に来ていただく分にはその場で調べることもできますし、まあ、何とかなるだろうと思っています。
新しく人を雇う場合に必要なのは、まず、労働基準監督署への「適用事業届」と労働者災害補償保険には必ず加入しなければなりませんから、「保険関係成立届」、それに労災保険料は年に一度、従業員に支払う給料額の概算で保険料を前払いしますから、その関係の手続き、週、20時間以上31日以上働く人は雇用保険にも加入という手続きがあります。
お電話で話した感じでは、そんなことよりもむしろ労働時間のことや労働契約、就業規則等について知りたいご様子でした。
男女雇用機会均等法が最初に成立したのは昭和60年、その後名称変更や改正がありましたが、かれこれ30年たちます。
遅まきながら、このところ政府はさかんに「女性の活用」と言いだし、経団連もそれに呼応する形で役員企業47社の女性登用計画をまとめたと報道されています。そのうち6割の27社が女性管理職の登用計画などの数値目標を定めているそうです。
私は、民間企業よりむしろ政治の分野でのクオーター制(女性に一定割合を割り振る)の方が、先に行われるべきだと思いますが、全くその動きはないようです。
都議会の5割が女性議員だったら、くだらないセクハラやじなどはなかったと思います。
だいたい、「女性の活用」ってなんか抵抗を感じる表現です。活かして用いるというと、何となくいいように利用されるような気がして、まあ、政府が言いだしたのも少子高齢化でせっぱつまり、社会保障の担い手をとにかく増やしたいという思惑なんでしょう。この機会に、意欲と能力のある女性がどんどん登用されるのであれば、それはそれでよいことだと思います。
しかし、長時間労働や家庭の事情も関係なく全国(場合によっては世界)に異動させられ、常に成果を求められるという働き方を強いられるのでは、ちょっとご遠慮しますという女性もいるでしょう。
労働基準法では、生理日の就業が「著しく困難な」女性労働者が申し出た場合、休暇をあたえなければならないと規定しています。
これに派生する問題点などについては過去記事にしたことがあります。(過去記事1参照)、(過去記事2参照)
過去記事には記載しなかった問題点として、男性上司だったりすると何となく恥ずかしく言いづらい、取得しずらいというようなことがあります。
私の関与先からも過日、届出書が順番に上長に回るので、社内中に知れてしまうのは何とかならないかとの女性社員からの申し出があったとのご相談がありました。
運用上の問題なので、生理休暇については届出書なしでメール等の連絡を認めるなどしてはどうか、会社としては休業の理由について把握しておく必要がある。女性保護のための正当な権利だから、堂々と休んでもらっていいはず。
休みにくい雰囲気があるとしたら、そちらの方が問題があるのでは。というのが私の回答でした。
昨日、担当者から「全女性に月1日だけ有給休暇を付与して、理由は問わず、普通の有給休暇として取得してもらい、生理休暇とわからないようにしたい」と、メールをいただきました。
今月1日より施行されている改正男女雇用機会均等法に合わせて改正された指針「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」では、「性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクシャルハラスメントが生じるおそれがある場合などが考えられる」と明記されました。
先ごろ曖昧な決着となった都議会セクハラやじ問題も、女性議員に対して「産めないのか」「自分が産め」と、やじを飛ばしたのは、女性は子どもを産んで当たり前、産めない女はだめだというような意識が感じられ、「個人を尊重する」ということが理解できていない、そんな議員が選ばれているのかと驚きましたが、本人は案外、気がついていないのでしょう。
今朝の朝日新聞でもこの意識の下に隠れている性差別意識を取り上げていて興味深かったです。
事例としてあげたのは理研の「小保方騒動」で、採用の段階から過去の論文の精査などもされず、ずさんだったことがわかっています。採用を審査決定したのが全員中高年の男性で、女性が入っていたら違ったのではないかと書かれていました。
今日の当地は朝からかんかん照りのいい天気でかなり暑くなりました。
午後の一番暑い時間帯にかねてより約束していた関与先に、新しい規程についての詰めの話その他いくつかの懸案事項を片づけるために行ってきました。
私の案についていくつかの質問をお受けして、問題がないことになり、意見書作成など、就業規則改正の手続きをとることになりました。
昨年末スタートした別の社内規程とこの新しい規程とがスタートして、社内的に適用されるとある助成金の対象になることに気がつき、以前より説明はしていましたが、今日は、助成金を受けたときに担当官庁、並びに会計検査院の調査があるかもしれないことを伝え、それでもよければやりましょうという話をして、是非やってくださいという話になり、私も助成金の申請について着手することになりました。
脱法ハーブを吸って車の運転をしたために事故を起こす事例が続いていますが、警察庁と厚生労働省では、脱法ドラッグ、脱法ハーブについて、もっと危険性を認識できるような名前の募集をするそうです。
化学式でみると、ほんのちょっとだけ変えて違法な薬ではないとして出回っているそうですが、幻覚を起こしたり、凶暴になったりするそうで、怖い薬には違いがないと報道されています。
ハーブの名前はいれないで考えるようにとのことですが、確かに「ハーブ」とついているとリラックスできるのかななんて思ってしまうのかもしれません。
「暴走ドラッグ」、「脳破壊ドラッグ」、「性格破たんドラッグ」とか強烈な名前をつけた方がいいのでしょう。
最近、逮捕された有名歌手にみられるように、覚せい剤なども中高年世代にも広がっているとのことで、ストレスが多いのも一因と言われています。
「脱法」ということは、とりあえず違法ではないということなので、もし、社員がこれを吸った場合に会社として、懲戒処分にできるだろうかと考えてみます。
昨年、埼玉県の富士見市でパートタイマーの方向けのセミナー講師を務めたことは過去記事にしました。(参照)
先日、市役所の担当者の方から、「セミナーに参加できなかった方らしいですが、先生に教えていただきたいことがあるという方がいらっしゃるんですが、先生のところに連絡を差し上げてもかまいませんか?」とのお電話をいただきました。
ちょうど外出先から帰った夕方で、その後はずっと事務所で仕事をするつもりだったので、お電話していただいて大丈夫ですよとお返事しました。
ほどなくその方からお電話があり、当日参加するつもりでチラシをとっておいたけれど、急用で参加できなくてということで、労働基準法に規定のある働くうえでは重要な事項についてご質問があり、お答えしました。
現政権はいろいろと閣議決定をなさいますが、「残業代0」法案も閣議決定したとのことです。
働いた時間ではなく、成果で給料を支払うシステムにするとのことです。これを最初に聞いたときには、結構違和感がありました。
労働契約は民事的な契約であり、自由な私人間の契約です。働いた賃金について成果で払うというやり方をしようと思えば今でもできます。本来「お上」が口出しすることではないはずです。もちろん、労働時間の原則1日8時間、1週40時間という枠があり、それを超えたら割増賃金の支払い義務があることは法律で決まっています。
しかし、変形労働時間制、みなし労働時間制、裁量労働時間制などがあり、条件にかなえば原則から外れることもできます。
そもそも、何故労働時間の枠ができたのか。日本の長時間労働に世界から圧力がかかり、労働時間を少なくする方向に法整備をしたはずです。過労死や長時間労働により心身を病む労働者のことが問題となっているのに、またぞろ、長時間労働を推進するような法案が出てくるとは驚きます。
昨日、閣議決定により集団的自衛権行使への道を開いた安倍首相については、立憲主義、民主主義、法治国家の何たるかがわかっていないという言説があります。私も同感ですが、もしかしたら、わかっていても無視しているのかもしれません。暴挙としか思えないことが何故できてしまうのかが何とも不思議です。国民が選んだ首相だからと言うけれど、私は自民党も安倍首相も選んではいません。
そういう人は結構いるのではないかな、そんなことよりも、安倍首相は現行憲法をアメリカからの押し付けとして改憲したかったはずなのに、それをせず現行憲法を「尊重」して解釈を変更するなんて、矛盾していると思いますが、まあ、それもそれとして、彼のしたいことってまさに明治時代の富国強兵なんだねと思うのですが、さらにそれもそれとして、最も残念なのは、「戦後70年他国と戦争して一人も殺していない」という、世界に誇る価値あるブランドをあっさり捨ててしまったことです。
あー、もったいない。多分、これはじわじわと国益をそこなっていくことでしょう。世界に誇るブランドを捨てた人として安倍の名は残ることになるのでしょう。
6月25日労働安全衛生法の改正が公布されました。(参照)
法律というのは、改正して公布したからすぐその日から実行というわけではなく、だいたい1年後などに施行され、その日から効力が発生することになります。今般の改正もそれぞれの改正項目により、公布から1年から2年以内の施行とされています。
印刷工場での換気設備の悪さから胆管がんの発症が多発した事例などを受けて、化学物質の管理の強化が図られ、職場の受動喫煙の防止対策についての努力義務なども明文化されています。
いくつかある中で、私が注目しているのはストレスチェックを事業主に義務づけたことです。
医師、保健師等による検査を実施して、結果により労働者の希望があれば医師の意見を聴いて、必要な場合には作業の転換、労働時間の短縮など必要な措置をを図るところまで事業者に義務づけています。
従業員50人未満の事業所は努力義務となっています。「事業所」とは企業全体ではなく、支店、工場などの場所ごとになります。