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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる16年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

マイナンバー法を勉強する

今年の10月から国民一人ひとりの「マイナンバー」の通知が始まるということで、来年から利用が始まります。
今まで、個人情報保護法の対象となっていた企業(6か月間の間に5000人を超える個人情報を扱う企業)だと、かなり厳格に規程を定めているはずですので、すでにある社内規程の手直しで済むと思いますが、そうでない企業についてもマイナンバー法(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律)は適用となるため、社内規程の整備をしなければなりません。
私も関与先の規程を作ろうと思っていて、全国社会保険労務士会連合会が規程のひな形を出すと言っていたので、待っていましたが、一向に出す気配もなく、やること遅いなーと思いつつ、自分のビジネスですからさるところから規程集のひな形を入手しました。
その解説などで理解を深めることはできますが、まずは根拠となる法律にあたるのが筋だと思い、先週から今週にかけて内閣府で出している逐条解説(
参照)を読みました。
ネットで見ると150頁以上です。半分にして印刷しても70枚以上かーとうんざりしますが、熟読するにはやはり紙データの方が便利です。
というわけで、印刷をして必要なところには書き込みなどをして久しぶりに法律条文を熟読しました。

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広島中央保健生協事件の判決文を読む

昨年記事にした(過去記事参照)最高裁のマタニティハラスメント裁判ですが、今年に入っていち早く念押し的に厚生労働省が通達を出したりして、妊娠・出産に伴う降格処分は、本人の自由意思による同意と合理的と認められるような特段の事情がない限りは違法との判断基準が確立したかのようにみえます。
一審、二審では、何故「会社の人事の裁量の範囲」と判断したのか気になって、判決文を読みたいと思っていました。
したところ、所属する研究会で私の前にリーダーをしていた有能な仲間の社労士が、地裁、高裁、最高裁と判決文の全文のコピーをとらせてくれました。
それはかれこれ2~3か月前なのですが、なかなかじっくり読む時間がとれなくて、昨日ようやく「一気読み」することができました。
裁判というのは、報道などでは争点となったところのさわりの部分だけが報道されますし、ある政党の誰かさんみたいに判決文の中のほんの一部分だけを取り出して、あたかもそれが一般的に通用する言説であるかのように喧伝することも可能ですから、判決文の全文を入手して読まないと、自分の頭で考えることはできません。

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変えるということができない人々

新国立競技場がこうなりますというのを見たのはいつ頃だったかなーと、すっかり忘れて思い出せないのですが、一見してなんと大仰で不細工、神宮の森に似つかわしくない「異物」であり、いわゆるハコモノを盛んに作って喜んでいた旧世紀の「遺物」でもあるように思いました。あくまでも私見です。
これがコンペで決まるちょっと前だったと思いますが、たまたま、この作者と最後まで争っているとして、NHKで日本人建築家二人のチームの特集番組を放送していました。
大仰なハコモノではなく、周りの雰囲気と調和して自然の風や空気を取り入れるような全く新しい発想の建築家として、世界的な賞も受賞し、金沢美術館やルーブル美術館の別館なども設計していて、いずれも評判の高い建物です。
新国立競技場についても、周りの緑の森と調和してスポーツを愛する人ばかりではなく、人が集う場として心地よい空間を目指しているというような話だったと思います。
この人たちの作品に決まればいいなーと思っていましたが、現在のデザインに決まってしまいがっかりしたのを覚えています。

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労働者が疲弊する?裁量労働制の見直し

現政権は今国会で労働基準法の改正を目指していると報道されています。厚生労働省のHPにも法案の概要が掲載されています。
多様な働き方を実現するとの目的で、年収1075万円以上の研究職など高度なプロフェッショナル的な人に対しては、働いた時間に関係なく「成果」で賃金を支払うとするもので、長く続いてきた働いた時間に見合った賃金を支払うという考え方が根底から崩れる法案です。
残業代をなるべく低く抑えたい企業としてはうれしい改正なのでしょう。
しかし、現状では、年収要件が1075万円というと多くの企業で「管理・監督者」扱いをしていて、もともと労働時間の規制から除外する人として処遇していると思われますので、年収要件を下げれば別ですが、すぐに大きな影響があるとは思えません。
ただし、すべての労働時間の規制から外すとなると、現状の管理・監督者にはある「深夜残業手当」がなくなることになり、このあたりの影響は深夜残業が多い場合にはあるでしょう。
私は、あまり報道されませんがむしろ「企画業務型裁量労働制の見直し」の方が影響が大きいのではないかと思います。

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派遣法改正成立見こみ雑感

派遣法改正案が国会で承認される模様と報道されています。
これについては、過去記事で反対の立場で書きました(
参照)
この改正により、派遣労働者を使うことは企業にとって益々都合がよい制度になると思います。
もともと派遣というのは、自社で賄いきれないスキルを持った人を臨時的に来てもらうというところがスタートだったと思われます。
それが、人を雇うことに付随する費用その他厄介なことを背負わずに都合よく労働力が手に入る制度というように変質してきたように思います。
厚生労働省の「非正規雇用の現状と課題」のサイトを見ると、平成26年は、非正規雇用者1962万人で、そのうち派遣社員は119万人、6.1%とありますからそれほど多いわけではありません。
多くの会社は、パートタイマーやアルバイトなど直接雇用する形態で非正規雇用者を抱えています。定年後の再雇用と推察される「嘱託」が派遣とほぼ同数になっています。

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18歳から選挙権

昨日の参院本会議で、選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる法案が全会一致で可決したそうです。これにより有権者が240万人増えると報道されています。
有権者が増える改正は70年ぶりだそうです。
そうかと思いちょっと検索してみると、第二次世界大戦前は25歳以上の男子に限られ、その前はさらに納税要件があったりして、今のように20歳以上の男女すべてに選挙権が与えられたのは1945年の現在の憲法制定後なんですね。
なんか、当たり前のように思っていますが、歴史的にみると年齢要件だけで選挙権が与えられるという考え方は、結構新しいんだなと思います。
18歳はまだ早いとか大人になってないという意見もあるようですが、私は賛成です。
政治というのは未来を見据えて行い法律などもそれに見合って作るわけですから、若い人が投票権を持つのはよいことだと思います。判断力がどうのと言ってもいい年をした大人だって、そのあたり怪しい人は意外といるような気がしますから。
さて、社労士の世界では「18歳」というのは結構でてきます。

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子連れ出勤の是非

ながら視聴をしていた朝のテレビの情報番組では、今、「子連れ出勤」を認めている企業やこれからやろうとしている企業があるということでした。
優秀な人材については、休まれるより来てもらった方がよいという理由や、やはり、それぐらいにしないと少子高齢化の人材不足は乗り切れないということなのでしょうか。
ある会社で今後制度として導入しようとして、とりあえず試験的にやってみているところが映像として流されていました。
慣れないことなので、周りで働く人たちはどうしても子どもを気にしがちで、何となく仕事に集中できない様子です。実際に、カフェに行った方が集中できそうだと席を立つ若い男性もいました。
特に、独身の男性はどう接していいかがわからないで困るというようなことも語っていました。
実は、私も、3人兄妹の末っ子として育ったため、小さい子の面倒をみるなどということも経験がなく、自分がいざ母になったときに、赤ちゃんの抱き方すらわからず、随分実家の母に助けられた覚えがあります。
女性には生まれながらの母性本能があるなとどいうのは男性の幻想だと私は思っています。

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離婚の年金分割で救われる人もいる

離婚の年金分割については、何度か過去記事にしています。(参照)
過去記事にもあるように、年金が半分もらえるわけではなく、報酬比例部分の記録を分けてもらうということですから、金額的には考えていたより少ない場合が多いと思います。
それでも、ずっと専業主婦だった人が基礎年金だけでは少ないけれど、離婚の年金分割により受け取る額が増えることにより、離婚に踏み切るという例は実際にあるのだろうと思います。
先日、街でばったり出会ったいわゆるママ友の知り合いがその該当者で、少し前に離婚したのだそうです。
私が社労士になったのを知っているので、そんな話を教えてくれたのでした。
「額としてはそんなに多くはないと思うんだけどね」と応じましたら、「でも、それがあって離婚に踏み切ることができたと言ってたわよ」とのことで、熟年離婚の背中を押すスイッチになったようです。

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年金情報漏れ便乗詐欺にご注意

今般の日本年金機構の情報流出について、厚生労働省では特設サイトを作っています。(参照)
ここにもわざわざ赤文字で書いてありますが、加入者に電話やメールをすることはないそうです。
ですから、もし、電話で「あなたの年金情報が洩れています」とか、漏れた情報を何とかしますなどと、年金情報流出について電話をしてくる人がいたら、明らかに詐欺などの犯罪行為を行おうとしているとみて間違いないでしょう。
このブログの読者の皆様は、多分、そのようなことは十分ご理解なさっていらっしゃる方ばかりだと思いますが、もし、ご親族やお知り合いに一人暮らし又は、昼間一人で自宅にいらっしゃるようなお年寄りがいらしたら、「そういうのは詐欺だから、相手にしてはだめですよ」と教えてあげてください。
同サイトではQ&Aコーナーを設けて様々な質問に答える形で、国民の不安に対して答えています。

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砂川事件のさわりを読んでみた

最近、昔勉強した憲法関連の書籍を本棚の奥から引っ張り出して読むことが増えました。
「違憲」論争で揺れる国会ですが、政府が集団的自衛権の行使容認の根拠としてもちだしてきたのが、「砂川事件」です。
最初、聞いたときはすごく違和感がありました。集団的自衛権など問題としている判例だったかなー? かすかに残る記憶ではそうではないはず。そのうち、不明を恥じて言わなくなるだろうと思っていましたが、安倍首相までが言っている。
では、判例集で見てみるかと引っ張り出してみました。
裁判というのは、実際の判決文を全部読まないと全貌はつかめません。判例集には結論とそこに至る考え方について、自民党のお歴々がリスペクトしてないらしい「学者」の先生の解説が掲載されていて、それなりの判例の性質や意味がある程度わかるようになっています。
私がよく見るのは、別冊ジュリストの「判例百選」で、このシリーズは20冊ぐらい持っています。
憲法については、ⅠとⅡがあり、砂川事件はⅡの方に掲載されています。

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中小企業に負担の大きいストレスチェック制度

ストレスチェック制度を定めた労働安全衛生法の改正施行が今年の12月1日に迫ってきました。
常時雇用する労働者が50人以上(会社全体ではなく場所ごとの人数)の事業所の事業主に義務づけられたもので、厚生労働省令、指針などが出そろい、私も関与先への説明資料など作っています。
法律が改正になったときから、大企業はまあいいとして、中小企業には負担が大きい制度だなーと感じておりました。
50人以上の事業所は産業医の選任が義務づけられているので、相談できる産業医がいるということで50人の線引きがされたと思いますが、私の関与先の一部事業所でで50人を超えることになり産業医を探すというときにも結構大変でした。守秘義務がありますから、これ以上書くのは控えますが、ストレスチェック制度の導入も費用もかかる、手間もかかる、しかも、社員の個人的な結果は同意がない限り会社は得られない。
では、何のためにするんですかというのは「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」という長い名前の指針に出ています。

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学問をリスペクトしない人々

法律を勉強していたとき、憲法に限らず法律学者という方々は一般人が思いもよらないような細かいところまで条文を読みこみ、微に入り、細に入り解釈をしていることに驚くと同時に尊敬の念を覚えました。
私はとてもそこまで考え込むことはできないと思ったからです。
そのような学者の人たちの見識と一般の人たちでは、将棋のプロとアマの実力がとてつもなく違うのと同じぐらいの違いがあるのではないかと私は思っています。
4日の衆院憲法審査会で、憲法学者のお三方が政府が進めようとしている安全保障法案、そもそもその前の集団的自衛権の行使を閣議決定したことについて「違憲」としたということが報道されています。学者がたくさんいるように学説も幾通りもあります。どれが正しいか決めるのはまた難しいです。
でも、3人いて3人とも「違憲」と言ったのなら、少なくともそれについて考える余地は大いにあるでしょう。
しかし、それを受けて、廃案を迫る野党に対して中谷防衛大臣は「違憲ではない」と断言しています。
名だたる学者3人が言ったことを素人が全否定する。学者の方々、さらには学問そのものに対するリスペクトのなさに唖然としました。

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塾講師の学生の労組結成

報道によると学習塾で講師として働く大学生が労働組合「個別指導塾ユニオン」を立ち上げて、未払賃金の支払い等について経営者側3社に団体交渉を申し入れたそうです。
大手の学習塾の経営者側はいずれも「誠意をもって対応する」と答えているそうです。
これは、そう答えなければ労働組合法にある不当労働行為となる可能性がありますから、そう答えざるを得ません。
当ブログで何度か書いていますが、労働者個人では経営者にもの申すことはなかなか難しいでしょうが、ひとたび労働組合を結成すれば、労働組合法でしっかりと守られることになります。
交渉を申し込まれた経営者側は正当な理由なくこれを拒むことはできませんから、必ず交渉のテーブルにはつかなければなりません。
学生たちがそのような組織を立ち上げるのは大変だったと思いますが、母体は学生たちの支援をするNPO法人が立ち上げた「ブラックバイトユニオン」だそうです。
最近、会社の枠を超えて同じ業種の人や職務形態の同じ人で作る「ユニオン」という形の労働組合が随分活発になったんだなと思います。

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年金機構情報流出への対応

日本年金機構の情報もれ事件について、その後続報がいろいろ出てきていますが、非正規雇用者が6割近くを占める「ブラック企業」だなとどいう言説もでてきて、私としては今最も関心の高いニュースの一つです。
正式に発表する前にすでに2ちゃんねるに「ウィルス感染したらしい」などの書き込みがあったようで、とにかくぬるい組織なんだなという印象です。
テレビのインタビューに答えていた年金受給世代の人が「年金がなくなると困る」と言っていました。
さて、今般の情報漏えいで年金の横取りができるのだろうかと調べてみました。普段、年金業務はほとんど行わないので、そういうことも調べないとわからないのは社労士してちょっとお恥ずかしいのですが。
年金を受け取る口座の変更の届出用紙は住所変更も同時にできるようになっています。
引っ越したときなどに同時に変える場合もあることを想定しているのでしょう。
基礎年金番号と生年月日を記入する欄がありますが、これは漏れた情報の入手により記載可能です。
情報を盗んだAが盗まれたBさんの名前をかたり、Aの住所に変更することは住所変更を証明する書類の添付は必要ないとあるので、できちゃいそうです。

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古いことって忘れるなーと思う

育児休業から復帰する社員について、「復職お祝い金」というような制度があると本人が言ってるんですが、そういうのあるんですか? と関与先から電話をいただきました。
ハローワークでもらう給付だとおっしゃっているとか。はて、そんなのあったかな? すぐに調べてご連絡することにして、検索してみれば、雇用保険の給付で平成22年3月まで行われていた「育児休業者職場復帰給付金」のことだと思い至りました。
すっかり失念していて、お恥ずかしい話です。私が社労士開業したのは平成18年ですから、試験勉強で一生懸命覚えたはずなのに・・・。

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年金機構の情報もれ雑感

日本年金機構のウィルス感染による125万件の基礎年金番号などの情報流出のニュースが昨夜から今朝にかけてあり、私も職業柄関心をもって見たり聞いたりしました。
報道によると職員の一人に送られてきたメールの添付ファイルを開いたことにより、ウィルスに感染していることがわかったのが5月8日で、このパソコン1台の接続を切り離し、対策会社に対策を依頼して全職員に注意を喚起したが、注意の不徹底とともに他のパソコンもLANでつながっていたため、他にも同様のメールが届き、他の職員がファイルを開き、さらに被害が拡大したそうです。
19日に警視庁に相談したところ、捜査の結果、28日に125万件の流出があることがわかったということです。
なんで、ファイル開いちゃうの?と思いますが、これは、特定の機関や組織を狙った「標的型メール」というものだそうで、かなり巧妙な手口を使うそうです。

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肥満は「自己保健義務」違反か?

何気なく目にとまったあるサイトのある会社の総務担当者若しくは経営者らしき人の相談ごとで、社員で身長〇㎝(小柄な方)で体重〇㎏(かなり重い)の人がいて、2、3年前から健康に悪いからやせるようにとお願い(と表現されていた)しているのに、全くそのような努力もしないので、仕事中に何かあっても困ると思い、夜勤から外そうと思うが、手当が減って収入が減ってしまうので、不利益な変更となるんだろうかと悩んでいるという事例がありました。
相談者は、会社の「安全配慮義務」を気にしているのでしょう。
不健康(だと思われる)人に「夜勤」という通常勤務に比べたらリスクが高いと思われる仕事をさせるのはまずいのではないかと悩んでいるのでしょう。
「自己保健義務」という言葉も知っているようでした。
「自己保健義務」とは、労働者が自分自身の健康に配慮する義務で、労働契約に付随して信義則上当然ある義務と考えられています。
契約上の義務である仕事を円滑に行うためには、健康状態がよくなければならないからです。

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