政府は、新型コロナワクチン接種を進めるために職域接種という方式を推奨していました。1000人以上という条件を満たす大企業や医学部がある大学が一斉に動き出し、企業によっては、社員の家族や退職者、取引先、近所の人までも接種 人数に入れるということになり、遅れをとってしまった中小企業も商工会議所などの企業団体ががとりまとめ、合同でやろうと動き出したところで、ワクチンが足りなくなりましたとなってしまったようです。
報道によると、職域用に予定していたモデルナ製ワクチンの供給量3,300万回分を上回る申請があり、これ以上の受付を中止することにしたそうです。
必死になって会場や医師などの人員を集めていた中小企業の合同チーム?の方々は肩透かしという感じで、がっかりされたり憤ったりされているとの報道もありました。
政府は1000人以上という条件をつけたときに大企業だけを見ていたのでしょうか。
中小企業庁のホームページによると、日本の企業の99.7%は中小企業だそうです。
職域接種が大企業のみで終わることはいかにも不公平だなと思いました。
昨日、最高裁で夫婦同姓を定めた法律が憲法違反とはいえないとする判決がでました。メディアでも大きく取り上げられています。
私は、かねてより選択式夫婦別姓制度に賛成の立場です。
選択式なんだから、やりたくない人はしなくてよい、やりたい人はできる、選択肢が多くなるだけなんだからさ、何か問題でも? と思っています。
民法と戸籍法では結婚した場合どちらかの姓に統一することを求めていますが、現実には、家制度の名残や男性で姓を変える人が極端に少ないという社会的慣習のようなものがあり、心ならずも慣れ親しんだ自分の姓から夫の姓になる女性が圧倒的多数派です。
姓が変わることにそれほど抵抗がない、むしろうれしいという女性もいるでしょうが、アイデンティティの喪失感を感じるような深刻なダメージを受ける人もいるし、何よりも改姓による手続の煩雑さを負わなければならないという不利益を多くの女性が被っています。
2015年にも同様の裁判があり、このときは裁判官15人中5人が違憲としています。今回は4人が違憲として報道によると、判決内容も15年の判決を踏襲するものだったようです。
今日の朝日新聞の朝刊に過重労働の労災基準の見直しについて記事がありました。
現在、過重な業務が原因で脳血管系や心臓病などになった場合の労災認定基準については、発症前1か月の時間外労働が100時間を超えているかまたは6か月の平均の時間外労働が80時間を超えている場合という一応の目安とされる労働時間の基準があります。
病気の原因とされるストレスは労働時間だけでは測れません。業務中に大きな精神的ショックを受けた場合なども考慮される場合もあります。
しかし、どうしても「過労死ライン」として数字がでていると、まず、労働時間を確認して、それ以下の場合には認められない事例が多くなるようです。
記事によると、この基準は2001年にできたもので、睡眠時間が1日6時間程度確保できない場合に脳・心臓疾患の危険性が高まるという考え方が根拠となり、逆算して毎日4時間程度の残業をすると概ね月80時間の残業時間となるという計算になったとあります。
看護師資格のある方などで、新型コロナのワクチン接種業務に協力したいが収入が増えて配偶者の扶養から外れるのは困るというような話をネット等でみかけていました。
したところ、厚生労働省は、臨時的にワクチン接種業務に従事して 収入が増えても、それは被扶養家族としての認定には影響しない、とする見解を発表しています(参照)。
被扶養家族は配偶者に限らず一定の要件の親族がなれますが、年収要件が130万円未満(60歳以上と一定の障害のある人は180万円未満)となっています。
通常は収入が増えた場合は届出により被扶養家族から除外されるのですが、今般は感染症予防のための臨時的な収入であり、そのためにワクチン接種業務に従事する人が足りなくなるのは困るということで、特例措置として社会保険料を算定するための収入とはならないと発表されています。
したがって、被保険者になっている人の収入額についてもその部分の収入は除外して保険料徴収の基礎となる算定基礎届をだすようにということも発表されています。
これは関係者にとっては朗報ではないでしょうか。
お客様のご都合などがあり、随分長いことかかったある事業所の就業規則の見直しがようやく終盤に入りました。
入ったのはいいけれど、先ごろ育児介護休業法の改正が国会を通過して来年度から順次施行となるので、それを入れた方がいいか、お客様はとりあえず男性で取得しそうな人いないからいいですと言うような話なのですが、うーん。
長々かけてるとこういうことが起きる。法律はどんどん変わります。
社労士になってから幾多の関連法令の改正があったかなー。
時々ふと考えます。
今般は、昨年伺って細かくご説明はしてあるのですが、やはり通して読み直すと、お客様の方で疑問点もあるということで、就業規則案のWordファイルにどんどん書き込んで送ってもらいました。
意外と書き込みがあります。
今年に入ってから所属する社労士会の自主研究部会では、zoom利用で月に一度の定例会を続けています。感染状況により一時はいつも利用している社労士会事務局の会議室とzoom参加とハイブリッド形式でも行ったのですが、東京都などで緊急事態宣言となり、埼玉県もまん延防止措置適用中ということで、このところずっとzoomのみとなっています。
どうしても参加者が少なくなってしまいますが、それはそれで仕方がない、細々でも続けることが大事なんだろうと思っています。
zoomで困るのは、私の声とか画面が他のメンバーにどう聞こえているか、映っているか、自分ではわからないことです。
私は、事務所で大きなディスプレイで仕事をしたいのでデスクトップパソコンを使っているため、外付けのカメラでマイクはカメラについているもので済ませていました。
したところ、先月、メンバーの一人から声が聞き取りにくいと言われ、他のメンバーからは声は聞こえてるけど画面と音声がずれてるなどと、自分ではまったく思ってもいなかったことを言われ、「そうなんだー。それでは何とか改善しましょう。」となりました。
パワハラが原因で自死した社員の遺族と勤務先であるトヨタ自動車が、会社側が責任を認めて和解したことが大きく報道されています。
パワハラについては、2020年6月1日施行の法律(中小企業は2022年4月1日施行、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)により、事業主に雇用管理上の必要な措置を義務づけています。
従業員に対する周知・啓発や事案が発生したときの迅速な調査、再発防止、相談窓口の設置などの措置が求められています。
冒頭の事件は法律施行前の2015年4月に入社した社員についてですが、ここ10年ぐらいの間に社会的にもパワハラの認知度が増し、職場のパワハラにより心身を害する労働者が増えていることが社会的にも問題となっていました。だからこそ法制化もされたわけです。
日本を代表する大企業が、そのような社会的流れを認識していなかったとは考えにくく、社員を自死に追い込むようなパワハラが行われていたことは、ちょっと驚くことでした。
昨日、男性が育児休業を取得しやすくする改正法が国会で成立したことが大きく報道されています。
主たる内容は、妻が労働基準法による産後休業中の8週間の間に夫が4週間の育児休業が取得できる(2回に分割してもよい)とするもので、要綱では「出生時育児休業の新設」とあります。
夫、妻という表現ではなく、「労働者」となっています。
現行法でもその期間に育児休業は取得できますし(厚生労働省はパパ休業と表現している)、子が1歳になるまでに別の期間に再度育児休業を取得することは可能です。
何が違うのかなと思いますが、分割して取得可能というのは利用しやすいかもしれません。
また、事業主側に労働者本人または配偶者が妊娠、出産したことを申し出た場合に、法制度の内容について周知して休業取得の意向を確認するための措置を講じることが義務づけられ、労働者側が取得しやすくするような規定が新設されています。
現在よりもさらに踏み込んだ措置を事業主としてはしなくてはならないということになります。
労働者から、「実は、子どもができまして、〇月に生まれる予定なんです。」との申出を受けた場合、「おめでとう。育児休業は取得する? いつにします?」と必ず確認する必要があります。
当然、そのような話は立ち話でできるわけもなく、個別の面談等になるとは思いますが。
関与先からのご相談について、「答えは法律条文にあり」というのが私の考え方の基本です。もちろん、なんでもかんでも法律論をふりかざすだけでは解決できないということも経験上わかっています。しかし、万が一トラブルに発展した場合法令遵守していれば怖いものはありません。出る所に出た場合、法令という根拠に基づく行動は大きな力となり得ます。
それは、様々な裁判例の判決文を読んでいればわかります。
そんな大それた経験はしていませんが、それのミニミニミニ版ぐらいの経験は不肖私めもしております。
最初にひもとくのは関連法令。そして個別の案件により当事者の性格、状況等考慮して最適解を見つけるように努めます。
ということで、本日ひもといた法令は「労働契約法」です。