今朝、いつも出かける支度をしながら視聴しているテレビ番組の内容がロシアの「ウクライナの一部勝手に併合」の話をしていました。併合した州のウクライナ人をロシア人としてしまい、徴兵して戦わせるというなんとも痛ましい話になり、見ていられなくてチャンネルを変えました。
したところ、10月1日からの社会保険適用拡大の話をしていていつも見ていない情報番組ですが、ちょっと視聴してみました。
パートタイマーなど短時間労働者の社会保険適用については、2016年10月から法改正となり、①1週間の所定労働時間が20時間以上 ②月額賃金が8.8万円以上 ③学生でないこと ④2か月を超えて使用される見込みがある 以上のすべてを満たす人も適用となることとなりました。
ただし、勤務先の企業規模で法施行日現在の被保険者数(社会保険加入者数)が501人以上という条件がありました(人数が足りなくても労使の合意により適用できる制度あり)。
それが今年の10月1日から101人以上の規模に拡大され、さらに2年後には51人以上の規模に拡大されます。
今まで、配偶者の被扶養者になり保険料負担をしていなかった人も条件に該当すれば強制的に加入となり、保険料を賃金から控除され、手取り額が減ってしまうということになります。
今日の朝日新聞の朝刊に、2015年に38歳で急性心不全で死亡した男性の労災不認定について、昨年改正された新基準による見直しが行われてあらためて労災と認定されたと報道されていました。
男性は、トラックやバスを製造販売する会社で自動車整備を担当していましたが、2015年7月、勤務中体調不良を訴えて入院して、その日のうちに亡くなりました。
亡くなる前2か月の時間外労働が平均77時間だったことから、遺族の労災申請は退けられてしまいましたが、19年に決定の取り消しを求めて国を提訴していました。
おりしも昨年、脳・心臓疾患を発症した場合の認定基準が20年ぶりに見直され、労働時間だけではなく、それ以外の負荷要因も加味して総合的に判断することが明確化され、また、対象疾病に重篤な心不全が追加されました(参照)。
この新基準により、管轄労働基準監督署があらためて検討して労災を認定し、遺族は提訴を取り消したことを担当弁護士が明らかにしたというニュースです。
男性は空調設備のない場所で高温のスチームによる洗浄作業などしていて、著しい疲労の蓄積があったことが負荷要因になると認めたようです。
さて、昨日の記事の続きとしてちょっと書いておきたいと思います。
昨日のように会社から退職を迫られたり、理不尽な処遇を受けたときに労働者はどうしたらよいか。
当該ニュースの中で「日本労働弁護団」の常任幹事をなさっている弁護士さんの話が掲載されていました。
それによると、①証拠を集める ②休むこと ③社外の専門家に相談すること いずれも退職前に行うことだそうです。
退職してしまうと、会社で使っているメールやチャットなどのアカウントが削除されたりして、残業などの証拠が消えてしまう可能性があり、証拠を集めにくくなる、退職していなければ健康保険が使えて通院等がしやすい、失職してしまうと生活の心配や再就職先を探すことなどに注力しなければならなくなるためとのことです。
③の社外の専門家に相談というのは、経験からきちんと対応する会社が少ないと感じるからだそうです。相談窓口などがある会社は多いと思いますが、会社だけが相談先ではないと思ってほしいとのことで、なるほどと思いました。
ネットのニュースサイトでみた報道ですが、ある地質調査会社に勤める社員Xさんが恒常的に長時間労働なのに残業代がわずかしか支払われず、会社に聞いても「裁量労働制だから」という理由を言われるだけで改善されません。
Xさんは何をどうしていいか全くわからず途方にくれていましたが、その後体調をくずして会社を休職しました。友人が個人でも加入できるユニオンの存在を教えてくれて、地元のユニオンに行きつきます。
そこで行動するためのステップを教えてもらい、まず、裁量労働制について調べて、会社が労使協定など適切な行為をしていないことがわかり、裁量労働制は無効だから残業代を支払ってほしいと内容証明を送付しました。
しかし、会社は制度運営に問題はないとして支払を拒否したため、会社管轄の労働基準監督署に申告しました。
すると、会社から呼び出され、「内容証明を送ってきたり、労基署に申告したりしてあなたとはもう信頼関係が築けない」
「休職期間が終わっても戻る席がない」、「退職届を出さないと、お母さんや推薦した大学の先生に話す」などと言って、退職を迫りました。
私が開業したのは2006年9月ですが、その翌年の9月に初版が出た労働時間管理の実務に関する書籍がありまして、その時すぐに購入しました。
それから参考書的使い方をして必要な時に必要なところをとっかえひっかえ読むという使い方をしているうちに、綴りの糸が切れたりして一部のページは「はさんでいるだけ状態」となりましたが、それでも基本的考え方はそう変わらないだろうと改訂版を買わずにおりました。
この度、10年ぶりの大改訂版が出たとのことで、さすがに働き方改革関連法により労働時間関連法もかなり改正されましたので、購入した方がいいだろうとネットで申し込んだところ、すぐに届きました。
驚いたのは、その厚さです。
A4判ですが、厚さはなんと4センチもありました。見るからに大部な一冊です。ぺらぺらとめくるだけで勉強した気になります。
ちなみに、今までのものは厚さを図ったら2センチありませんでしたから、倍以上の厚さになったのでした。
ありがたく拝読すればいいのに、一体どこがどうなって倍近くの厚さになったんだろうと、まったく関係ないことに頭をめぐらす悪い癖。
「あーたね、そんなことに時間使わなくていいから、しっかり読んで勉強すればいいの!」と内なる声が聞こえてはくるのですが・・・。
どのような仕事であってもミスのないようにということが大事ですが、多くの企業等では、人間、誰しもうっかりミスをすることはあるという前提でチェック体制というものを整備していると思います。
念には念を入れるということだと思いますが、せっかくシステムが整備されていてもそれが守られなければ意味がないわけです。
昨日、認定子ども園の送迎バスの中に置き去りにされたために3歳の園児が亡くなったという痛ましい事故のニュースを聞いて、親御さんのお気持ちはどんなに辛いだろうと思い、また、何故そのようなことが起こるのだろうと怒りのような気持ちもあり、疑問がいろいろ湧きました。
昨年の夏にも同様な事件があり、幼い命が奪われてから、安全管理の徹底が関係省庁や自治体から通知されたそうです。当該子ども園でも乗車、降車の際の確認について、園児それぞれのQRコードで管理していたようですが、乗車の際には一人ずつチェックしたのに、降車の際は人数を確認せず当日乗車していた6人についてまとめて登園したとして入力していたそうです。
当日はバスの運転手が急に休んだため、園の理事長が代わりに運転していたそうで、降車の人数確認をすることが不十分になったのではないかと報道されています。
必要があって、厚生労働省が毎年発表している雇用均等調査の今年の7月発表分(令和3年度の調査)を参照しました(こちらです)。
したところ、育児休業制度の社内規定がある事業所は、500人以上規模の事業所では99.9%、5人から29人規模でも75.1%とかなり法制度が浸透していることがうかがわれます。
多くの事業所では法令遵守のため、子育て支援のため、従業員の福祉のため等、理解されていらっしゃるのだと思います。
では、もし、社内規定がなかった場合に育児休業を取得することはできないのでしょうか。
私が社労士になって間もないころですから、かれこれ十数年以上前だと思うのですが、あるセミナーで、労働法の専門家として有名な先生が、企業内に育児休業の規定がないことを理由に休業取得を断ることができるかという問題について、規定を作る義務は企業にはないので契約関係の中で断ることはできるのではないかというようなことをおっしゃっていて、法律論がからんでいる話だったので、どうにも私には理解できませんでした。
だって、法律があり、それを守ろうとすれば規定の有無に関係なく要件に該当すれば育児休業を取得するのは労働者の「権利」であり、付与するのが企業の義務じゃないの?と思ったからです。