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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる16年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

派遣労働者を守る条文

 関与先からの相談で、派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)を読む機会がありました。
相談内容はいろいろ複雑なこともあり、面白い話ではありますが、関与先から相談されたことをそのままブログに書くのは控えたいので、以下一般的な事例として内容を大幅に変えてちょっと書いておきたいと思います。
派遣社員Xさんは派遣先のA社に6か月の契約で派遣されています。
業務内容は技術系の正社員の補助という内容ですが、Xさんもそれなりのスキルのある人です。
契約期間も残り1か月となり、派遣元人材派遣会社にさらに6か月の契約を更新するか否か連絡する時期がきました。
A社はXさんの働きぶりがやスキルのある人材であることを見込み、派遣契約終了後に正社員として採用したいと考えてXさんに打診したところ、XさんもA社の労働環境に好感をもっていて、派遣元との契約期間もいったん同時期に終了するので、A社に採用してほしいが、派遣元との契約で、派遣元との契約が終了後1年間は派遣先との雇用契約をすることができないことになっていると言います。
Xさんは1年間待たないとA社に入社できないのでしょうか。
いいえ、できます。

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高校野球で厳しい管理は消えていく?

 夏の風物詩ともいえる高校野球の全国大会が先頃終わり、慶應義塾高校(神奈川代表)がなんと107年ぶりの優勝ということで大きな話題となりました。
私も決勝戦だけは見たいと思いましたが、当事務所にはテレビがない、でも大丈夫! ABEMAテレビが無料配信してくれたので、パソコンで見ることができました。
準優勝したのは仙台育英学園高校でしたが、両校は公式戦でも戦い、練習試合もしていて交流が深いとか。監督も選手もお互いにリスペクトしあっている雰囲気が感じられ、さわやかな試合だったと思います。
慶應の監督は、「高校野球を変えたいと思ってずっとやってきた」と語っていらっしゃいました。
変えたかったのは管理を厳しくして監督の言いなりになるようなチームではなく、自ら考え主体的に練習も試合中のプレーもできる選手を育てることだということらしいです。
高校野球の選手につきものの丸刈り強制はなく、髪型は自由、選手同士の話し合いを重要視して、練習メニューなども考えさせるそうです。
高校野球はあくまでも教育の一環であることを考えれば、当然の帰結のような気がしますが、現実には、練習メニュー、試合中のプレーに自由はなく、私生活においても寮生活で規律が厳しく髪型も丸刈り強制などをしている高校が今でも主流のようです。

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同意なく人の身体に触るのは犯罪

 夏は野外での音楽フェスティバルが盛んに行われますが、そんな中の一つの場で、ある女性アーティストが舞台上から降りて観客とハイタッチというんでしょうか、軽く手を合わせたりしながら歩いている最中に胸に触るなどした客が複数人いたため、本人が性的な被害だとしてSNSで告発して話題となりました。
したところ、「露出度の高い恰好をしていた本人にも責任がある」、「本人が悪い」などという言説がネットにあふれたそうです。
私はそういう言説について直接は見ていませんし、知らなかったのですが、ニュースで知りました。
主催者側は、事態を重くみてビデオ映像などで状況を確認して、「犯人」を特定して刑事事件として届出たところ、当事者が警察に出頭したというところまでが、私が報道で知る一連の出来事です。
この事件で、私が驚いたのは、「そういう恰好をしている本人が悪い」という意見が、ネット上にあふれたらしいということです。
「えーっ? まだそんなこと言ってる人がいるのか」と思いました。
本人の服装に関わらず、同意なく人の身体に触るのは犯罪です。
当該ミュージシャンは犯罪被害者であり、他者に非難されるいわれはありません。

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医師の過重労働による労災

 過重労働により精神疾患となり自殺したというニュースを聞くと、私は、自分が労働に関する職業についているせいかもしれませんが、すごく辛いと言いますか、悲しいと言いますか、ご遺族のお気持ちはいかばかりかと想像してしまいます。
自殺した方々の年齢や職業や労働環境は様々ありますが、働き過ぎて命を落とすなんて本当に悲惨なことだと思います。
もっと休みましょう。
休みをとれる労働環境をなんとか作りましょう。と思いますが、医療現場というのは、私は全くわかりませんが、それが難しい職場ではありそうだなとも思います。
病気は突然なることも多いし、命に係わる場合もあるわけで、お休み中でも呼び出されたりすることもありそうだなとも思います。
昨日、報道されていた26歳の若手医師の方の労災が認められたとのニュースを見て、医療現場も特別な仕事だからと言うのではなく、身心の健康に配慮しながら働いていただけたらよいのにと思いました。
それが、難しいから事件が起きたのかもしれませんが。


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戦争の破壊力は世代を超えて

私は、生まれてこの方自分の国が戦争 状態にならなかったのは、本当に幸運なことだったと思っています。近年、不穏な空気も感じますが、世界のどこかで戦争が絶えない現実の中で、日本は平和だなと思います。
そんな日本もかつては戦争をしていたこともあり、それは歴史の中に埋もれつつあると思っていましたが、そんなことはなく、戦争の悲劇は世代を超えて続いていくという記事が今朝の朝日新聞にありました。

戦後、兵隊として戦っていた人たちが続々と帰国しましたが、その中には心に深い傷を負った人も多く、無気力になり満足な仕事をしなかったり酒浸りになったり、家族に暴力をふるったり子どもを虐待したり、ほとんど口をきかなくなったり笑わなかったりと、その苦しみが子や孫にまで影響を与えていたということがわかってきたという内容でした。
兵士として無抵抗な民間人に対して残虐な殺戮行為などをした体験により、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症していたらしいということが、近年になってわかってきた家族の一人が、そのような体験を語る会を立ち上げ、今年6月集会を開いたら100人ほどが集まったそうです。
かつて、陸軍病院の院長も精神疾患を患う兵士の多さを体験していて、戦後話をしていたそうですが、近年の推測では、戦争中、精神疾患となった兵士は数十万人はいるのではないかとされたそうです。
陸軍は、終戦時にそういう記録も含めて多くの記録を焼却したため、まったく闇に葬られた事案ですが、アメリカのベトナム戦争の帰還兵でPTSDを患う人が多いことがわかっていますから、そういうことがこの国にもあったと考えることが妥当でしょう。

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埼玉県の最低賃金初の1000円超え

 私の地元の埼玉県の地方最低賃金審議会は、最低賃金を41円アップして987円から1028円にするように答申を出しました。埼玉県の最低賃金は初めて時給1000円を超えることになりそうです。
東京都は1113円、神奈川県は1112円、千葉県は1026円と、首都圏は軒並み1000円を超えることとなりました。
2019年度(令和元年度)に全国で初めて東京都と神奈川県が1000円を超え、昨年度は大阪府も1000円超えとなり、今年は愛知県も1000円を超える見込みです。
支払う方の事業主さんは大変かもしれませんが、私が社労士になった2006年度は埼玉県が687円、東京都でさえ719円でしたから、せめて1000円はないと生活するのも厳しいのではないかと考えていました。
1000円までくるのに随分時間がかかったんだなーと思います。
それだけ、物価や賃金そのものが上がらなかった時代が長く続いたということなのでしょうか。
最低賃金については、全国一律にした方がよいという意見もあります。
物価や家賃など生活費を考慮して地域ごとに決めているらしいのですが、地方と都市部との賃金の差により地方から人材が都市に流出して、地方がさびれてしまうとする考え方です。

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みんな一緒に年をとる

私は、 特定社会保険労務士になるための63時間の研修を2007年に受けました。
その後、国家試験を受けて合格して「特定社会保険労務士」と名乗ることができるようになりました。
その研修の最後の3日間はグループ研修で、埼玉県内の様々な地域から来ていた10名の社労士と、一つの課題に対していっしょに意見交換して、リポートをみんなで仕上げました。
たまたまみんな2006年の登録で、いわば同期の社労士でした。
そんなわけで、そのグループのメンバーと「〇〇〇会」という名前で1、2年に一度ずつ集まって飲み会をやってきました。
コロナ禍になった2020年からは事実上の休止状態となり、昨日、4年半ぶりに会うことができました。
みんな、当時と大きく変わったようには見えませんでしたし、元気に様々な業務で活動していて、楽しくお話することができましたが、やはり寄る年波のせいか、病気や健康管理の話題が増えたような気が・・・。
でも、何よりも、みんなが元気で笑顔で会えたことは本当にうれしい限りです。
コロナ禍で休止していたこのような懇親会も少しずつ行われるようになり、私も夜の街に復活です。
とはいっても、コロナがなくなったわけではないし、まだまだ気をつけていかないといけないと思っています。
また、みんなと元気で会えるといいなと思いながらお開きとなりました。

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定年後再雇用の適切な基本給とは?

 「高年齢者の雇用の安定等に関する法律」により、現在60歳未満の定年は禁じられていて、なおかつ、65歳未満の定年を定めている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するために、1.定年年齢の引上げ、2.継続雇用制度、3.定年制の廃止のいずれかの措置をとることが義務づけられています。
というわけで、多くの企業で法律に適応する措置がとられています。
私のつたない経験の印象ですが、定年に達したときにいったん定年退職として退職金を支払い、その後再雇用の契約をする会社が多いように思います。
社内の従業員の区分も正社員ではなく嘱託などと称して、6か月とか1年などの有期契約として賃金も別体系となり正社員時代よりかなり低額になるというのが一般的です。
役職から外れてもほとんど正社員時代と変わらない業務内容の場合に、この低額になった賃金について、労働契約法20条(現在は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」8条に移行)の「有期雇用者に対する不合理な待遇差別の禁止」の原則に照らしてどうなのかということに対して最高裁判決がでたのが、長澤運輸事件(平30.6.1)でした。
運送会社のドライバーという正社員と業務内容にほぼ差がない再雇用の社員についてですが、この判決で、最高裁は、当時の労働契約法20条の条文中にある「その他の事情」があるから、定年後の再雇用の賃金についての減額も精勤手当以外の手当(住宅手当、家族手当、役付手当、賞与)の不支給も違法ではないとしました。

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