最近、あれこれ心乱れることも多く、心穏やかに過ごしたいと思い、ある思想家といいますか哲学者といいますか、明治の初期に生まれ、大正、昭和の時代に活躍したある方の講義録みたいな本を読んでいます。仕事の合間にちょっとずつ読み進んで一読はしたものの、やはり一度読んだだけでは忘れてしまうこともあるし、じっくりと頭に入れるためには少しずつでも何度も読んだ方がいいなと思い、寝る前とか、休憩時間とかに読んでいます。
その方の考え方に影響を受けた著名人も多く、松下幸之助氏や稲盛和夫氏などの名前が挙がっています。
もともとその本は我が家の本棚にあったものですが、私は買った覚えがないので多分夫が買ったものでしょう。
人生を生きる上での心がまえというようなことが書いてあるのだと思うのですが、いろいろあってすべて理解しようとしても衰えかけた我が頭脳にはなかなか難しいこともあるのですが、ごく簡単にいってしまうと、すべては心のありようであり、大切なのは心をいつも明るく積極的にしておくというようなことが書かれています。
「明朗颯爽」としていなさいとかという表現なのですが、私なりの言葉で解釈すると、心のベクトルを常にプラスの方向に向けていなさいというようなことかなと思いました。
マイナスの方向に向けてもいいことはないということなんです。
「働き方改革」では、多様な働き方として副業、兼業の推進が挙げられていました。
副業、兼業について厚生労働省のモデル就業規則が原則容認に改正されたりもして、労使ともに関心の高まりはあると思います。
先ごろ、厚生労働省は、副業・兼業に関するモデル事業を10月2日から開始すると発表しました。
公益財団法人雇用安定センターという労働移動を支援する組織があり、そこが中心となって上記事業を行うと発表しています(参照)。
事業に先立ち、同センターが行った企業に対する副業・兼業に関する調査結果も同サイトで閲覧できます。
同センターの賛助会員企業の調査で回答率もそんなに高くはないですが、今年6月~7月にかけての調査ですから、最新の企業の意識の傾向は読み取れるかなと思いますので、ちょっと読んでみました。
先週、所属する社労士会の研究会で、パワハラについての話題がでました。
会員の顧問先でのことで、他の会員の意見が聞きたいということで話題となった事案で、詳細は控えますが、あらためてパワハラについて考える機会となりました。
私は、個人的には「すべての事案の回答は法令の中にある」と考えていますが、現場では法律論をふりかざすだけでは解決できない場合もあるというのは理解しているつもりです。
それでも、お客様に説明する場合には、必ず法令の根拠を示してお話します。
皆さん、熱心に聞いてくださいます。
「法律なんて難しい話はいい」などと言う方はいません。
というわけで、パワハラについてもまず根拠となる法令については何度も読み返しています。
根拠となる法律「労働施策の総合的な推進並びに労働省の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第30条の2には、「パワーハラスメント」という文言はいっさい出てきません。
「パワハラをしてはいけない」とも書いてありません。
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって」、「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や必要な措置をしなさいと書かれています。
要するに、事業主に課されているのは、パワハラのない職場環境とするための管理措置義務なのです。
業務に起因してけがや病気を患った場合、労働者災害補償保険法により治療費その他の補償が 行われます。
これは、労働基準法により使用者に対して業務上の疾病に対する補償義務が課せられていることから、それを確実なものとするために、国の管掌により保険制度を作っているからです。
人を一人でも雇った使用者は必ずこの保険制度に加入して保険料を納め、労働者の業務上の疾病に対して備えなければなりません。
近年、業務に起因して精神疾患を患う労働者が増えていますが、私が社労士になった2006年頃は精神疾患については、申請してもなかなか労災と認めてもらえず、請求件数の数パーセントあるかないかぐらいと言われていました。
裁判例なども積み重なってきて、認定基準の見直しが行われた後の平成23年度から令和4年度までを見ると、年々請求件数は増加傾向にあり、令和4年度の請求件数に対する支給件数の割合は26%となっています(精神障害の労災認定に関する専門検討会報告書)。
この度、認定基準にいわゆるカスタマーハラスメントなどが追加され、この報告書についても厚生労働省の広報サイトに資料として公表されています(参照)。
最近、困っている人を支援するふりをして自分たちが暴利をむさぼる、いわゆる「貧困ビジネス」というのが時々報道されています。
先週みたテレビ番組「報道特集」でもその一つの事例を取り上げていました。
コロナ禍で仕事を失い、どうにもならなくなって、ネットで見つけたある社団法人Xに助けを求めたAさんは、Xの支援を受けて生活保護を受給でき、生活保護者に対する住宅援助費用も受けられることになり、Xの紹介でアパートを借りることができました。
家賃は、住宅扶助として受けられる上限額と同額です。
しかし、このアパートはかなり古くて近隣の人たちから「よく借り手がつくね」と噂されるような物件であり、設定された家賃は相場よりもかなり高額です。
それでも、Aさんと同様にXに支援を受けた人で満室となっています。
Aさんは、最初にXの担当者に言われるままに預金通帳や印鑑、免許証、マイナンバーカードなどを預けてしまっていました。
就職活動をしようにも身分を証明するものがなく、返してもらうように要求しても返してもらえず困り果てて、Aさんのような人を支援している弁護士に相談します。
結論から言いますと、Aさんは弁護士の支援により預けたものを何とか取り返し、その後別の自治体に移ってから就職もできて、再出発できたそうです。
番組の中では、Xの実態について驚くようなことが暴かれていきます。
一昨日記事にした派遣法33条に関連して、補足的にもう少し書いておきたいと思います。
派遣先が派遣社員を受けい入れるためには、まず人材派遣会社と派遣契約を結ばなければなりません。
記載すべき事項は法律で決まっています。
厚生労働省でひな形も出していますが、この中に、「派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置」という項目があります。
先日の記事中で、派遣労働者が派遣元との契約終了後に派遣先と雇用契約を結ぶことについて、派遣元はそれを禁じることができないという派遣法第33条の条文を記載しました。
でも、それにより紛争になる場合を考慮する措置なのでしょうか。
例として、「派遣先が派遣元に通知することとする」とあります。
まあ、それはいいとして、「派遣元が有料の職業紹介の許可を受けている場合は、職業紹介を経由して行うこととし、紹介手数料については、別途協議するものとする」とあります。
しかし、詳細についての解説をみると、派遣先が派遣元に紹介手数料を支払うのは、派遣元が職業紹介の許可を受けており、派遣先がその職業紹介により当該労働者を雇用する場合に限られます。」と記載されていて、むやみと紹介手数料をとるというような契約書は作れないと考えられます。