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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

もしも社員が暴力事件を起こしたら?

このところ、毎度お騒がせの朝青龍がまたまた事件を起こしたということが報道されています。

泥酔した挙句、一般の人にけがをさせるという事件を起こし、最初は被害者はマネージャーだと嘘をついていたりして、かなり評判が悪くなっています。

辞表を出して潔く辞めるべきという意見もあります。

私は相撲にはそれほど興味がないのですが、これを一般の会社に置き換えたらどうなんだろうと考えてみました。

顧客からそこそこ堅調な支持を得ている老舗企業の幹部社員が、私的な時間に食事した後、酔って社外の人にけがをさせた。最初は、部下の社員が私がやられたとかばっていたが、目撃者などもいて実は社外の人だとばれてしまった。

事件は公になり、新聞記事にもなって社会を騒がしている。

この幹部社員は能力が高く仕事はダントツにできて、顧客からの人気もあるが、かねてより素行に問題があり、会社としてもどうしたものかと悩んでいる。なんて感じでしょうか。

事件は仕事中ではなくプライベートな時間中で、本来なら会社は社員の私的な時間を制約する権利はありませんが、会社の信用や名誉を傷つけたりした場合には、制裁を加えることができるというのが通常の就業規則などでの規定です。

しかし、そもそも、対等な立場で結ばれる労働契約という「契約関係」の中で、(このあたりはもう朝青龍とは状況が違うと思いますから、一般会社として考えてください)会社側だけが支配的に懲戒処分ができるという根拠は何なのか?

1.使用者は規律と秩序を必要とする企業の運営者として当然懲戒権がある。

2.使用者の懲戒処分は、労働者が労働契約において具体的に同意を与えている限度でのみ可能である。

1.とすると、就業規則等の根拠がなくても処分は可能となりますが、2.だとすると就業規則に理由を明示して労働者に周知していないと処分はできないことになります。

 

判例では、労働契約の締結により労働者は企業秩序維持義務を負うため使用者は企業秩序違反に対して懲戒を課すことができるとして、1.の考え方を認めていますが、同時に「規則に定めるところに従い」懲戒処分ができるとして、2.の立場も認めています。

かくして、使用者は労働者に懲戒処分をしたければその理由とやり方を就業規則に明示して、労働者にきちんと知らせておかなければ、処分はできないというのが現在の労働法的考え方です。

プライベートな時間に起したことは、企業秩序維持の話とは違いますが、会社の信用、名誉を著しく傷つければ処分もやむを得ないというのが、一般的な考え方です。ただし、就業規則できちんと明示して、労働者にも周知しておかなければ、処分はできないということになります。

私生活上のことについて処分をする時には、企業の社会的評価を著しく下げた時に限るなど、仕事に関連する不祥事に対する処分よりも、理由に対しての制約をより強く受けることになります。

〔今日の参考文献〕菅野和夫「労働法第七版補正二版」365~376

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