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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

遺族年金の行方 本妻か内妻か?

2、3日前の毎日新聞に遺族年金についての訴訟で、みとった内妻が本妻に勝訴したという記事が載っていました。


社会保険というのは実態を重視します。配偶者の中には届出をしていないいわゆる内縁関係の人も含まれます。ですから、実態が配偶者と同等と認められ収入要件などを満たせば、事実婚の配偶者でも健康保険の被扶養者として認められますし、遺族厚生年金も受給できます。


健康保険の場合はいっしょに暮らしていれば(被保険者本人に生計を維持され、かつ同一世帯に属す)事実婚の配偶者の父母や子供も被扶養者となります。


新聞記事のような重婚的内縁関係についてはちょっと複雑になります。

記事の事例は、本妻との離婚が成立しないまま内妻と同居し病死した男性の遺族年金について、国が本妻に支給決定したため、内妻が訴えを起こし、内妻が勝訴したものです。東京地裁の判決となっていますので、今後さらに高裁で争われる可能性もあると思います。


記事によると、男性は90年に結婚、単身赴任中に内妻と知り合い95年に同居を始め、結婚式も挙げました。その後肺がんと診断され内妻に看病され02年に死亡しました。国が本妻に年金を支給したため内妻が国を提訴し、今回勝訴したものです。


判決によると、男性との同居期間が本妻4年、内妻6年5ヶ月、本妻への手紙などから男性が一貫して離婚を望んでいたと判断されたとのことです。


男性が離婚を望んでいたのに本妻がそれに応じなかっただけで、結婚生活は既に破綻していて形骸化していたと判断されたのでしょう。社会保険は「実態主義」ですから。同居期間の長さも影響したみたいですね。結婚生活の様子や子供の有無など、他の情報が何も書かれていませんが、本妻の立場にたつとちょっと複雑ですね。


民法上の判例でも、事例のように「勝手に不倫をして妻を捨て離婚しようとする男性」(有責配偶者)にはずっと離婚を認めないということが続いていました。そんなことは妻に対して「踏んだりけたり」だと判決文にある「踏んだりけたり判決」(最高裁判決昭和27年2月19日)などが有名です。


しかし、結婚関係が破綻しているのに離婚を認めず形骸だけを残すということに徐々に疑問が呈されるようになりました。年齢や同居期間、子供の有無、等を考慮した上で、離婚後の生活が著しく困窮するなどの事情がなければ破綻した結婚については、離婚を認めてもよいのではないかという流れができました。(注1)


注1、民法上の解釈については、「親族法への誘い」岡部喜代子 八千代出版65~70ページ、別冊ジュリスト判例百選「家族法」32~33ページを参考にしました。


そんな流れを受けての今回の裁判所の判断だったと思います。男性の立場なら、自分の意思を文書に残しておくとか、本妻とは完全に切れた状態にするとかしておけば、内妻が有利になるということですね。


内妻の立場ならとにかく離婚してもらうこと、それができない場合は事実婚の証明ができるようにしておくことなどでしょうか。(住民票をいっしょにする、健康保険の被扶養者になるなど)


本妻の立場なら、そんな男早くのしつけて内妻に渡しちゃいなさいと言いたいところですが、愛していて別れたくないなら、頑張って「妻」の立場を維持することですかね。内縁の妻には相続権がないですから、(遺言があれば別)年金はだめでも他の財産の相続はできます。もしくは、夫と行き来をして時には生活費をもらったりしていれば、婚姻関係は破綻していないとみなされます。


いずれにしても、どろどろした人間関係になりそうで、私はちょっと苦手です。皆さんはどうですか?

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コメント


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試験問題に出されそう・・・

こんにちは!
タイトルの通り試験に出題されそうな実例です。
生きている限り、人間関係からは逃れられませんねぇ。コミュニティの最小単位の家族の中でさえなかなか上手くいきません^^;
その範囲が社会に広がると当然問題は起こります。法律は人間社会の中のルールの一つだと思います。
社労士は法律家ですから、何か問題に当たった時は法律や判例を基に判断しないといけないと思います。
えらそうな事を言いました。やっぱり民法も勉強しないといけないなぁ...^^;

しろたぬき | URL | 2006年12月16日(Sat)16:57 [EDIT]


しろたぬきさん
こんばんわ。

民法は1000条以上あるので大変ですが、時間があったら是非勉強してみてください。
そこらへんにありそうな問題を規定していますので、わかってくると面白みが出てきます。
しろたぬきさんはまだまだお若いのですから、焦らず一歩づつ進んでください。
それから、この世界は法律論だけでは解決できない問題の方が多いように思います。
「人情の機微」みたいなものを大いに学んでください。
私もえらそうなことは言えないんです。発展途上です。
いっしょに頑張りましょう。

おばさん社労士 | URL | 2006年12月16日(Sat)21:23 [EDIT]


内妻の立場ならとにかく離婚してもらうこと、それができない場合は事実婚の証明ができるようにしておくことなどでしょうか。(住民票をいっしょにする、健康保険の被扶養者になるなど)

とありますが、重婚的内縁の妻を被扶養者にすることは出来ないのではないですか?

質問さん | URL | 2006年12月19日(Tue)12:44 [EDIT]


質問さんさん
はじめまして。
コメント(質問)ありがとうございます。

本妻との結婚生活が完全に破綻して形骸化していて、別居状態にありかつ本妻が被扶養者になっていないという前提で考えました。内妻の方の要件がかなえば被扶養者になれるのではないかと思います。
ただ、私はそのような場合の実務をしたことがなく、正直言ってそれが可能なのかわかりません。
機会をみて先輩社労士のご意見など伺って、またお知らせしたいと思います。

ご指摘ありがとうございました。

おばさん社労士 | URL | 2006年12月19日(Tue)14:19 [EDIT]