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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

賃金評価は難しい

今、就業規則を作成中の経営者の方から賃金のことでご相談を受けました。

「職能給とかよく言うけど、簡単な等級表とかないですかね。ネットで検索してもなかなかないんですよね」

賃金制度の構築というのは社労士はもちろんのこと、それを儲けの種にしているコンサルタント会社もいっぱいありますから、そうそう皆さん情報は公開しないでしょうね。

また、会社、会社で個別に作るわけですから、全てがオーダーメイドです。既製服のように簡単に使い回しできるかというと、そうでもないのでネットには出にくいのだと思います。

私も社労士受験生時代には、賃金のことまでとても勉強が間に合わず、職務給と職能給の区別も怪しいという今思えば無知な時代がありました。

今はもちろん違いますよ。この業界に身を置くからには賃金についてもかなりのスペシャリストでなくてはいけませんから。

そんなわけで、今日は朝一番で前述の会社の社長にお会いして、ひとしきり賃金制度についてお話してきました。

まず、職務給と職能給の違い、一般の方はそういうこともご存知ない場合が多いです。

職務給というのは仕事給ともいえるものですが、この仕事にはこの賃金というように、職務の質と量を分析して格付けして賃金を決めます。

会社内の仕事内容について必要な基礎知識、経験の度合い、精神的、肉体的負荷、責任の度合いなどを細かく分析します。同じ内容、同じ負荷の仕事なら同じ賃金という第二次大戦後アメリカから入ってきた賃金制度の考え方です。仕事に給料がつきますから、属人的な学歴、経験、年齢などを重要視していたそれまでの日本の賃金制度と大きく異なる考え方です。

 

戦後職務給について学んだ楠田丘氏は職務分析などの方法に目覚めますが、会社に就職して社内で営業から総務へ異動などということが日常茶飯事の日本では、仕事に賃金をつけると異動の度に賃金が変わるという厄介なことになるので、別の賃金制度の方がいいと考え職能給制度を発案します。

このあたりのことについては過去記事にしました。(過去記事①)、(過去記事②)

楠田氏の職能給は、日本型の年功序列の部分と能力給の部分をうまく組み合わせるというようなやり方ですが、それでも能力の部分を誰がどのように評価するかという問題が出てきます。

その後、成果給というような考え方もでてくるのですが、いずれにしても社内の現在の仕事について細かく分析して格付けして等級表を作るという作業が必要です。これはやはり手間隙がかかりますし、当然費用も発生します。

しかし、中小企業の場合、時間とお金をかけて制度を構築してもなかなかその格付け表のとおりにできないという話も聞きます。人間関係が濃密な分、数字のみで図れない部分も多くあり、経営者の印象と格付けがぴったり合わない場合があるからです。

その人の持つ人柄まではなかなか数字に表せないのですね。その人がいると職場の雰囲気が和やかになるというようなことも、数字で評価しにくい部分です。また、能力の格付けにより社内がぎすぎすした雰囲気になったり、後輩に追い抜かれることを嫌い、先輩がちゃんと仕事を教えなくなるなどの弊害もよく指摘されるところです。

 

私としては、賃金制度の構築をご依頼いただけば、営業的には儲けにつながりますが、この会社の現状を見ると、そこまで大々的にやるよりも現状の基本給の決め方、手当の決め方などを考えるだけでもだいぶすっきりすると思ったので、そんなお話をしました。

この経営者の方は知識を吸収することに意欲的な方なので、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査結果などといっしょに、独立行政法人労働政策研究・研修機構で出している、その業界についての論文なども入手して差し上げました。

もちろん、基本給の決め方、手当の考え方などいくつかのアイディアを出しましたら、とても熱心に聞いてくださって、話を聞いてよかったと言ってくださいました。

そんな一言をいただけるのはうれしいことです。もっともっと勉強しなくてはと思いつつ帰路につきました。

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