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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

定年制度についてアレコレ考える(2)

昨日書いた定年制のことで、補足的にちょっと書いておきたいと思います。

同じ社内の職種や役職についているか否かで定年年齢を変えるということについては、合理性があれば認められるという考え方ですが、例えば、自動車運転を主とする配送の仕事と、デスクワークの事務職で、前者の定年年齢を若く設定するのは、合理性があると考えてよいでしょう。

しかし、一方の職種が男性ばかり、他方は女性ばかりとなると、話は別です。

男女差別として無効とされる可能性が高いと思います。

一般職員55歳、准職員31歳とした定年制について(現在は60歳以下の定年は違法です)準職員が全員女性であったため、事実上の男女差別として無効とされた裁判例がありますので、(盛岡地裁判昭46.3.18岩手県経済農協事件)、職種の性別が偏っているような場合は注意が必要です。

定年というのを一種の「解雇」だと考えると、解雇制限期間中(注1.)の定年はどうなんだろうという問題もありそうですが、これは、解雇されることによって労働者が生活に困窮することに対する保護規定と考えれば、定年はあらかじめわかっていたことで、労働者側も心構えやそれに対する備えができるのだから、適用はないとする裁判例があります。

ただし、就業規則等で社内的なルールを定め、労働者に周知するということがなされていなければ、逆の結果も考えられます。

個別の契約、就業規則等できちんと労働者に周知し、理解してもらっておくことが重要でしょう。

〔注1.〕労働基準法第19条では、労働者が業務上の傷病又は出産を理由として休業している期間及びその後30日間の解雇は禁止されています。

 

異なる定年年齢の企業が合併した場合などはどうでしょうか。

63歳定年と55歳定年の企業が合併して57歳定年としたことが認められた裁判があります(最判平9.3.27)。これは、63歳から57歳という不利益な変更ですが、必要性、相当性、などとともに、労働者の受ける不利益の程度、定年については悪くなったけれど、他の労働条件がよくなっているというようなことがあったかどうかということが問われたと思います。

他にも、役職を58歳ぐらいで降りてもらって労働条件を事実上悪くするなどの「役職定年制」の問題などもありますが、基本は社内的なルールをきちんと作り、労働者に周知して納得して働いてもらうということにつきます。

当たり前のように思っていた定年退職ですが、考えることはたくさんあるんだなと思いました。

〔今日の参考文献〕河本毅 「労働紛争解決実務講義」第二版P754~792

 

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