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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

マイカー通勤における使用者責任

交通の便のよい都市部は別として、地方へ行けば行くほどマイカー通勤というのがよくあると思います。
私の事務所のある埼玉県南部は比較的交通の便はよい方だと思いますし、土地代もそこそこ高いですから、マイカー通勤というのはあまり一般的ではないと思いますが、今までに就業規則を作成したり見直したりした会社で、何社かマイカー通勤を容認していました。

そういう会社は比較的社員に優しいというか、駐車場まで確保してあげたり、敷地が広いから適当に停めていいよなんていう感じの会社もありました。
「任意保険には入っていただいてますよね」
「入るようには言ってるんですけど・・・、どうかな」
なんて社長もいらして、皆さん案外危機感がないんですね。

マイカー通勤をしていた社員が通勤中に交通事故を起こした場合に、会社に責任はあるのか?
ということがまず問題となると思いますが、民法715条による使用者責任、人身事故の場合には自動車損害賠償保障法3条による責任があるのかという判断になります。
大方の裁判例では、マイカーを外勤業務などに使用し、会社もそれを容認していたような場合には会社に責任があるけれど、そうではなく、通勤のみに使用していた場合には会社には責任がないとしています。
通勤については、使用者は従業員に対して直接的な支配を及ぼすのは、場所的、時間的に困難であるからです。
外勤業務以外で会社に責任があるとされたのは、マイカーを会社の用事で運転していたとか、給料をもらいに行く途中の事故とか、車両持込運転手の事故などです。
逆に会社の責任が否定された例としては、会社主催の宴会後、同僚とカラオケスナックに向かう途中のマイカーの事故で、これなどは業務に近いのかなと思いますが、業務執行行為でも付随する行為でもないとしています。

結論としては、通勤のみに使用していれば会社に責任がないのかなと思っていましたが、私としては、その結論に多少の違和感がありました。そもそも通勤というのは業務をするためにすることですので、会社はそれを容認する限り事故というリスクがあるのは承知の上ということになりますから、少なくとも任意保険の加入を義務付け、きちんと更新しているか毎年確認するぐらいの作業は必要だろうと思っていました。
判例では会社に責任がないという結論が多いとしても、被害者が会社に請求する例がある以上、会社が無用なトラブルに巻き込まれるリスクはあるわけですから。

ところが、今、見直しをしている会社もマイカー通勤容認だったため、少し調べてみましたら、会社がマイカー通勤を容認していただけで、通勤中の事故について会社に責任があるとした判例も出ていることがわかりました(福岡地裁飯塚支部判平10.8.5)。
「通勤は業務そのものではないが、業務に従事するための前提となる準備行為であるから、業務に密接に関連するということができる。労働者が通勤時に災害に遭った場合に労務災害とされることがあるのもそのような観点によるものである」として、会社の責任を認めています。
前述の違和感を感じていた私は、この考え方についてかなり同感できます。

というわけで、私はいつも「対人無制限、対物500万円以上」の任意保険に入り、毎年、保険証券の写しと免許証の写しを提出してもらって、マイカー通勤を許可制にするように就業規則を作っています。「対人無制限」の保険にさえ入っていれば恐いものなしですから、保険で十分賠償できて、被害者側も会社に請求してこないと考えられます。
また、同時に就業規則上で安全運転に努めるとか、決められた場所に駐車するなど、社内ルールも記載するようにしています。
前述の裁判の判決では、会社はマイカー通勤を認め、走行距離に応じてガソリン代の半額を補助して、駐車場所も提供していたという事情に照らして、民法の使用者責任、自賠法の運行供用者責任を負うとしています。会社は、マイカー通勤者に対して普段から安全運転に対する指導、教育をし、事故に備えて十分な保険契約締結の点検指導などもするべきだとしていて、会社に厳しい要求をしています。私と考え方がいっしょだなと思いました。
まずは、十分な任意保険に入ることが肝要だと思います。

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