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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

過労死は社長個人にも責任ありとの判決

昨日、報道でも大きく取り上げられましたが、過労死についての画期的な判決がありました。
今まで過労死の責任を問う裁判では、社長個人や経営担当の役員ではなく、会社という組織が被告になり責任を問われるというのが通例でした。
この裁判では、社長を含めて4人の役員も訴えられていて、働きすぎを強いるような給与体系を改善しなかったとして責任を問われたようです。
普通は会社を訴えて、経営担当者個人まで訴えるというのはあまり聞きませんが、労働基準法をはじめとして、労働法関係の法律を読めば、別におかしなことではないと思います。
労働法では守るべき義務の主体を「使用者」、「事業者」という表現をしていて、その「使用者」とは何かといえば、「事業主、又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」(労働基準法第10条)
と考えているからです。

労働契約法では、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」(第5条)
と、使用者の安全配慮義務について明文化しています。
この義務の主体も「使用者」という表現ですから、社員が過労死すれば、「使用者」である社長や会社役員が責任を問われるのは、むしろ当たり前のことなのです。
条文では、「労働契約に伴い」とありますので、労働契約をしたからにはセットになってついてくる義務であると考えることができます。
労働契約の主体は誰かといえば、労働者と使用者であり、使用者側の名前は普通会社の代表取締役の名前になっているはずですから、労働者の生命、身体の安全を脅かすようなことが会社で起きた場合、社長の責任が問題になってもおかしくはありません。
もちろん、日ごろから十分な配慮をしていたにもかかわらず、何らかの事故が起きるということはあるでしょうから、個別の案件をよくみて責任の度合いを判断していくことになるのだと思います。この裁判についても、判決文を読んでいませんから、私としては新聞で読んだ限りのことしかわかりません。

この裁判の被告となった会社は、全国展開する飲食店チェーンで、私の所属する社労士会の支部の例会後の懇親会でよく使うお店も経営しています。
おなじみの名前を新聞でみて、「おっ」と思って記事を読みました。
過労死した社員は、大学卒業後4月に入社して調理などを担当していましたが、同年の8月に就寝中に急性心不全で亡くなり、労災と認定されています。
4ヶ月間の時間外労働が月100時間を超えて、労災判断の基準となる時間外労働時間を超えています。(発症前2ヶ月ないし6ヶ月の平均おおむね80時間又は直前1ヶ月おおむね100時間)
さらに問題とされたのは、時間外労働が月80時間に満たないと給与を減額するシステムになっていたそうで、長時間労働を前提とした給与体系になっていたそうです。このあたりが会社並びに経営者に厳しい判断となったのだと思われます。
なお、過労死の認定基準の詳細はこちらにあります。(参照)

私も、社労士会の仲間や、家族、友人たちといわゆる居酒屋で飲むことが結構あります。
いろいろみんなでつまんで飲んで、割り勘にするといつもそんなに高いと思ったことはありません。でも、その陰には長時間労働で働かされている若い人たちがいるということなのだろうか。
そう思うと、ちょっぴりビールの味も変わってきそうな、そんな裁判の報道でした。

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