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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

職場の受動喫煙放置の違法性について

以前、職場の喫煙時間が労働時間になるのかどうか、また関連して受動喫煙の害などについて過去記事にしたことがあります。(過去記事①)、 (過去記事②)
その後、所属する自主研究会の発表会でも関連の発表をして、この問題については私も随分勉強しました。
昨日の朝日新聞に職場の受動喫煙に苦しむ労働者の話が掲載されていて、興味深く読みました。
受動喫煙により体調をくずし、会社に申し入れをしても全くとりあってくれなかったばかりか、「会社の和が乱れる」と解雇され、労働審判で現在係争中の例、自分の席近くに間仕切りも排気も不十分な喫煙室ができて、吐き気、めまいなど体調不良になり上司や労働組合に相談したが改善されず、休職せざるを得なくなった例では、職場の上司が
「職場のたばこは法律で禁止されているわけではなく、就業規則にもダメだと書いていない」と語ったそうです。
要するに、違法性はないと言いたいのだと思いますが、果たしてそうでしょうか。
私としては、多少のひっかかりを感じました。


タバコの有害性については科学的に決着がついていて、受動喫煙も含めて害があるという大前提があります。
「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」も批准されていて、健康増進法では努力義務ながら「学校、体育館、病院、劇場・・・・」など多数の者が利用する施設の管理者に受動喫煙防止について必要な措置を求めています。
この例示の中に「事務所」というのもあり、これは会社のようなものを想定していると思われます。
他には、厚生労働省で職場の受動喫煙防止のためのガイドラインを策定していて、喫煙者と非喫煙者が相互の立場を十分に尊重しつつ、可能な限りの分煙制をとるようにとしています。
そのため、大企業では対策が進んでいるそうですが、中小企業、特に30人未満の規模では半数が何も対策をとっていないという調査結果がでているということが、前述の新聞記事に記載されていました。

平成20年3月より施行の労働契約法では使用者の安全配慮義務が明文化されました。
使用者には労働契約に付随して、労働者の職場における安全と健康に配慮する義務があるとするものです。
この義務は身体面だけではなく精神面も含まれますし、労働時間を管理して荷重労働にならないようにする、セクハラ、パワハラ、嫌がらせなどのない職場にするなども含まれ、広い範囲での安全に対する配慮が求められています。
また、労働安全衛生法でも、職場における労働者の安全と健康の確保が義務付けられています。
科学的根拠に基づき有害性が証明されている受動喫煙の害について放置しているとしたら、安全配慮義務違反の疑いが極めて高いと思います。

判例では、平成の初期の頃は「喫煙の嗜好及び習慣は長年にわたり社会的承認を受けて推移してきたことから」個人的嗜好の問題として容認されるなどとして、喫煙室設置の要求を拒否した判決(名古屋地裁判平3.3.22名古屋人事委員会事件)などがあり、概ね喫煙者に有利な判決となっています。
しかし、前述の健康増進法、ガイドラインなどが発表になった後では、事案の起きた時点では受動喫煙の害がはっきりしていなかったため、安全配慮義務違反とまではいえないとしながら、喫煙について配慮が足りなかったとして慰謝料を認めた例(東京地裁判平16.7.12)なども出ていて、裁判の場でも今後は受動喫煙の害に対する配慮が求められていくものと思います。

前述の条約やガイドラインについては厚生労働省のたばこに関するサイトに詳細があります。興味のある方はご覧ください。(
参照)

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