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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

企業が負える責任には限度があると思う。

7日に開催された政府の「自殺総合対策会議」で厚生労働省が発表したところによると、2009年の自殺やうつ病による休業等の経済的損失が、推計で2兆7千億円にのぼるとの推計を発表したと報道されています。
自殺した人が70歳まで働き続けたとした場合の所得の合計と、休業しなければ得られただろう賃金所得、うつ病にかかる医療費などの合計だそうです。
随分多額だなあと思いますが、こういうことをお金で換算する意味というのはあるのかなあと思います。
何でもかんでも、経済効果とやらのお金による数値化、今風に言うとお金による「見える化」というのはいつ頃から始まったかなあと考えてしまいます。
もしかして、そんな風潮もうつ病を増加させている一因ではないかという気がしないでもありません。

それはさておき、厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」では健康診断とは別に企業にストレスチェックを義務づけることを提言したと発表されています。(報告書案参照)
この検討会のメンバー(参照
)は、産業医や医師や大学の先生やその方面の研究者、弁護士、企業側の人と見られる人が一人はいっていますが、社会保険労務士は入っていませんね。
労務管理の専門家であるはずなのですが、こういう政府系の会にはなかなかお呼びがかからないんでしょうか。法律的には弁護士はオールマイティで社会保険労務士の仕事もできるので、労務管理に明るい弁護士さんが入ったということでしょうか。
またまた、それはさておき、前述の企業に対する義務化ですが、企業は健康診断とは別に「よく眠れない」「ゆううつだ」などのストレス検査を実施して、医師が面接が必要だと判断した場合は企業には知らせず本人にのみ通知して、本人が面接するかどうか判断する。面接の結果、医師が休業や残業の制限、配置転換などが必要と判断した場合は、本人の同意の上、企業に意見をいうことができる。
企業は面接したことにより本人に不利益な取扱はできないというものです。
今後、労働政策審議会で詳細を詰めるということですが、これは企業にとってはかなりの負担になるのではないかと感じます。

費用の問題などもどうなるか不透明ですが、何よりも、企業側には人事に対する裁量権限があり、権利の濫用にならない限りは配置転換などについての自由裁量が認められています。そのあたりはどうなんだろうと疑問があります。
労働者の健康に配慮するのは当然ですが、精神の疾患の場合はなかなか目に見えにくく、医師でも違う医師だと判断が異なる場合も珍しくなく、果たして企業内のことだけでストレスになっているのかというところは難しい判断を要することだと思います。
少々、過重労働気味でも私生活がうまくいっている場合とそうでない場合とでは、感じ方が違うかもしれないし、企業としては労働者の私生活のことまでは責任が負えません。
メンタルヘルスというのは、企業にとってなかなか厄介な問題だと思います。
だからこそ早めに手を差し伸べるんですよと厚労省は言いたいのかもしれませんが、労働者の個人的性格や私生活が関わってくる問題に、企業に過大な責任を負わせるのはちょっと無理があるのではないかなと感じます。
企業には過重労働にならないような労働時間の管理の徹底や、企業内でのセクハラ、いじめ、パワハラなど、うつ病の原因となるようなことについて一掃する努力をしてもらうことの方が先ではないかなと思います。

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