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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

パワハラと就業規則

今年の8月にパワハラについて3回に渡り記事にしました。(過去記事①) 、(過去記事②) 、(過去記事③)
この記事を書くきっかけとなった最初の記事に登場する社長については、私の考え方をご説明して納得していただき、その他の規程の見直しも含めて、今月ようやく届出をして今週納品をすることができました。
社長には「先生の仕事ぶりには大変満足しています」というお言葉をいただくことができて、めでたしめでたしということになりました。
その席でも18日に労災不支給を取り消す判決の出た裁判(注1.)のことが話題になり、パワハラについて関心を持っていただくことができるようになったんだなと、私としてはうれしかったです。
そんな経験もあり、所属する研究会にパワハラ規定を就業規則に作った方がよいとする原稿を提出しました。
しかし、その後、購読している雑誌にパワハラについて就業規則に規定を作ることに対する、どちらかというと否定的な考え方を書いている弁護士さんがいらっしゃるのを見つけました。

[注1.]1999年に自殺した男性の遺族が起こした訴訟。男性は上司に強い叱責を受け続けたことによりうつ病となり自殺したもので、労災申請をしましたが認められず裁判となったものです。他の人が見ている前で公然と叱責された、「死ね」などの感情的暴言があった、改善を訴えても改善されなかった、などで裁判では労災と認定されました。

その弁護士さんの言説は、パワハラというのは法律で規制されているセクハラとは違い、現段階では法律的な規制がなく、指針も出ていないため態様が様々で定義づけも難しい。実際、違法とされるようなパワハラはむしろ例外であり、就業規則で細かく規定すると、かえって労働者側にパワハラを告発する根拠を与えかねない。記載するとしたら、いじめ、嫌がらせなどと同様にさらっと書いておくのがよいだろう。
というものです。
確かにひとつの考え方ではあるなと思います。
法律で根拠規定のないものについてわざわざ書くことのリスクを考えているのでしょう。
まず、根拠となる法律があり、その法律の解釈をいろいろ考えて結論を出すというのが法律学の世界ですから、根拠規定のないものについてはむやみと書けない。法律を深く勉強するほど、そういう考え方になるかもしれないなと思います。

就業規則とは何のためにあるのでしょう。
様々な価値観の人が集まる職場でのルールを作り働きやすくする。
会社における働き方の根拠を作るということだと思います。
現実世界には時として思わぬことが起こったり、常識から外れているような考え方をする人もいます。
それは、必ずしも法律条文に書いてあることだけではなく、書いていないことも起こってきます。
そんな時に会社としてルールを決めていれば、それにのっとって判断することができます。
パワハラは法律には何も書いていませんが、現実には裁判例もあり、より良い職場環境を作ろうとしたらけしてさけて通れる問題ではないと思います。

冒頭の社長も最初はパワハラ規定について多少の疑問をお持ちでしたが、私とお話しているうちに、
「会社の中でパワーを持っているのは上司だけではないですね。先輩とか、定年後嘱託になっていても元上司だったりするとパワーを持ちますよね」
などと、積極的に考えてくださるようになりました。
それで、就業規則で定義づけをするときに、「職場での関係性において優越的地位や立場を背景にして、人格を無視した言動、及び嫌がらせ的言動や強要で、継続的に従業員に不利益を与えることで」(以下にはさらに具体的な内容も記述しました)
というような定義づけを私も考えることができました。
たとえ法律にはないことでも、経営者が自分の会社ではどのようにしたらよいのだろうと考えるということも意味のあることだと思います。

法律にないことでもその規定を就業規則に作ることにより、より働きやすい職場になるという事柄はたくさんあると思います。それは各会社の態様や社風、経営者の考え方により大きく変わると思いますが、社労士としてそれを見極めご提案していく、いわばアクティブな就業規則を作りたいと私は考えています。

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