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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

顔の傷には男女差なし労災保険法施行規則の見直し

「男は顔じゃない」というのは昔の話になったらしく、今や男性用化粧品もいろいろあるし、男性用の体形を補正するような下着もあるし、男たるもの外形にも気を使うべしというのが、当たり前になりつつあるようです。
そんな中で顔に傷が残った場合の労働者災害補償保険法による補償内容が、60年ぶりに見直されることになったと報道されています。
現行では女性の等級が7級で男性が12級と、男性の方がダメージが少ないと判定されています。
発端となったのは、今年5月にあった京都地裁での判決です。
業務上の事故で顔などに大やけどを負った男性が、後遺障害が残った場合の等級に男女で差があることについて「男性も顔に障害を受けたら精神的苦痛を感じる。性別による差別に合理的理由はない」と訴えたことについて、京都地裁は男性の言い分を認め、労災認定の処分を取り消し、男女で差をつけることは憲法違反(14条で法の下の平等を規定)だとしたものです。
国は「時代の流れ」として控訴を断念した後、改正について検討をしてきて、今年度中にも60年ぶりに見直しがされる模様とのことです。

業務上の災害により病気やけが、後遺障害を負った場合には、本来事業主が賠償責任を負いますが、重い疾病や障害の場合は補償額も莫大になりますから、労使ともにいざというときに困らないように、国が管掌する労働者災害補償保険があり、事業主が全額保険料を負担して国に納めています。(厚労省のHP参照)
 法律があり、細かい部分は施行規則で定められていて、障害の等級もこの規則の中にあります。
一番重い等級が第1級で、以下段階的に14級まであります。当然階級が下がるほど補償額も減り、7級までは年金として、障害の状態が続く限り支給されますが、8級以下は一時金となりますので、1回の支給で終わりです。従って、7級以内になるかならないかで大きな差が出ることになります。
現行では、「女性の外貌に著しい醜状を残すもの」が第7級で直前3ヶ月の平均賃金の131日分が年金として毎年支払われます。
それに対して、「男性の外貌に著しい醜状を残すもの」は第12級で、平均賃金の156日分が一時金として1回支払われて終わりとなり、かなりの差がつけられています。

京都地裁での裁判では、国側は、「国勢調査から接客の仕事に女性の方が多くついていて、外見の障害は女性の方が不利益をこうむる」、「女性の方が外見に高い関心を持っているため、顔の傷による精神的苦痛の程度が大きい」として、規則の合理性を主張しました。
しかし、不特定多数の人と接する仕事は「法務従事者」「音楽家」「理容師」など他にもある、精神的苦痛についても、性別により大きな差が出るとはいえないとして、現行の性別による差は「著しく不合理」だとして違憲としました。

ある弁護士さんのブログによると、交通事故やその他の一般的な損害賠償でも同様のことがあるようです。
今まで、何となくそれでみんな納得していたということは、女性については、男性よりも外形を問題にするということを暗黙のうちに了解していたということでしょうか。
人権意識の高い日弁連あたりがよく今まで黙っていたなあと思いますが、知らず知らずのうちに植えつけられる社会の意識というものに気がつかされたような気がしました。
男女差別というと、通常は女性が不利益をこうむっている場合が多いのですが、この事案は珍しく男性が不利益をこうむっています。
でも、その奥にあるのは、女性を外見の美醜によりその価値を判断しようとするかのような、やはりある種の根深い女性差別意識があるのかなと、考えさせれたニュースでした。

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