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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる15年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

本人が死亡したときの退職金

今、ある会社の退職金規程を見直しています。
退職金の見直しというと、高度経済成長期などにいわば大盤振る舞い的に作った規程が、低成長時代になると払いきれずに見直しをするというパターンが多いのですが、その会社は特にそのような問題はなく、業績も順調なのですが、内部留保の他に適格年金で外部積み立ても行っていたために、その部分を中小企業退職金共済に移行するための規程の見直しです。
それでも、規程を読み込んでみるといくつか気になる点もあり、それらは修正していかなくてはいけないだろうなと思っています。
ひとつは、社員が死亡した場合の退職金の支払について、民法の定めるところに従い遺族に支給するとあるのですが、これは見直した方がよいと私は考えています。

民法に従うということは、法定相続人に支給するということだと思いますが、そもそも退職金が相続財産なのか、死亡を境にして生前に受け取る退職金とは別の観点から受給権者が定められ、受給権者固有の財産なのかというところは争いのあるところです。
退職金には、大きく分けて1.賃金の後払い、2.功労報償、3.退職後の生活保障というような役割があるとする三つの説がありますが、それらが総合的にまざっていると考えるのが自然でしょう。
死亡した場合に当然退職となり、退職金を支払う場合、賃金の後払いと考えれば、生前本人がもらうべきもので相続財産となる。
しかし、退職者の家族も含めて生活保障のためのものと考えれば、家族などの固有の財産と考えられなくもない。
というわけで、退職金について遺族の間で争いが起きる場合があり、会社は誰に支払ったらよいかわからなくなる場合も出てくるのです。
特に、内縁の妻などがいると民法上の相続権がないためややこしくなります。

裁判例などでは、会社に死亡時に誰に支払うか規程がない場合には、相続人全員が受給権者であり、規程できちんと決められている場合には、それが民法上の相続人と異なっていてもその規程に従うという考え方を示しています。
規定では「遺族にこれを支給する」とだけなっていたために、内縁の妻と法定相続人が争った裁判では、相続人ではなく「遺族」となっていたために、死亡した人の収入に専ら依拠していた遺族の生活保障と考えられるとして、内縁の妻に支給するものとしました。
すなわち、民法上の相続とは別の立場で定めたものだと認めたわけです。

そんなわけで、死亡退職金の受け取り人について、労働基準法施行規則の42条から45条を準用する場合も見られます。
これは、死亡当時生計維持関係又は、生計同一の配偶者(事実婚含む)、子、父母、孫、祖父母となり、それらの人がいない場合には生計維持、同一関係のない、配偶者以下同じ、それらもいない場合には、兄妹姉妹(生計維持、同一関係のある人が優先)と細かく決まっています。
こんなこと一つをとっても社内規程を作るのは、細かい目配りが必要で、なかなか面白いし奥が深いものだと思います。

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