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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

危険な業務の拒否は業務命令違反となるか?

今般の原発事故により、自衛隊、警察、消防関係の方々、東電社員、協力会社、原発建設メーカーなど、様々な関係者が献身的な努力を続けて、何とか事故を収束させようと頑張っていらっしゃることについて、心から敬意を表したいと思います。
連休前の深夜にあった東京消防庁のハイパーレスキュー隊の記者会見をはじめとして、実際に現場で作業に携わった方々の声が少しずつ報道され始めています。
今日の朝日新聞にも東電の協力会社社員の方の話が掲載されていました。
その方は50代で5、6号機の使用済み核燃料の冷却システムを回復させる作業をされたそうです。
自宅が原発から20キロ圏内だったためいったん避難しましたが、会社から「行けるか」と電話で打診され、「はじめは、嫌だってだだをこねていたんだけど・・・」
結局、妻にも「頑張ってきて」と背中を押され、「腹をくくるしかない」と気持ちが固まったそうです。
このようなときに、もし、「だだをこね通した」場合は業務命令違反というようなことになるんでしょうか。

業務命令に従うと言う文言は労働基準法のどこにも出てきませんが、労働契約に付随する義務と考えられています。
労働契約というのは、労働者が労働力を提供して使用者がその労働に見合った対価を支払うという「契約」ですが、使用者側が望む労働をしてもらうのが当然ですから、業務命令には従ってもらわなければならないということになります。
この業務命令というのは、かなり強い権利として認められているようで、時間外労働や休日労働、出張、配転、出向なども普通は命令に従います。
就業規則には、これらについて正当な理由なく断ることができないなどと書いて、縛りを強めるのが普通です。
配転などについては、育児・介護休業法26条により育児・介護をする労働者に配慮しなければならないとされるようになり、配転無効の裁判例などもポツポツ出ていますが、通常の業務命令については、よほど契約で特別な取り決めをしていない限り、労働者側は従わなければならないでしょう。

現在勤めている会社の業務が不正競争防止法の可能性があると、以前に勤めていた会社の代理人弁護士から指摘されたために、会社からの業務命令を拒否して営業活動をしなかったため解雇された社員について、解雇権濫用にはあたらないとした判例(大阪地裁判平13.7.27井上金属事件)もあり、業務命令というのは結構強い権利なんだなと思います。

さて、原発に話を戻しますが、これを断った場合に「正当な理由」として認められるのか、そもそも安全配慮義務のある使用者に危険極まりない作業を命ずる「業務命令権」があるのか、
うーん、とうなってしまうような難問です。
しかし、この会社の場合、以前から危険域での作業をすることもあったということですから、ある程度契約をするときに仕事内容を知らされていて、ひとたび不測の事態が起こったときには、危険もあることを覚悟していてほしい旨会社は伝えていたかもしれません。
就業規則上も何かそういう内容が書いてあるかもしれません。
そうだとすると、今般の作業が労働契約の範囲内のものと考えられなくもない。
会社側の安全配慮義務はどうなる?
これについては、個人の利益より公共の福祉が優先されるという憲法における考え方をもってくると説明がつくかなあとも思いますが、正直なところ、私にもよくわかりません。
事故が起きた原発をほったらかすわけにはいかないのですから、誰かがやらなくてはいけない。皆さん、そういう思いでなさっているのでしょう。
こんなときに、法律論など無用なのかもしれないし、そんなこと考えている私はオバカサンなのかもしれません。
報道をみていて、オバカサンの私にも、こういうときに力になるのが奥様の一言らしいというのがよくわかりました。良き伴侶を持つことは幸せなことなのですね。

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