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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

続もうひとつの日本は可能か グローバリズムへの抵抗

「もうひとつの日本は可能だ」(内橋克人著 文春文庫)について、昨日の記事の続きです。


ここでいう「グローバリズム」とは地球上に存在する全てのものを利潤追求のビジネス・チャンスととらえるような思想や行動です。


グローバリズムは世界の富を増やしたか?


全体としては増えたかもしれないが、富の寡占化が進み貧困層が急増しました。世界の大資産家200人の所得合計が1994年から98年のたった4年間で2.4倍に増え、その額は日本の国家予算の2倍以上です。


一方、世界の労働人口30億人のうち約10億人が失業、あるいはそれに近い状態にあるとのことです。(2001年ILO報告)


以上はひとつの例ですが、この本の中では様々な数字を挙げていて、グローバリズムによって人は幸せになれるのかということを考えさせられます。1人のビル・ゲイツの背後に数百万、数千万の非ビル・ゲイツ、反ビル・ゲイツがいるのです。

冷戦時代には自由資本主義経済の対抗軸として社会主義圏がありました。年金、医療、福祉などの社会保障制度は共産主義に対抗するために、資本主義が渋々譲歩したものだとこの本では語られています。そのような対抗軸がなくなり90年代にマネー資本主義が燃え盛ったということです。


それに対するアンチテーゼがイスラム銀行です。イスラムでは人も金も神が与えたものであり、イスラムの金融機関は利子、利息の概念を禁止しています。預金にも利子はつきません。ゼロコストの資金を集め自ら生産設備を調達して起業家に提供します。リスクも成果も事業家と共有するのです。基本にあるのは喜捨の教えで、利が利を生むマネー資本主義とは相容れません。


イスラム銀行は世界20カ国に広まっています。アメリカはそれを根源的な脅威と感じているというのは興味深い指摘でした。


今ある日本を変えるための方策として、本の中では食料(フーズ)、エネルギー、ケア(介護を含む人間関係)の自給(FEC自給圏)を提言しています。それらを地球環境との共生の中で実践するという試みはデンマークなどで既に行われています。日本でもごく一部のことなら地方の小さな範囲で行われています。


私は考えたことがなかったのですが、日本は世界にも類を見ないほど水に恵まれた国だそうです。アメリカの農業を支えるために穀物を輸入に頼っていますが、結果、豊富な水資源を利用することなく捨てていることになる。減反政策により、穀物を作ろうと思えば作れるのに作らないことにより、世界の穀物の値段を上げ水飢饉を加速させているという指摘など、今後の日本の進むべき道筋を考えさせられました。


日本は資源の貧しい国ということになっていますが、豊かな水と肥沃な土地は「農的価値」という可能性があり、これこそが世界に発信すべきことだと書かれています。砂漠化が進み水が足りなくなる世界に向けて、穀物を作ることによって国際貢献できるのです。


他にも淡々と数字や実例を挙げて「もうひとつの日本」は私たちの考え方ひとつによって可能なのだということが語られています。人を救うのはやはり人なのだなという思いを深くしました。


今の日本の状況が何かおかしいと感じている方には、是非読んでいただきたい本だと思います。

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コメント


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今年もよろしくおねがいします。

内橋克人氏は私も好きな経済評論家です。私の中でのその理由を考えてみたのですが、数多くいる評論家の中で彼の話には人間味を感じます。ただ感覚的に好きだというだけで、実際に彼の本を読んでいないので深くコメントすることができません。
今までの勉強していた時間に内橋氏をはじめいろんな本を読んでいこうと思いました。

しろたぬき | URL | 2007年01月10日(Wed)21:28 [EDIT]


こちらこそよろしくお願いします。

しろたぬきさん
おはようございます。
今年もよろしくお願いします。

実は私も今回内橋氏の本は初めて読みました。
彼は時の政府やメディアにおもねることなく、いつも一貫して弱者の立場にたって発信しているように感じます。

この本の中に哲学者久野収氏の言葉として
「少数派の抵抗運動は、これから多数派になる視点を象徴的に先取りする。いのちや生活において頂点同調主義ほど無力なものはない」
また、湯川秀樹氏の言葉として
「真理は常に少数派とともにあり」という言葉がでてきます。内橋氏はゆえに少数派になることを恐れることはないと書いています。

しろたぬきさん、今年もお元気でご活躍ください。

おばさん社労士 | URL | 2007年01月11日(Thu)10:27 [EDIT]