FC2ブログ

おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

客観性が求められる労働時間管理(2)

東日本大震災からちょうど1箇月たった昨日あたりから、しばらくおとなしかった私の携帯の「緊急地震速報」がまた鳴りだしました。
今のところ、当地はそれほどの揺れではありませんが福島第一原発近くが震源とかで、「地球さん、お願い、おとなしくして」と言いたくなります。
さて、地震は「なるようになる」と思うしかなく、昨日の続きを書いてみたいと思います。
昨日の判例では、労働者側が主張したタイムカードに打刻された始業時刻から終業時刻について、全て労働時間と認めたのですが、会社側の反論として、原告労働者側は所定労働時間中に私的行為をいろいろ行っていて、打刻された時間全てが労働時間ではないと主張しています。
実際、裁判でも原告たちが、「野球部の部室にいた」「本を読んだり寝たりしていた」「テレビを見ていた」「入浴していた」「ビールを飲んでいた」等ということが、証拠に基づく事実としてあると認めています。目撃者などがいたのだと思います。

しかし、これらの時間について、日時、時間の長短が特定されていないことから、やはりタイムカードに打刻されている始業時刻から終業時刻までの時間を、原告らの労働時間とすることに変わりはないと判断しています。
被告会社側の主張は「失当である」とまで判決文で言っています。
ぬるい労働時間管理をしていたために痛い目にあったということだと思いますが、所定労働時間中の私的行為について、通常の会社ですと原則禁止または許可制で、服務規律などに規定するはずです。
あまり目に余る場合は注意したり懲戒処分をしたりということになるはずですが、この会社はそのあたりルーズだったようです。
厳格な労働時間管理をしていて、客観的に主張できればまた違ったのかもしれません。
あまり厳格に過ぎると職場の雰囲気が悪くなるということも考えられ、難しい点ではあるのですが。

会社側の主張として、固定残業制の場合、定額の残業代を下回る(残業時間が少なかった)月もあり、2年間の請求期間全体でみればプラスマイナスで未払い賃金はほとんどないとの主張もありました。
地裁では、月給制なのだから、賃金の精算は全期間ではなく毎月ごとにしなくてはいけないとしています。
これについて、会社側が控訴した東京高裁で地裁ではなされなかった判断を出しています。
「固定残業制度は残業しなくても所定の残業手当を受け取ることができるという効力のみを認めるべきものではない。従って、現実に労働した分の割増賃金が固定残業給を超えない月には、労働者側はその差額の返還義務がある」との判断です。
決められた時間を下回っている場合は、余分に賃金を受け取ることになりますから、働いていない分の賃金は、民法上で言えば「不当利得」となりますので、返還する義務が生じるというわけです。

しかし、同時に増減について当然に労働者側の未払い賃金請求権がなくなるわけではなく、会社側が相殺の意思表示をした場合にはじめて消滅するとも言っています。
本件の場合、何もそのような意思表示がないため、会社の主張は採用できないとして斥けています。
逆に言えば、会社側が相殺の意思と方法などを明らかにしておけば、プラスマイナスの相殺ができるのかなと解釈できるような判決内容になっていて、このあたり興味深いところです。

近年の判例では、労働時間管理について使用者側により厳しい判断が下されるようになっています。使用者としては、各労働者の労働時間を厳格に管理するという強い意思を持って臨んでいただきたいと思います。
そして、それらを客観的な記録として残しておくこと、社内でルール化したことは労働者に周知徹底することも大切だと思います。

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する