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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

個人事業主も「労働者」になる場合あり

労働基準法をはじめとする労働法は「労働者の保護」ということが大きな目的の一つです。労働契約も「契約」である以上双方の合意により契約が成立しますが、「雇い雇われ」という関係の中ではどうしても雇われる側が弱くなりがちですから、保護する必要があるわけです。
従って、「労働者であるのかないのか」は時として大きな問題となります。
労働者であれば法律の保護の対象となりますが、労働者でなければ保護の対象とはならないからです。
そのあたり、過去記事にも書きましたが(
参照)、先週12日、最高裁で契約上は個人事業主扱いとなっている人について「労働組合法上の労働者」であると認める判決が出ています。
労働法の考え方である「形式より実態を重視する」という趣旨を踏まえていることがわかります。

事例は、大手住宅設備会社のエンジニアの例で、契約上は独立した個人事業者として契約していますが、実際はマニュアルを渡され制服も支給され、会社が定めたランクにより報酬が定められていたため、実態は労働者であるとしたものです。
この事例は東京地裁では労働者と認めたのに高裁で否定され、最高裁でやはり労働者とされたと報道にあります。
高裁では、契約だということを重視して労働者性を否定したようですが、人件費を節約したい企業側が外注や請負として個人との契約を結び、実際には会社組織の歯車の一員として使用するという例が増えているそうですので、警鐘を鳴らすという意味ではよい判決だったのではないかと思います。

報道によると、最高裁はこのエンジニアが業務の依頼を事実上断れなかったことで、「時間、場所の拘束を受け、独自の営業活動を行う余裕もなかった」として、契約形態よりも実態を重視して判断したようです。
判決は「労働組合法上の労働者」としていますが、そうであれば、団体交渉権、団結権、団体行動権が与えられますから、会社側と労働条件について労働組合を作って交渉することができます。
実際に労働組合を作って団体交渉を求めたことについて、会社側が労働者性を否定して裁判になったようです。この判決により、会社側は団体交渉に応じなければならないでしょう。
労働基準法では労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」(第9条)として、現実に今雇われて働いて賃金をもらっている人という定義をしています。
他方、労働組合法では「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(第3条)としているため、今失業中の人も含まれると考えられています。

同日、やはり最高裁で、オペラ講演に出演するため1年ごとの契約を結んでいた合唱団員についても「労働組合法上の労働者」と判断したと報道されています。こちらは毎年のオーディションにより契約を更新していたということで、労働者というと多少の違和感を感じますが、判決内容がよくわからないので、なんとも言えません。

業務委託や個人請負という契約形態は、建設業界の他、各種講師、エステティシャン、IT技術者、バイク便ドライバー、外勤専門営業職など職種も広がっていて、2008年には100万人を超えているという推計もあるそうです。
企業が人を雇うコストを減らすための方策として契約をする場合もあるらしいので、企業としては実態を問われるということを意識することが必要になってくると思います。
自前でちゃんと雇って教育して立派な社員になってもらった方が、長期的には会社のためになると私は思いますが、そう思わない企業もたくさんあるということなのでしょうか。

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