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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

原発周辺被災地への出向

支部の掲示板にある会員からの投稿がありました。
その方は支部の要請により地元業界団体の今般の震災関連の相談会に赴かれたそうです。原発関連の被災地に職員を応援に出した場合(出向させる)、将来被曝が原因での病気に労災が適用されるのかという、難しい質問があったようです。
原発で作業する人たちは放射能汚染について管理されていて、放射線管理手帳なども配布されていると思いますので、どの程度の放射線を浴びたかある程度把握できるようになっていると思います。しかし、今般のような非常事態のときには、そういう管理もなされていない人も多いかもしれません。
原発内で仕事をしていたことがはっきりしていれば、病気との因果関係の証明が難しいとは思いますが、労災と認められる余地はあるでしょう。しかし、原発の周辺地域は立ち入り禁止区域を除けば、人が入ってもいいということになっているわけですから、政府を全面的に信頼すれば「被曝する」という前提はないはずです。
従って、将来関連がありそうな何らかの病気になったとしても、その因果関係を証明することは極めて難しく、労災申請というのは厳しいのではないかなというのが私の感じたことです。
今後、そういう問題も出てくるのかもしれないと社労士としての興味は感じました。

過去記事にも類似の記事を書きましたが(過去記事)、労働契約における業務命令権というのは、使用者側に与えられている結構強い権利なので、勤務地限定という契約でもしてない限り通常は出向命令を拒否するのは正当な理由がない限り難しいでしょう。
「正当な理由」とは法令にあるものとしては、育児介護休業法26条にある育児・介護に支障をきたすような配転については配慮しなければならないとする使用者に対する縛りです。
これも、近年、ぽつぽつ裁判例が出ていますが、よほど支障をきたすということがない限りは認められないようです。
その他に考えられることとしては、何があるかなと思いますが、そこでの仕事が法令違反になるということがはっきりしているような場合でしょうか。
そういうことはあまり事例としては考えにくいですね。
本人の健康状態などはどうでしょうか。それを言ってしまうと「業務の提供が不完全なとき」というような場合に該当してしまう可能性もあり、本人にとっては不利かなとも思います。

冒頭で書いたようにそこに行くことによって自らの健康に害を及ぼす可能性のある場合はどうなのでしょう。
過去記事にもちょっと書きましたが、使用者側にも安全配慮義務がありますから、従業員を危険にさらす任務につかせることは、契約時に説明をしている場合や、事にあたり本人の同意なくしてはできないと思います。
従って、本人に断られた場合に業務命令違反とすることは難しいのではないかなと思います。
しかし、これはあくまで、使用者側が危険であることを認識している、また、危険を予測することができた場合に問われることになるので、政府が立ち入り禁止とか避難勧告など出していなくて、安全だとしている地域については、政府を信頼する限り危険だという前提がありませんから、業務命令権は生きてくることになるのかなと思います。

社会の様々なところへ影響を及ぼしているいる原発事故、私たちみんなが引き受けるしかないのだと思いますが、とにかく無事に収束してくれることを願うばかりです。

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