昨日試行雇用奨励金について書きましたが、いわゆる助成金の概略について書いてみたいと思います。
社労士の勉強を始めてから、以前は「そんなものがあるのも知らなかった」または、「何となく聞いたことがあるけど詳しく知らなかった」という事柄について、詳しく知るようになりました。(勉強したんだから当たり前ですが)
助成金というのもそのひとつです。
ちょっと前に、某有名私大の教授が研究開発のための助成金を私的に流用したと騒がれました。社労士の守備範囲の助成金はそういう助成金ではなく、雇用保険の三事業に関する助成金です。
現在、雇用保険率は労働の対償として支払われた賃金(給料、各種手当て、ボーナスなど)の1.95%から2.25%のうち(業種によって料率が違う、一般の事業は概ね1.95%)雇用保険の三事業分を除いた額について事業主と従業員が折半で支払っています。(従業員は給料から天引きされる)
三事業分は事業主が全額負担して普通は0.35%、建設業のみ0.45%です。ですから、一般の事業の従業員は賃金の0.8%を雇用保険料として徴収されているはずです。失業した時の手当てや指定講座を受講した時の教育訓練給付、育児休業給付等にまわされます。
三事業とは雇用安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業に分かれ、労働者の雇用の安定や能力開発、福祉の増進などに使われます。助成金の財源はこの三事業の保険料から出ています。いわば事業主が納めた保険料から出ているわけです。
各助成金は、融資でもなんでもなく、条件をクリアーすればただでもらえるお金です。かなり高額なもの(中小企業基盤人材確保助成金は最高700万円です)もあります。社労士の仕事の範疇だということで、社労士の方のホームページなどには必ず載っていますね。私が入手した助成金ガイド(日本法令 知って得する助成金ガイド)には35種類もの助成金について解説されています。
ただでもらえるお金ですから、ものによっては書類の提出などが煩雑で時にはもらえると思っていたのにもらえないというようなトラブルもあるようです。そのために社労士が損害賠償を問われるなどということもあるとのことで、社会保険労務士賠償責任保険 などという保険があります。
これは、助成金に限らず、社労士の業務に関連して顧客に損害を与えた場合に保険で損害額の90%(助成金については70%)がカバーされるという保険です。社労士会の新入会員説明会の時に案内があったので、私も保険料の一番少ないものに加入しました。保険料は1年間で13,560円です。1件あたり1000万円まで填補され、保険期間中3件まで填補が可能です。連合会でとりまとめているようです。
不正受給などの事件もあり、社労士の中でも、仕事として積極的になさる方とあまりやりたくないという方に分かれるようです。
各助成金により条件は違うのですが、最低限、雇用保険に加入していることが条件です。だって、財源が保険料から出ていますから。その他、就業規則の整備、賃金台帳や労働者名簿などの労務管理の関係書類なども整っていることが条件です。他には保険料の滞納がないなども最低限の条件です。
きちんと守るべきことを守り、やるべきことをやっている会社でないとなかなか条件をクリアーするのは難しそうです。逆にちゃんとやっている会社は積極的に申請して、一種の「ごほうび」をもらうということなのでしょうか。
昨日の記事に対していただいたコメントにもありますが、不適切な受給という問題もあるようです。それぞれの助成金にはこうなってほしいというような目標を実現するために、お金を出してでもやってほしいという趣旨があります。その趣旨をよく説明して理解した上で申請していただくということが、社労士に求められることだと思います。私も助成金についてはまだまだ勉強不足なので、いろいろ調べていかなければと思っています。