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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

病気を隠しての就職

5月2日の記事で過去の病歴による採用拒否についての記事を書きました(参照)。
それは、病気が治っていて現在問題がないという前提の話でしたが、では、持病があり、それを隠して就職した場合に、その持病がもとで重大な事故を起こした場合は、会社はどうなるのだろうというような事故が最近ありました。
3月の下旬に集団登校する小学生の列にクレーン車が突っ込み、6人が死亡するという事故がありました。
震災後で福島第一原発もどうなるかわからない時だったため、それほど大きな報道とはなりませんでしたが、普段だったら大変な騒ぎになっただろうと思われる痛ましい事故でした。
クレーン車を運転していたのは20代の男性ですが、てんかんの持病があり医者には運転をしないように言われていたそうです。

会社を出て仕事先に向かう途中の事故ですから業務上の事故であり、自動車損害賠償保障法3条により、会社には運行供用者としての責任が生じます。
同法による運行供用者とは、自動車の運行により利益を得ているもので、事実上自動車の運行を支配、管理して、その運行が社会に害悪をもたらさないように監視、監督すべき立場にあるものということになっていますから、会社=使用者は運行供用者として、損害賠償責任が生じます。
現実には、当然保険にはいっているでしょうから、その保険で賠償はなされるものと思います。私は、クレーン車の保険というのはよくわかりませんが、マイカーのような任意保険で、対人無制限というようなものがあれば、大きな事故でもきちんと対応することができるでしょう。そのようなしっかりした保険に加入していなかった場合は、6人も亡くなる事故についての補償はかなり厳しいものとなるでしょう。

自賠法では、自己(この場合会社)及び運転者が運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は第三者の故意、過失、自動車の構造上の欠陥や機能障害がなかったことを証明したときは、運行供用者として免責されるとあります。
民法では、使用者責任(715条)がありますが、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は、相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、使用者責任が免責されます。
運転者を採用する場合には、会社は採用にあたりそれなりの注意を払わなければならないということになると思います。
この事例のように、本人が全く申告しないと会社が行う健康診断だけでは持病まではわからないでしょうから、会社としてはそれで責任を負わされても困るということになるかもしれません。
私は、採用にあたり過去の病歴などを書面で提出させるということについて、ちょっと批判的な立場ですが、今回の事故により、クレーン車などの特殊な運転に職種を限定して採用する場合などは、それもいたしかたない面があるのかなと思いました。
本人がそのとき正直に書かないとしても、書面があれば、会社としては採用にあたりできる限りの注意はしているといえるわけですから。
また、契約理論からいうと、てんかんの持病があることがわかっていれば採用しなかったともいえるわけで、重大な要素の錯誤にもつながると思います。

ここで、考えなければいけないのは、てんかんがあっても薬で発作を抑え、運転もできて日常生活を支障なく送っている人もたくさいいるということです。
採用する側としては、てんかんに限らず持病があるから即だめというのではなく、その状態によりできる仕事もあることを念頭に、適材適所でどんな人にもチャンスを与えてほしいと思います。

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