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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

複数の事業所で働く場合の時間外手当

労働基準法では、原則1週40時間、1日8時間という労働時間の制限があります。
それ以上働かせる場合には労使協定を締結して届け出なければなりません。
複数の事業所で働く場合には労働時間を通算することになります。
昼間8時間働いた後、飲食店で3時間アルバイトをするというような場合、後からの3時間というのは、時間外労働となりますから、飲食店の店主は割増賃金を負担することになります。
しかし、店主が全くそれを知らずに雇っていた場合に、労働者側から請求されたからと言って割増賃金を支払わなければならないのでしょうか。
私の所属する社労士会の研究会で、そんなシチュエーションの原稿が昨日出され、例によっていろいろな面白い議論となりました。

通常ですと、後から雇う方の雇い主が他の事業所で働いていないか確認して、自分の所で働くことにより1日8時間、1週40時間を超えることがわかっていれば、後から雇った雇い主に割増賃金支払義務が生じます。
しかし、正直に他の会社で働いていると言ったら多分雇ってもらえないだろうと、労働者側がきちんと申告するかどうかわかりません。
また、事業主側にそのような知識が全くなく、最初からそれについて聞かずに雇い、後から労働者に請求された場合に、本当に支払義務があるのか。知らなかったのだから、義務があるとまでは言えないのではないか。
言わなかった労働者が信義に反する契約をしたといえなくもない。

メンバーの一人が知り合いの労基署勤務の人に聞いたら、事業主が全く知らなかった場合は、割増賃金支払命令は出せないだろうとの見解だったそうです。
学説などは定まったものもない。これについての判例もない。
ということは、深読みすれば、そこできっちり規制をかけると掛け持ちで働く労働者が結局は職を失う恐れも出てくるからではないか。
この人を雇う場合に、昼間他で働いているから割高な賃金になるとわかったら雇う事業主はいなくなってしまいますから。
などなど、活発に意見交換がなされました。

冒頭の原稿の結論としては、とりあえず割増賃金支払を求めてきた労働者に対して、昼間の勤務状況を客観的に証明できるタイムカード、出勤簿等の記録、また、労働者側の計算による労働時間数、割増賃金の額と計算式などをきちんと出してもらって、それから検討するのがよいでしょう。というものでした。
なかなか良い結論だと思います。基本的には、後から雇った方の事業主に支払義務があると考えるのが普通ですから。
しかし、他の事業所の勤務状況について、この事業主はわからないわけですし、個人情報ですから教えてもらうことも難しいというわけで、いったん労働者にボールを投げ返して様子をみるというような結論でしょうか。
このようなことにならないように、アルバイトなどを雇うときには他の事業所で働いていないか最初に確認するということが重要です。

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