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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「同一労働同一賃金」への遠い道のり

昨日、春闘に向けて労使のトップ会談、経団連会長と連合の会長の会談が開かれたそうです。


連合会長は「業績好転で企業のタンクに水はたくさんたまっているが、労働側への蛇口は閉じられ、家計は悲鳴を上げている」と指摘して、労働分配率(注1)の上昇や格差是正への取り組みを求めたとのことです。


注1 労働分配率 企業が作り出した所得の中で人件費の占める割合


御手洗経団連会長は「業績は一時金、賞与等に反映させるべき、賃金問題だけでなく能力開発などの全般的な議論をしてほしい」と述べたそうです。続く懇談でも「国際競争を勝ち抜くためには生産性が必要だ」と相変わらずのお題目を唱えていたようです。

そのニュースに関連して、昨晩のNHK午後7時のニュースで街頭インタビューをしていました。台所で夕飯の支度をしながらチラチラテレビを見ていたので、全部をきっちり見たわけではないのですが、非正規雇用者の賃金についてどう思うかという質問のようでした。団塊の世代ぐらいかなと思われるような男性が「非正規雇用者の人は自ら望んでそういう雇用形態を選んでいるのだから、高くする必要はない」と言っていました。


そうであるならば自ら望まずやむを得ず非正規雇用者になっている人は、賃金を考慮すべきなのでしょうか。多分、前述の男性は非正規雇用者の大部分がなれるものなら正規雇用者になりたいと思っているなどとは考えていないのでしょう。この世代の人が若い人たちから「逃げ切り世代」などと呼ばれていることに対して、もう少し思いをはせてほしいと思いました。


連合をはじめとする労働組合も少し前まではくだんの男性と同じような認識だったのではないでしょうか。それともわかっていながら見て見ぬふりだったのか。いずれにしても労働組合が、非正規雇用者と連帯して闘うという話は今まできいたことがありません。


組織率が18%と戦後最低となり、ようやく一部の労組がパート労働者にも加入を呼びかけ、パートの組合組織率は上向いています。(2006年6月現在推定4.3%)今年の春闘でも格差是正を挙げているということは、非正規雇用者の賃金をもう少し何とかしてほしいという要求を出すのでしょうか。


同じレベルの仕事を同じようにしていて著しく賃金が違うというのは、やはりおかしいと思います。パート、アルバイト等の人はボーナスもなく、社宅、住宅手当などの福利厚生面でも正社員とは比べものにならないのですから、せめて、普段の仕事の時給は同一労働、同一賃金ということを実現してほしいと思います。


労働組合も、劣悪な労働条件から全ての労働者を救うために団結したという過去の歴史を鑑み、正規雇用者のみならず非正規雇用者の雇用条件が少しでも良くなるように闘ってほしいと思います。雇用条件の悪い非正規雇用者が増えるということは、結局正規雇用者の首も絞めることになるのですから。


同じ場面のインタビューで、若い女性が「時給1000円ぐらいはほしいです」と語っていました。時給1000円で1日7時間、月20日間働いたとしても月収14万円です。社会保険料(年金、健康保険)、税金等ひけばもっと少ない額です。東京で家賃を払って暮らすにはかなり厳しい額です。それすら現在はもらっていない状態だということなのです。


今回の春闘では非正規雇用者のために「同一労働、同一賃金」を堂々と要求してほしいと思いますが、それは夢のまた夢なのかもしれません。労働組合が一部の労働者の既得権益を守るためだけの組織になってしまったとしたら、存在そのものが危うくなるはずです。多分、そのことにようやく気がついて、今回はパートや派遣労働者の処遇改善なども要求しているのでしょう。今後継続して、全ての非正規雇用者の労働条件改善にも力を尽くしていただきたいと思います。

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コメント


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こんにちは。

非正規雇用社員の問題は重要な項目の一つですね。

経団連会長の発言は賃金だけを見ると正規雇用社員と非正規雇用社員とで勝ち組、負け組の図式が成立してしまう発言ですね。
労働分配率の上昇、それに伴う適正な配分は是非とも実現かつ慎重にして欲しいと思います。

卯年 | URL | 2007年01月16日(Tue)16:59 [EDIT]


組織あっての人・国あっての人ではなく、人がいるから組織がある・人がいるから国があるという考え方が自然なのではないでしょうか。

経営者と労働者、正規雇用者と非正規雇用者という図式ではなく、正規雇用者は同じ労働者として非正規雇用者の事を、経営者は同じ人として労働者の事および社会の事を考える視点も必要ではないでしょうか。誰もがいつでも立場が逆になる可能性があるのですから・・・

対立の構図から優越感に浸っているだけでは未来がありません。社会に対して影響力が大きいポストにいる人はその影響力を自覚し、そうでない人も問題意識を持ち続けることが現状を変える上で必要ではないでしょうか。

しろたぬき | URL | 2007年01月16日(Tue)18:31 [EDIT]


卯年さん、しろたぬきさん
こんばんわ。

お二人とも社会の様々なことに対して問題意識を持って考えていらっしゃるのですね。そんな方々に私のつたないブログを読んでいだいてとてもうれしく思います。

経団連の態度などを見ますと、これから非正規雇用は益々増えるのではないかと思います。今後それに外国人労働者などが加わり、労働者の中にも一種のヒエラルキーが形成されてしまうのかもしれません。(もうそうなりつつあるのかも)そうさせないためにも、しろたぬきさんのおっしゃるように対立の構図からは何も生まれないということを、私たちは自覚すべきだと思います。

人は常にどんな人でも「人間対人間」というところでは、対等なんだということを押さえておきたいと思います。


おばさん社労士 | URL | 2007年01月16日(Tue)21:13 [EDIT]