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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

1箇月単位の変形労働時間制の要件

労働基準法では、1週40時間、1日8時間という労働時間の限度を定めています。
これ以上働いてもらう場合には労使で協定を結び届け出ることになっています。
また、ある一定期間内で平均して1週40時間以内であれば、特定の期間だけ、前述の規定時間を超えてもよいとする変形労働時間制というものがあります。
その一定の期間は1年だったり1箇月だったりするのですが、中小企業で結構多いのが1箇月単位の変形労働時間制です。
1年単位となりますと、必ず労使協定を締結して届け出なければなりませんが、1箇月単位ですと、就業規則又はそれに準ずるもの(10人未満の事業所は就業規則作成の義務がないため)で規定すればできることになっていて、比較的導入が簡単ということがあるためと、隔週土曜日休みにしたい場合などにちょうど適用できるからだと思います。
しかし、これも会社が規定してやっていても、いざ裁判の場に行くと法律的な要件を満たしているかどうか、厳しく問われることになります。

何故、裁判で問題になるかというと、残業代未払い請求などでは、変形労働時間制をとっていることが認められれば、法定時間外労働の時間数が減ることになり、会社側に有利になるからです。

今、必要があって勉強しているある判例でも会社側が1箇月単位の変形労働時間制を主張していますが、裁判では認められていません。(セントラルパーク事件岡山地判平19.3.27労判941-23)
その中に先例として大星ビル管理事件(最判平14.2.28民集56.2.361)が引用されていたのを見て、ちょっとびっくりしました。
大星ビル管理事件といえば、仮眠時間の労働時間性が争われた事件として有名で、当ブログでも過去記事にしたことがあります。(
過去記事参照)

この判決文を見てみると、確かに、一箇月単位の変形労働時間制について言及している箇所があります。
この事件はビル管理会社が舞台ですが、この会社は就業規則上で、1箇月単位の変形労働時間制としていて、警備員たち社員についてビル別、又は月別カレンダーを作って、4週間ないし1箇月を通じ平均して1週38時間以内で就業させるとしていました。
最高裁では、「そのような定めをもって直ちに変形労働時間制を適用する要件が具備されているものと解することは相当ではない」として、会社が決めているからと言っても法律的要件が具備されていなければだめだと言っています。
更に、この会社が作っていたビル別、月別カレンダーにより要件が具備されていたと見る余地もあるが、そのためには、「作成された各書面の内容、作成時期や作成手続等に関する就業規則等の定めなどを明らかにした上で、就業規則等による各週、各日の所定労働時間が特定されていると評価し得るか否かを判断する必要がある」としています。

1箇月単位の変形労働時間制では、各週、各日の労働時間の特定が必要なのですが、就業規則で逐一決められないようなシフト制業務などの場合は、とりあえず、始業、終業時刻、各勤務割の組み合わせの考え方、勤務割表の作成手続、及びその周知方法を定めておき、それに従って各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りるとする通達が出ています。(昭63.3.14基発150)
従って、そのような方法をとってもよいのですが、手続上の決め事をきちんと就業規則等で定め、それにのっとってやること、特定したら、よほどのことがない限りは変えてはいけないというのが、判例などでの考え方です。(JR西日本広島支社事件 広島高裁判平14.6.25労判835.43)
そのあたりも注意が必要なところです。
運用の仕方を誤ると、法的要件が具備されていないとみなされる場合もあるということを認識した上で導入する必要があるでしょう。

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