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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

配転についてのあるお話

正社員として会社に入った場合、それなりの規模の会社ですと配属先の変更はままあることです。
同一の勤務場所内での所属部署の変更が「配置転換」=配転、勤務場所が変わる部署変更を「転勤」と呼びます。
会社には労働契約に付随して人事権があると考えられていますが、大抵の場合、就業規則に「業務の都合により配置転換、異動、出向等を命ずることがある」などという条文があり、これに基づき命令を出して、多くの場合社員はそれに従うわけです。
先日、ある会社からペットの面倒を見るために欠勤の多い社員について、解雇は難しいだろうが、配置転換するのはどうだろうという相談を受けました。
最初、ちょっと笑っちゃいましたが、真面目に考えると意外と奥が深いと思いました。

権利というのはある範囲内で行使する場合には認められますが、その範囲を逸脱してごり押しするような場合は権利の濫用となり、違法と判断されることがあります。
配転命令についてもいくつかの裁判例により、その基準が示されています。
業務の必要性がないのに嫌がらせ的に配置転換するとか、本人がその配転により著しい不利益を受けるというような場合は、会社側の権利の濫用と判断される場合があります。
最近では、育児介護休業法26条により使用者側に育児や介護をしている労働者についての配転についての配慮義務がありますので、これらについてより厳密に判断されるようになっていると思います。
配転についての解釈等については過去記事に書きました(
参照)。

さて、冒頭のペットの面倒を見るための欠勤が多く配置転換という話は、発端はそのペット(猫)が病気で手術をして、その後自宅療養するために1週間の有給休暇を要求されたことから始まります。
しかし、基本的に有給休暇は労働者の権利であり、休暇を何に使おうと会社は文句は言えない。このあたりは私に相談してきた会社もよく理解しています。
しかし、ペットのためというところがはなはだ面白くない。思えば、この社員、別の理由で欠勤、遅刻なども多く回りの社員もカバーするのに大変な思いをしている。今の業務は毎日の継続が要求される業務なので、この際欠勤があっても比較的影響の少ない部署に配転しようかと思い、本人に打診したが今の仕事を覚えたばかりなのでしばらく続けたいと拒否された。どうしましょう。
と、こんな感じなんですね。

現状が明らかに業務に支障がでているのであれば、業務上の必要性ということで会社として人事権を行使することはできると思います。
職種を限定して採用した、賃金が下がるなどの労働条件が悪くなるなどがなければ、本人の同意なく人事権として配転命令は出せます。
しかし、欠勤に正当な理由があると認められると会社側としては厳しくなるかなと思います。
前述の社員の理由ですが、守秘義務もありますしブログでは控えたいと思います。
ペットの世話をするための欠勤が「正当な理由」となるかどうかは判断の分かれるところでしょう。「ペットは家族同然」とする考え方がある一方、「たかが、ペットのことで何事だ」と考える人もいるからです。

労働契約というのは契約関係ですから、お互いに合意を求めることが第一です。今のままでは、顧客や同僚に迷惑がかかり信頼関係を作ることが難しくなり、仕事もうまくいかなくなるのではないか。仕事があってこそペットの面倒も見てやれる。仕事とペットを含めて私生活とのバランスについて考えてほしいというようなことをじっくり話し合うということだと思いますが、話し合いが平行線をたどることも予想されますね。
最初聞いたときは、以前テレビの「サラリーマン・ネオ」で同じような話をやっていて、大笑いしたことを思い出しましたが、結構難しい労務管理の問題だなあと思いました。

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