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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

社内通報による配転の無効

書こうと思っていて日がたってしまいましたが、先週8月31日、東京高裁で社内通報制度を利用して、会社内の不正を告発した社員の配転が無効であるという判決が出ました。
配転無効の判断基準については、以前過去記事にしています。(
参照)
この判決で注目すべき点は、会社の人事権の裁量を広く認めた一審判決を覆して労働者側の逆転勝訴となったことでしょうか。
もともと、会社の人事権というのは労働契約に付随する会社側の裁量権として広く認められることが多いのですが、その権利が濫用された、すなわち会社が裁量権現を超えて人事権を使ったと判断された比較的珍しいケースではないかと思います。
報道によると、2007年6月大手機器メーカーの社員Aさんは、上司が重要な取引先の社員を不当に引き抜こうとしていることを知り、社内のコンプライアンス窓口へ通報しました。

当時Aさんは販売部署のチームリーダーでしたが、以前にも同じ取引先から引き抜きを行い批難された経験があったということもあり、社内窓口に通報したものです。
コンプライアンス窓口担当者は守秘義務違反を行いAさんの名前を上司に連絡しました。
その後Aさんは3回にわたり別の部署へ異動させられ、新入社員用のテキストを使った学習をさせられるなどしたそうです。
名前を聞けばよく知っている大手企業ですが、この事案で報道されていることが真実だとしたら、やっていることは随分ひどいですね。
重要な取引先から引き抜きを行うということ自体、法律がどうのというより「仁義」の問題だろうし、通報された窓口担当者も守秘義務などお構いなしということは、この通報システムは全然機能していないわけですから、この会社は大いに恥ずべきだと思います。
おまけに、正義感から通報した社員を邪魔者扱いして嫌がらせとしか思えないような「仕事」をさせる。
企業の人事権を重くみた一審判決と違い、高裁判決はかなり社会的常識の範囲内で考えられた判決だと思います。

判決後、記者会見したAさんの話によると、現在、数百人いるフロアで同僚と会話することはほとんどないそうです。
「いろんな屈辱と苦難があった」
大きな組織というのはそんなものなのでしょうか。
会社にもの申す人は村八分状態になってしまって、味方してくれる人っていないんですね。
会社に残って裁判をするという茨の道を選択したAさんは、「力を発揮できるセクションに移してほしい」と語っているそうですが、果たして、会社はそれに答えることになるのか。苦難に耐えたAさんは立派な人材だと思いますが、それを生かそうと思うだけの度量がこの会社にあるのかどうかというところでしょうか。

組織の中でその組織のやっていることに対して否定的な意見を言った人に対する処遇は、その組織の度量と品格を表すと私は思います。
残念ながら度量と品格のある組織というのは極めて少ないなというのが、私の今までの自分の経験も含めての感想です。

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