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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

パートにも厚生年金を 社会保障審議会の発表

連休前に新聞報道等で厚生年金をパートに適用すると、年金総額が増えるという社会保障審議会の試算が出たと報じられました。
パートで働く月収10万円の女性が厚生年金に1年入ると、生涯(64歳時点の平均余命まで生きたとして)の年金総額が17万3千円増えるとしています。
月収10万円の人の保険料は約1万6千円ですが、会社と折半負担になりますので本人負担は約8,000円となり、約1万5千円の国民年金保険料を自分で負担するより安い。さらに厚生年金に加入すると基礎年金部分に厚生年金分が上乗せされますから当然受け取る年金額も増える。
そんな当然のことを何を今さら言ってるのかなと思い、「
社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」の発表を見てみました。

すると、報道されていることとはちょっと趣が違っていて、非正規雇用者が増えている現状において、特に第3号被保険者になれないで非正規雇用者となっている人が不利な状況に置かれている、また、第3号制度のために働かない方が有利に働くという社会保険制度は改めた方が結局社会全体のためになるというようなことが書かれていました。以下に、どのようなことが書かれているのかざっとまとめてみました。

発表によると、厚生年金に加入できない非正規雇用者が増えた結果、自営業者などか加入する国民年金のうち39.4%が被用者だそうです。
非正規雇用労働者にとって月額約1万5千円の保険料負担は重く、国民年金のうちの未納者には多くの被用者が含まれています。
先述の第3号被保険者になれない人というのは、主として離婚等で単身又は母子家庭となった女性です。
特に一度退職した女性が正規雇用につくことは難しく、結局非正規雇用とならざるを得ず年金、医療保険等でも不利な状況におかれてしまいます。
女性ばかりではなく、若年世代も就職活動がうまくいかないと長く非正規雇用者になってしまう現状があり、そのような人たちは将来無年金、低年金になることが心配されます。特に、そのような人たちは賃金も低く自助努力により老後に備えることもままならいないと予想されます。

年金ばかりではなく、厚生年金とセットで加入する健康保険においても、国民健康保険に比べ、傷病手当金(疾病で休業した場合の一定額の所得保障)、出産手当金(産前産後休業の一定額の所得保障)があり、健康保険の方が有利となっています。
それらについて、雇用形態により差がないような状況にするべきではないかということが書かれています。
また、会社員等の被扶養配偶者がなる第3号制度のために、要件である年収130万円を超えないようにしたり、所得税の非課税限度額103万円を超えないようにしたりするために、働く時間を調整することが行われています。会社が保険料負担を嫌って労働時間を短くするように要求する場合もあるようです。
これらについて、パート労働者の能力の発揮を妨げ、女性の社会進出が阻害されているとの批判があります。この発表の中でOECD(経済協力開発機構)の「政府は女性の労働力を阻害するような要素を取り除くべき」との勧告も紹介されています。

一方、企業側を見てみると、非正規雇用者を多く使用する企業(サービス業、小売業等)は社会保険料の企業負担が少ないため、企業間においても公平な社会保険料の負担がなされていないと考えられます。
しかし、厚生年金のパートへの適用拡大については、負担が増える企業側から「経営を圧迫する」との反発があります。
また、保険料負担分について商品やサービスの価格に転嫁された場合に売上が落ち、業績が悪化するという懸念もあります。 これらに対する反論として、
1.就業調整のための時間管理をしなくてすむ。
2.パート労働者と正社員の間のあつれきなど、目に見えないコストが減少する。
3.同じ業種に対して等しく適用されるのであれば、特定の事業主だけが不利になることはない。
としています。
中長期的には、短時間労働であるがために職業訓練・教育が充実していなかったパート労働者にも企業が積極的に訓練を行うようになるのではないか、パート労働者の定着率が高まり能力も向上して労働生産性が上がり企業の競争力も向上する可能性がある。
結局、企業のためにもなり社会全体のためにもなりますというようなことが書かれています。

冒頭の月収10万円のパートの人の試算は、第3号被保険者に限れば全く負担が0だった人が8,000円の厚生年金保険料と医療保険(協会けんぽの場合各都道府県により率が違う、埼玉県の場合1000分の94.5、健康保険組合は組合ごとに違う、労使折半負担)約5,000円弱、さらには40歳以上64歳以下の場合介護保険料約750円(保険料率1000分の15.1労使折半)の負担も増えるので、給付が有利になるとはいえそれだけの負担をすることにかなりの抵抗があるのではないかと思います。
しかし、子供が小さいうちはともかくとして、生涯に渡る生き方を考えたときに夫の被扶養者という位置づけで満足できる女性は、案外少ないのではないかと思います。
自分で稼いで払うものはしっかり払って生きていきたいというような思いを持っている方は、意外と多いのではないでしょうか。
現状ではそのような女性たちの思いを受け止めるようなシステムにはなっていない。被扶養者に甘んじる方が得というような制度はまずいでしょということを今般発表しているのだと思います。

社会保険料というのは、個人のためばかりではなく社会全体のためでもあります。
病気になったとき、老後働けなくなったときにある程度の保障が得られるという安心感は大きく、社会全体の安定のために必要です。今の制度は専業主婦が当たり前の時代や正社員で就職するのが当たり前の時代、離婚等が比較的少なかった時代に作られています。
いわば旧世紀の遺物的なところが多いということなのだと思います。
少なくとも、被用者間、企業間の負担の格差は極力減らすようにするのが妥当なのだろうと思います。第3号制度の見直し、雇用保険に合わせて月20時間程度なら社会保険に加入させるなどが行われてもよいのではないかと思いました。

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