
60代後半から場合によっては70歳過ぎても活き活き働ける職場づくりをしている企業を表彰します。
定年後の再雇用を65歳から70歳までに引き上げたり、「高齢者の高齢者による高齢者のための企業組合」の設立や、今まで培った技能、経験などを後進に伝えられるように、「シニアアドバイザー」制度を作り積極的に高齢者雇用を進めている企業などが表彰されるようです。
いずれも、制度を作るだけではなく作業施設をフラットにする、健康診断を年2回行い産業医の面接もするなど働きやすい場の提供や、健康面への配慮なども同時に行なっているようです。
社労士として、高齢者雇用についてのご相談を受けたときに参考になるような事例ばかりです。そのような企業が増えるのはとても素晴らしいことだと思います。
一方で、15歳から24歳までの若年者の完全失業率がこのところ8~9%近くで推移しているのが気になります。
しかも、非正規雇用も多い。高齢者ばかりではなく若者が活き活きと働ける職場作りというのはどうなってるんだろうと思います。もっと言えば高齢者、若者というくくりではなくそこで働く全ての人が活き活きと働ける職場づくりを目指すのが企業としての役割だと思いますが、それは結構難しいことなのでしょうか。
前述の例で言えば、「シニアアドバイザー」制度などはいいなと思いました。
知識、経験、技能を次の世代に伝えていくのは会社として必要ですし、うまく教えることができれば若者の定着率も上がることが期待できます。
ただし、人にものを教えるというのは案外難しいことです。
当たり前なのですが、自分と他人は全く違うということをしっかり押さえておかないと、「こんなこともわからないのか」「自分はもっと一生懸命取り組んだ」などと思ってしまうとうまくいきません。
相手の身になって根気強く付き合っていくことだと思いますが、会社としてもそのあたりのサポートをしっかりしてあげないと教える方も教わる方もストレスになりかねません。
もちろん、表彰企業はそのあたりもうまくいって会社としての成果があるから表彰されるのでしょう。
今、70歳前後で企業で働き続けてきた方は年金も制度改正前で60歳からしっかりもらっているはずですし、介護保険などの制度もできた後に老後を迎えそのあたりの恩恵も受けられます。一方、非正規雇用率が高くなっている20代、30代の若者が70歳になる頃は、高齢になっても活き活き働けて万歳というより、高齢になってもあくせく働かなくては日々の生活にも困るんですよとなっていないか心配です。
社会全体として世代間の公平を確立する制度が早くできないかなと思いますが、私が生きているうちは多分だめかもしれないなどと思ってしまいます。


