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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

発覚すると高くつく未払い残業代

先週、厚生労働省が「平成22年度賃金不払残業(サービス残業)是正の結果のまとめ」を発表しました(参照)
いわゆる未払い残業代の請求ですが、どんどん増加傾向にあります。
背景には裁判例などもいろいろと出てきて労働者側もそれについて意識するようになったということや、「とれるものはとりましょう」と宣伝している弁護士(
過去記事参照)や司法書士などもいて、請求しやすい状況があるということがあるでしょう。
公表されたのは平成22年4月から平成23年3月までの間に是正指導された企業のうち、100万円以上の割増賃金を未払い分として支払った企業数や額、簡単な事例などです。
企業数は1386企業、総額123億2,358万円、労働者一人当たりの平均11万円、1企業の最高支払額は3億9,409億円(旅館業)とありますので、これはかなりの額ですね。

業種別に見ると製造業、商業などが企業数、額ともに多くなっています。商業は何となくそうかなと思いますが、時間管理はしっかりしているのではないかと漠然と思っていた製造業がトップにでてきたのは、私にとってはちょっと意外でした。
多分、製造業の企業数そのものが多いのかなとも思いますが、そのあたりはよくわかりません。
さて、それでは、どんな事例があるのか一例を挙げます。
①所定労働時間終了後にとりあえず先にタイムカードを打刻させて、その後に残業させる。
見かけ上はタイムカードでしっかり労働時間管理をしているように見えます。比較的よくあるケースです。
労基署の調査により最終打刻者の退勤時刻と警備開始時刻に大幅な相違があることがわかり、会社も「実は・・・」と白状した例。(約200人の小売業)
最近は、警備会社と契約していて最後に社員が退社してから警備会社の警備が始まるようなシステムもあるようで、そんなところからばれたというのも面白いなと思いました。
この会社は、管理部門が本社にあり、各店舗に時間管理をさせていたようですが、全労働者にタイムカード打刻後の時間外労働の実績を報告させ不払い分を支払い、全労働者宛文書で不払い残業の存在を前提とした収益などは誤っていることを宣言したそうです。
対策としては、毎日の警備開始時刻を入手して、退勤の遅い店舗を把握して業務内容を点検するなどする。毎月、タイムカードと警備開始時刻の相違を検証する。本社役員による店舗巡回指導を行い、各事業所長に不払い残業を発生させない旨の誓約書を書かせたそうで、社労士として参考になる事例だと思いました。

その他にもいくつか挙がっていますが、会社側の自分たちに非はないとする主張を労基署側は、パソコンのログイン・ログアウトの記録により覆したり、「夜間の張り込み」により時間外労働を行っている労働者がいることをつきとめたなんて事例もあり、今さらながら、警察署と同じを使う労働基準監督だと思い至ったりしました。
観念した会社側の改善策もなるほどと思うことが多く、厚労省の調査にしては珍しく面白く読ませていただきました。

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コメント


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製造業では多い話しですよ

ブログを拝見して何処でもあるなぁと思い書込しました
類似の事例が1部署で発覚して 対象者を解雇しようと会社側が言っていて これから協議を始める所です
質問ですが この対象者が上司と合意の上行った事に対して退職の厳罰は妥当なのでしょうか
因みに会社への損失は全く出ていません

ご教授のほど宜しくお願いします

けんけん | URL | 2011年10月31日(Mon)08:18 [EDIT]


けんけんさん。
コメントありがとうございます。
「対象者」というのは、タイムカード打刻時刻と実際の労働時間にずれを生じさせた人ということでしょうか。
具体的な事情をよくお聞きしないと何ともお答えできないのですが、一般論としては、解雇をするには、
「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」と認められなければできません。(労働契約法第12条)
また、解雇理由については、雇い入れのときに文書で明示する義務が事業主にはあります。(労働基準法第15条施行規則第5条)
就業規則にも明示しなければならない事項です。
社内的にはそれらに照らして妥当かどうかで、判断しますが、その理由自体が社会的倫理に照らしておかしいとか、法律違反をしているとかであれば、解雇無効となります。
解雇というのは、労働者の生活の糧を奪うことですから、きちんと法律的な手続を経て慎重にやっていただくということになると思います。

社員側に何らかの落ち度があった場合でも、よほど、会社の信用を害したとか、会社に著しい損害を与えたと言うことでない限りは、指導を繰り返し、それでもよくならない場合に解雇という話になるのが合法的な手順です。

解雇については、個別具体的な事情をよくお聞きしないと、ずばりこうですとは申し上げられませんので、とりあえず、以上のお返事をさせていただきます。
当ブログにお越しいただきまして、ありがとうございます。

おばさん社労士 | URL | 2011年10月31日(Mon)11:16 [EDIT]