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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

過労死認定企業の公表は有意な情報

急ぎの就業規則の最終案を無事昨日送り、今日は少し気分的に余裕があります。
最初は、就業規則の整備というところから始まり、結局、各種規程が増え、最終的に本則の他に6つも規程を作ることになり、しかも、最初の案を出してからのお客様の検討期間が長いなと思っていたら、急にバタバタと今月中に終わらせたいとのご要望で、私も土、日返上でどうにか終わらせました。
これから、意見書の作成などもあり今月中に届出までいけるかなとちょっと心配です。
さて、そんなこんなで、書きそびれていたことを今日は書きたいと思います。
今月10日に大阪地裁でかなり画期的と思われる行政訴訟の判決がありました。
行政訴訟というのは行政庁の処分に不満があって国民が起こす訴訟ですが、相手は国ですからなかなか壁が厚く訴えた側の国民が勝つことは珍しいと言われます。
そんな壁を打ち破り、訴えた側が勝ったばかりではなく内容も画期的なものです。
社員が過労死した企業名の情報公開について、不開示とした労働局の決定を違法とした裁判です。

原告は「全国過労死を考える家族の会」の代表者Tさんで、夫を過労死で失った後全国で同様な遺族の支援活動などを行っています。
かつて、飲食店の店長だったTさんの夫は人手不足とノルマの厳しさから49歳で自殺に追い込まれました。Tさんは夫の労災認定を受けた後損害賠償訴訟を起こし一審で勝訴した後、控訴審で和解し、社長が謝罪したそうです。
Tさんは活動のために厚生労働省が過労死基準を設けた2002年から08年までの大阪労働局管内の過労死認定された社員のいる企業名の開示を09年3月に情報公開法に基づき請求しました。
労働局が「個人名が特定される恐れがある」として不開示と決定したため、同年11月に提訴したものです。
主な争点は3つです。

1.個人識別の可能性があるか
判決では、企業名だけの開示を求めていて(発生した事業所などの公表は求めていない)一般人が被災労働者を特定することはできないとしました。
2.企業の正当な利益を害するおそれがあるか
企業名が明らかになることにより、取引先から不利な扱いを受け人材確保にも影響が出ると主張した国側に対して、企業評価に直結する情報ではなく、リスクは抽象的可能性に過ぎないとして斥けました。
3.公表されることになると、労災事業に支障をきたすか
公表を恐れて企業が調査などに非協力的になり労災事業に支障をきたすということについても、一般的に想定されることではなく蓋然性(実際に起こるかどうかの確率)は存在しないと判断されています。

判決では、企業名公表を有意な情報と位置づけ、行政庁は開示する義務を負うとしています。
過労死裁判というのはあくまでも個別具体的に様々で、同様な状況にあっても過労死する人、しない人とあり、必ずしも企業側が全面的に悪いかというとそうでもないという例もあります。
しかし、企業にはより良い雇用環境を提供する社会的責任があると思いますので、公表により過労死対策により一層力を尽くす会社が増えるのは、社会にとって非常に有意義だと思います。
冒頭でも書きましたが、一般国民が国に打ち勝つのは容易ではなく、関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。

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