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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

かけもちで働く場合の「時間外労働」

昨今、厳しい経済情勢の中、会社が終わった後や休日にアルバイトをしたり、正社員になれずパートをかけもちしたりする人も増えているようです。
労働基準法では、原則として1日8時間、1週40時間を労働者の労働時間の限度としています。
それ以上、働かせる場合は、すなわち残業させる場合は、どれぐらいの時間残業するのか労使協定を結び届け出なければなりません。
また、賃金面から言うと、1日8時間、1週40時間を超える労働については通常の賃金よりも高い割増賃金を支払うことになっています。
では、二つの異なる事業場で働いたがために、1日8時間、1週40時間を超えてしまった場合、やはり割増賃金は発生するのでしょうか。
そして、それは誰が負担するのでしょうか。
先週、懇意にしている社労士仲間との勉強会でそんなことを勉強しました。

労働基準法38条では「事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規程の適用については通算する」と規定されています。
労基法は戦前の工場法を踏襲している部分もあり、これは、昼間は甲工場で働き、夜は乙工場で働く(事業主は同一)ようなこともあった、かつての労働者の保護を徹底したものです。
通達では、以上の場合の他、同一労働者が別の事業場で働く場合、事業主を異にする事業場で働く場合も同様であるとしています。(昭和23.5.14基発769号)
従って、前述の割増賃金の規定についても適用となります。

労働者Xが、A事業主のもとで8時間働いた後B事業主のもとで2時間働いた場合、通算して10時間働いたことになり、法定労働時間の8時間を超えた2時間については、割増賃金(最低2割5分増し、午後10時~午前5時はさらに2割5分増し)が発生します。
このとき、後から働かせたB事業主が2割5分増しの賃金を払うことになるのでしょうか。
通常は、Xと時間的に後から契約した事業主が負担すると考えられています。
契約するときに他の事業場で働いているか否か確かめることが可能だからです。
ただし、Aで4時間、Bで4時間働く場合にAが後からBで4時間働くことを知りながら残業させた場合は、Aが負担するべきであり、Xを一定時間以上使用することにより、時間外労働をさせることになった事業主が負担するべきとも考えられ、一日のうち後から働かせる使用者でもないし、後から雇用契約を結んだ使用者でもないとも考えられます。

現実には、就業規則で兼業を禁止したり許可制にしたりする場合が多いですから、会社に内緒で働くこともあるでしょう。
後で契約する使用者とすれば、他の事業場で働いているか確認するのがベストですが、労働者側は正直に言うと雇ってもらえないとなれば、言わないということも考えられます。
何故、兼業するのか理由は様々あるのでしょうが、多くの場合は経済的に苦しいからだと想像されます。
かけもちで働くということはそれだけ稼がなければならない理由があるからであり、多くは「お金がない」ということが理由でしょう。
かけもちで働く人は多いのに、法律はそれに追いついていないのが現実。
苦しい立場の労働者を保護するためにはどうしたらよいのか。苦しいのは事業主も同じだよ。と、どのようにすればよいのか、勉強会で結論は出ませんでしたが、貧しさゆえに低賃金で長時間働かなければならないとしたら、産業革命の時代と変わってないじゃないのと考え込んでしまいました。

〔今日の参考文献〕『労働基準法 上』厚生労働省労働基準局編512頁~513頁

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