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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

国旗国家不起立訴訟で裁量権の範囲が示される。

就業規則を作ると必ず制裁(懲戒)についての規程を作ります。
制裁については、就業規則に必ず書かなければいけない事項ではないのですが、就業規則というルールを作って、それを守らない人についてどうするかということを書かないのは片手落ちのような感がありますから、普通はそれらについてもルールを定めます。
制裁について会社のルールを決めるのであれば、それは必ず就業規則に書かなければいけないということになっているので、結局、どんな就業規則にも制裁規程は書かれることになります。
一般的には、厳重注意(譴責、戒告などもあります)、減給、出勤停止、降格、降職、諭旨解雇、懲戒解雇ぐらいでしょうか。
昨日、最高裁は、国旗掲揚、国家斉唱の際に起立しなかったとして東京都教育委員会から処分を受けていた教職員について、「戒告までは裁量権の範囲」、しかし、それよりも重い減給以上の処分について、慎重な考慮が必要という判断を示しました。

「戒告」というと、多分始末書を提出させて(させない場合もある)今後はやめてくださいねという程度だと思いますので、現実には大きな不利益とはなりません。
減給、停職となりますと教職員側のこうむる不利益が大きくなるため、むやみと権限を行使することはできない、相当の理由がある場合のみであるとしたものだと思います。
5人の裁判官のうち1人は戒告処分も裁量権の逸脱に当たるとしたそうですから、使用者側の「裁量権」の範囲に対する考え方は随分差があるのだなと思います。
一般企業の場合もいっしょで、制裁を課す場合には、まず、就業規則に記載されていてそれが労働者に周知されていること、即ち、どういう場合にどういう制裁があるかということが明確にされていて、労働者側もそれを知ることができるようにされていた上で、軽い処分から重い処分へと順を追っていくこと、過去の同様の事例と比べて不公平にならないように、前例から逸脱するような処分はしないことなどが求められます。

そもそも、独立した対等な立場で契約を結んでいる労使の間で、使用者側だけが一方的に懲戒処分ができるような支配従属関係があるような根拠は何か?
というところも諸説あるわけですが、使用者は規律と秩序を必要とする企業の運営者として、固有の懲戒権があるとする説と、労働者が労働契約において具体的に同意を与えている限度でのみ可能とする説があります。
判例では、前者を認めつつ、「規則の定めるところに従い」懲戒処分ができるとして、就業規則上の根拠規定を求めています。
従って、前述のように、就業規則に記載して周知するという条件が必要になるというわけです。

一般的に懲戒処分を行うときには、書面にして就業規則の根拠を示して処分内容を知らせる
という手順を踏みます。
労働者側としては、就業規則をよく読みどういう場合にどういう懲戒処分を受けるか理解しておくことも必要でしょう。

〔本日の参考文献〕菅野和夫著 『労働法補正第七版補正二版』P365~380

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