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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

日本も欧米並みの「仕事給」制度に移行か?

賃金制度の第一人者と言われる楠田丘氏の著書(『賃金とはなにか』中央経済社)によると、戦後、労働省の官僚だった氏が業務命令でアメリカの占領軍に行って賃金制度を学んだ時に、初めて職務給(仕事給)の概念を知ったとあります。
当時の日本では、賃金は、学歴、年齢、勤続年数などその人固有のもの(属人的などという言い方をします)により決めていて、それも結構いい加減だったりして、「この仕事に対してこの賃金」いわゆる職務給という考え方はなかったそうです。
かの地では、異動とか配転がなく仕事を決めて採用するため、会社が変わっても仕事は変らない人が多い。日本では、仕事ではなく、人で採用して会社の中で仕事が変るため、異動のたびに賃金見直しでは困るでしょということで、日本には根付かないだろうと上司にも否定された考え方として書かれています。
雇用システムも日本は終身雇用制で、かの地はそうではない。雇用システムそのものを変えないとなかなか職務給制度はできないと当時はされたのですね。
年末から年初にかけて、日本経団連が「定期昇給制度の見直し」を「経営労働政策委員会報告」に盛り込まれると報道されて、以前読んだ前述の著書を思い出しました。

報道によると、経団連では、仕事、役割に応じて等級を設け、賃金水準の上限と下限を決め仕事、役割が変らない限り、上限で昇給が止まる。
というようなことを提唱しているらしいです。
今までは、当たり前のように定期昇給があり毎年少しずつでも給料が上がっていくのが普通でしたが、グローバル競争の激化や長引くデフレのため、そのような賃金制度では企業がもたなくなりつつあるというのが言い分なのだろうと思われます。
既得権益を持っている労働組合などの反発は必至だと思いますが、既得権のない非正規雇用の労働者にとっては、「同じ仕事なら同じ賃金」というのはむしろいいことかもしれません。

私がいつもひっかかるのは、「労働条件の不利益変更」です。
労働条件を不利益に変更するためには労働者の個別の同意が必要というのが第一なのですが、就業規則で変更する場合には、不利益の度合い、その必要性、変更後の条件の相当性、労働者側との協議の状況など厳しく見た上で認められると、法律ではなっています(労働契約法9条、10条)
そのため、古い就業規則を見直しするときなどに、現代の事情に即して直したいというような条文があっても今までより労働者にとって不利益になも場合には、なかなか手をつけられません。
個別同意をとるほど必要に迫られてはいないけれど、ちょっと直したい、でも、合理的理由を主張できるほどのものではないというときに困るのです。

今般の経団連の方針も簡単に実現できるとは思えません。
不利益変更を主張されるとなかなか難しくなりますので。でも、個人的には年齢、性別、雇用形態など関係なく「同じ仕事なら同じ賃金」というのは大賛成です。 もちろん、年齢がいけば家庭を持ち子供を養うなど経費がかかる人もいますから、それは何らかの手当が必要だとは思いますが、「同じ仕事なら同じ賃金」はすごくすっきりしていると思います。
それにより、今まで、不遇だった人が救われるかもしれない。
経団連の案はそこまで先鋭的なものではないと思いますが、そうなってほしいというのが私見です。

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