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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

業務に関連する「研修」の労働時間制

開業当初より配信してもらっている労組系のメルマガには、労働者からの様々な相談が寄せられ、それについての回答も書かれています。
今日のメルマガには、ちょうど先月社労士仲間と立ち上げている勉強会で勉強した内容に近いことが掲載されていて目につきました。
相談内容は以下のようなものです。
「パソコン教室のインストラクター助手のアルバイトをしているが、面接時に200本近くあるビデオ(1本40分)とネット講座を見てもらい、その時間は無給だと言われた。自宅でやろうとしても持ち出せないものもあり、結局教室でみなければならない。
見ているときに電話があれば応対しなければならず、生徒さんに呼ばれれば答えないわけにはいかない。しかし、会社は、研修は仕事ではない、面接のときにちゃんとはなしてある。と言ってその時間、遅刻、欠席、外出も自由ではないのに休憩時間として勤怠管理している。
業務のための勉強なのだから、この時間は労働時間ではないのか?」というものです。

回答は、遅刻、欠席、外出も自由ではなく、業務に必要なビデオを見ているのだから当然その時間は労働時間です。その時間を把握して賃金を請求してください。「面接のときに説明してある」と会社が言っても法律が優先されますから無効です。
会社が拒絶した場合は、労働基準監督署に申告すれば、監督署が指導を行うはずです。
というもので、私が相談を受けたとしても、ほぼ同内容になるかなと思います。

会社側の、「面接のときに説明していて相手も同意している」という言い分ですが、民法的には「契約自由の原則」があり、当事者同士が納得していれば契約の内容は自由に決められるということを会社は言いたいのでしょう。
しかし、「契約自由の原則」は、あくまでも内容が法律に触れない、社会的倫理に照らして著しく外れていない、いわば「公序良俗違反」でない場合に成立するものです。
「研修」が明らかに「労働時間」であるのなら、労働基準法に照らしてその時間の賃金の全額を支払わなければなりません。
では、労働時間であるのかどうかということですが、会社は休憩時間としているとあります。それは明らかに間違いです。
休憩時間とは労働から完全に解放されて労働者が自由に使える時間をいいます。ただし、職場の秩序を守るために外出について申し出てもらうなどは許容されます。
この事案ですと、遅刻、早退、外出禁止で、全く労働者側の自由がないですし、現実に電話や生徒さんに対応していますから、休憩時間ではなく労働時間とカウントされるべきでしょう。

さて、もし、研修について好きな時間に好きなだけやって、その間は電話や生徒さんにも対応しなくていいですよ。
とした場合はどうでしょうか。
そうなると、研修内容の「業務性」ということが大きく問題になると思います。
先月の勉強会で判例を勉強したときも業務に必要な知識か、そして、それは汎用性があるかということが大きな争点となっていました。
その会社を離れても使えるような汎用性のある知識であれば、それは労働者個人の知識として今後も役立つので、「業務」との線引きが微妙になってくるという考え方です。
勉強した判例も、地裁では労働時間と認められましたが、高裁では逆の判断が出たようです。
会社として、労働時間ではないとしたい場合は、労働時間との線引きをきちんとして、絶対に強要しないこと、人事評価に反映させないことなどもからんできます。実は、研修時間の労働時間制というのは意外と奥が深いのです。
というわけで、当ブログにおいても個別の事案ごとに判断していくしかないでしょうとしか書けません。

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