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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

大手書店のコネ採用騒動

今月の初めごろ、大手有名書店が採用試験受験の条件として、書店で出版した本の著者等の紹介がないと受け付けないというようなことが話題になりました。
公平ではないとの意見があり、有名企業なのにコネ採用とは何事だというメディアの論調だったと思います。
私は、そんなことは思いませんでした。
「うちの会社は全員コネ採用です!」という会社があっても別にいいと思っています。
企業には採用の自由があるというのは、三菱樹脂事件(最判昭48.12.12)から来ているわけですが、この判例は労働問題というより憲法19条の思想、信条の自由、14条の法の下の平等について、学生自治会の委員をして安保条約反対運動をしたことを身上書に記載しなかったため、試用期間終了直前に本採用を拒否されたことについての違憲判断がされた判例です。(興味のある方は過去記事参照)

結果的には違憲とはいえないとされ、憲法は国、公共団体との関係を規律するもの、簡単に言えば、国などが暴走して個人の基本的人権を侵さないようにするための法律だということを確認した上で、会社対労働者というような私人間には適用されないとして、企業が特定の思想、信条ゆえに雇い入れを拒んでも違憲ではないとした判例です。
この判例は、①労働者の思想、信条は人格の中枢をなす。②直接労働能力とは関係がない。③採用拒否は解雇同様労働機会を奪う。④思想・信条の自由、法の下の平等は私人間においても最大限尊重されるべきとして、これは違法だとする意見も多く、当時すこぶる不評だったようです。

しかし、「企業には採用の自由がある」というところが定着して、以後法の規制以外では企業の採用の自由が認められています。
前述の反対意見の学説も、救済方法としては不法行為による損害賠償しかなく、使用者への採用強制は不可能としています。
法による採用規制とは、例えば労基法56条の最低年齢や、一定率以上の障害者雇用を求める(障害者雇用促進法11条)、性別による募集・採用に関する差別禁止(男女雇用機会均等法5条)などがあります。

さて、冒頭の書店の件ですが、厚生労働省では今日、報道発表がありました。
どうやら、書店に直接確認をして、著者の紹介は採用の条件ではなく厳正に筆記試験と面接試験をすること、紹介がなくても採用部門で話を聞き応募の機会の確保を図っていることを確認したとあります。
さらに今後も注視していくそうです。(
参照)
おや、おや、厚労省は年金改革その他で一私企業の採用活動に関わっている暇なんてないはずなのにねえと思いました。

「全員コネ採用」の会社があってもいいと私は書きました。それが望ましいかどうかは別として企業の経営方針は自由ですし、広く人材を求めるよりコストが安くすむ場合もあるでしょう。ただ、どうしても優秀な人材が集まりにくくなるでしょうし、ちょっとぶっ飛んだ天才的な人も来ないだろうなと思います。企業としてそういうリスクを負うのを承知でやっているんでしょうし、別に構わないと思います。法律違反でない限り、国が関与すべきことではないと思います。

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