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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

有期労働契約についての判例法理

先月末、有期労働契約について5年を超えて反復更新したら労働者側の申し出により期間の定めのない契約に転換するなどについて、厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問が出されました。(参照)
6か月の空白期間を置けば期間がリセットされて、通算しないなども含まれています。
最初、私は、5年を超えた場合に雇用期間がない契約にする=正社員にすることだと思いましたし、労働者側、企業側の選択の自由などにも疑問がありました。(
過去記事参照
)
しかし、諮問を見ると、雇用期間の定めをなくすだけで、必ずしも正社員にするというわけではないようです。
これは、労働契約法(平成20年3月より施行)の改正案として出されるようですが、判例法理を条文化したとされる同法で、雇止めの判例法理が条文化されていないことに、私は最初から疑問を感じていました。

雇い止め(期間の定めのある契約で契約更新しないこと)については、裁判例がいろいろとありますが、個別具体的に様々な状況があり一概には言えないということなのかとも思いますが、現在では、以下の状況を総合的に判断して、期間の定めのない契約と同視できるような場合には、解雇権濫用法理が適用されると考えられています。(客観的で合理的な理由があり社会通念上相当でない限り雇止めできない)
①仕事の内容(臨時的か常用的か、正社員との違いがあるか)
②更新の回数、通算期間
③契約期間管理の状況(更新ごとに契約書を取り交わしていたか)
④雇用継続の期待を持たせる言動、制度の有無
⑤他の労働者の更新の状況(同様の労働者の雇止めの状況)

①については、期間を定めるという場合は常識的に考えると、その期間だけ必要な仕事と考えられますから、本来は、臨時的な仕事であるべきだし、もし、正社員と同じような仕事をしているのなら、正社員をもう一人雇う方向で考えるのが自然。
②については、①と考え方の基本はいっしょですが、何回も何年も更新を続けるということはもはや期間の定めなどする必要はないのではないかということですね。
③については、期間ごとに契約書も交わさず、ずるずる更新していたとしたら、これも期間の定めがないのといっしょでしょということです。
④については、「期間の定めは形式で、長く勤めてください」とか、「頑張れば正社員になれます」などという言動があったり、ある程度の年数を超えると正社員にするというような制度がある場合は、労働者側の期待も大きくなるわけですから、期待権の保護という観点がでてきます。
⑤は、同様の労働者の中で一人、二人だけ大した理由もなく雇止めされたとしたら、何か会社が恣意的に行っているのではないかと疑えるというような意味です。

会社側としては、いつまで、今の仕事量があるかわからないので雇用の調整弁として必要とか、正社員より多少能力の劣る人に期間を定めているとか、いろいろ理由はありそうですが、過去の裁判例から以上の5つを総合的に見て判断するということは、判例法理として確立していると思われます。しかし、労働契約法に条文化はされませんでした。
企業側に対する影響の大きさを考慮したのか、まだ、「確立」まではいっていないと判断されたのかは私にはよくわかりません。

私が考えることは、有期雇用契約というのは労使の信頼関係を築く上でどうなんだろうということです。基本的に有期ということは、期間が満了になったら終わるのですから、そこでさようならということです。
人間関係を結ぶ上でずっと長く関わるかもしれない人と、1年、2年で終わる人とでは、自ずと関わり方が違ってくるのが人情ではないのかなと思うのです。
なるべく深い信頼関係を築きたいと思ったら、臨時的な仕事は別として、恒常的な仕事に対して有期雇用をするというのは、ちょっと違うのではないかなと感じます。
人には感情がある、経営者たるもの、このあたりのことはしっかりと理解していただきたいと思います。

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