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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

就業規則における退職手続規定について

昨日は、社労士会で所属する研究会の例会があり午後中勉強に勤しんでまいりました。
例によって、会員の提出した原稿について議論致しましたが、塩素化合物の作業主任者についてとか、退職直前に年休をまとめて取る人に対する対処法、事業場外のみなし労働時間制、就業規則における退職手続規定などバラエティに富む内容でした。
私もアルバイトの休暇についての原稿を提出しましたが、時間切れで議論できませんでした。
この研究会では、3時間があっという間にたつという印象で、自分にとって多分楽しい場なんだろうなと思います。
原稿に対する意見のやりとりで、私は時々少数派といいますか、他の人と主張が違ってしまうことがあります。
昨日は、就業規則における退職規定についての原稿を提出した会員がいて、それについて私とは違う意見の会員が多く、私はすっかり少数派でした。

提出された原稿は、ある事業主からの質問に答える形ですが、質問内容は、就業規則で退職願は少なくとも1か月前までに出して、業務の引継ぎを完全に行わなければいけないとしていたが、関連書籍には「民法627条1項により期間の定めのない雇用の解約の申し入れは2週間前でよいので、そのようにただし書きをした方がよい」とあるのを見て、それでは引継ぎも新規採用も時間が足りない、それって書かなくちゃいけないのでしょうか。
という疑問がQです。
提出した会員は実務経験20年近いベテラン、私の支部の先輩で懇意にしている方ですが、とりあえず皆で議論したいということのようで、回答は会社の実情や職種に合わせて決めてよいでしょう。社員に良識ある行動を求める意味でも2週間のただし書きは不要でしょうという、私にとっては刺激的な内容となっておりました。

退職手続は、就業規則に絶対記載しなければならない事項ですが、特に労働基準法では規定がなく、結局民法に根拠を求めることになります。
というわけで、多くの関連書籍には2週間前までに提出とした方がよいとか、1か月前までにと書いておいてもトラブルになれば、2週間という規定がある以上そちらが優先されるから、書いていても意味はないとか、前述の質問内容のように原則1か月、少なくとも14日前までにと書くなどと書かれています。

民法の規定では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」とあり、退職したいと申し出てから、本来は2週間たてば契約は自動的に解除されると考えることができます。しかし、通常は前述の質問にあるように引継ぎや代替要員確保などを考えると2週間では足りず、会社としてはなるべく早く言ってほしいというのが本音でしょう。
この民法の規定はどちらかと言えば、辞めたいのに辞めさせてもらえない場合の救済措置という趣旨とも解釈できますが、現実には、辞めることを言い出しそびれる労働者も多く、「2週間前」と就業規則に記載することにより、じゃあ、2週間前に言えばいいんだとなり、会社としては迷惑するから書かなくてもよいのではないかという意見が大勢でした。

私の場合、労使の権利・義務関係をはっきりさせるのが就業規則と考えているので、この「2週間」については、当然記載します。
しかし、引継ぎ等を考慮することも必要ですから、
「できる限り30日以上前に退職願いを提出するものとする。30日以上前に提出できない場合は、少なくとも14日前には必ず提出しなければならない」
として、退職日までに完全に引き継ぎをすること、しない場合は懲戒処分もあるということも合わせて規定に盛り込んでいます。
民法の規定について説明すると、今まで作成した中で納得しなかった事業主さんはいなかったし、社内で良い労使関係にあれば、会社に迷惑をかけないように辞めるときも14日前などではなく、もっと早く言うはずという期待を持っています。
それは、現実には非常に甘いということらしく、昨日もその種のトラブルをいろいろ経験したと言った会員もいました。

確かに私はまだまだ経験不足かもしれません。
でも、就業規則について私には理想があり、それを実現できるようにいつも作成しています。
会社の自由裁量で作成できる部分を除き、就業規則の条文の一つ一つについて、法律的根拠(通達、指針、判例法理等も含めて)を示すことができるのがプロであり、法律の根拠がある以上、それを記載しないわけにはいかないと私は思っています。
就業規則に事業主の不利益となることはなるべく書かないとするやり方も確かにあるのかなとは思いますが、私はそのような規則は作りたくありません。
社労士には「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資する」という役割があります。(社会保険労務士法第1条)

労働法全般に流れる精神は「弱い立場の労働者を守る」です。
事業主の立場のみを尊重してそれらをおろそかにすることは、社会保険労務士法から外れる行為だと私は思います。
法令にある労働者に与えられた権利を明記した上で、引継ぎもある、会社も困る、だから早く出してほしいということを理解してもらえるような労使関係を築くように、事業主に促すのが社労士としての役割だと私は思っています。
書かなくても、裁判になれば法律的根拠を持ち出されるわけですし、就業規則にはトラブルを防止するための役割(それが非常に大きいと私は考えています)があるのですから、法律にはっきり規定されていることを書かないですませるなんて、私には考えられないと思った午後のひとときでした。

なお、先述の民法の規定には第2項、3項がありまして、完全月給制、又は年俸制などの人については、賃金締切日に関連した縛りがあり、実際には2週間で辞めるということはまず不可能となっています。

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