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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

転籍における権利の濫用

当地では先週末から桜が満開となり、通勤の道すがらでそこかしこに咲いている桜を見ることができます。
思わず「日本の春は美しいねー」などとつぶやいてしまいます。
そんな桜を屈託なくのんびり眺めることができるのは幸せなことと思いますが、いろいろな心配ごとを抱えながらお花見どころではない人もいるのが世の常です。
先週末に、ある人から相談を受けました。
その人は現在親会社の命令により子会社に出向中で、いずれ親会社に戻るという話だったのが、突然、今いる子会社に転籍を命じられたというのです。労働条件は年収が100万円ぐらい減るなど悪くなります。会社ともめ事は起したくないし、おとなしく従わなければいけないでしょうか。というのがご相談の内容です。

その人自身も親会社の就業規則をこれから確認するので、内容はちょっとよくわからないのですが、就業規則に転籍に従うようにと書いてあったらだめなんでしょうかとも聞かれました。
転籍について労働基準法では規定がありません。
労働契約法では、労働契約は労使の合意により成立するとあり、転籍は今在籍している会社を辞めあらたに別の会社と労働契約を結ぶことですから、基本的には労働者の同意がなければできないということになります。
では、入社の際に転籍命令に従うというような誓約書を出していたり、就業規則に転籍することについて規定があり、社員はそれに従わなければならないというようなことが書かれていたらどうでしょうか。
かつては、厳しく個別同意を求める考え方だったようですが、近年は、入社の際の包括的同意、又は就業規則上の転籍条項があれば必ずしも個別同意は不要とする判例なども出ているようです。

しかし、それはあくまでも権利の濫用とならない範囲でという条件があります。
誓約書や就業規則により、会社側には転籍を命じる権利があり、労働者側にはそれに従う義務があるということになりますが、いくら権利があるからと言って相手方がこうむる不利益など一切お構いなしに行使できるかというと、そうではなく、一般的な妥当性のある許容範囲の中で使ってくださいというのが民法における考え方です。
この相談例では年収が100万円も減り、退職金も減るということですので、「権利の濫用」を主張する余地はあると思います。
相談者は、就業規則に書いてあったらあきらめるしかないのかと思っていたようですが、とりあえずは交渉をして親会社より悪い子会社の賃金規程や退職金規程に縛られない、良い条件の個別契約を結べば、そちらが優先される、それも労働契約法に規定がありますよと教えてあげました。
会社ともめたくはないということですが、交渉の余地は十分あると思うので、冷静に話し合ってみてはどうかというのが私の出した答えです。

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