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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労使関係は契約関係という意識の重要性

昨日、所属する研究会の定例会で私自身は「へえー、そんなこともあるんだ」と思うような事例ですが、実際に経験した人もいるというので、ままある話なのかなという事例の原稿が出されました。
あまり健康状態がよくない社員が結局自ら申し出て自主退職することになり、退職の際にすぐに雇用保険の手当がほしいので、離職理由を「会社都合」扱いとしてほしいと懇願され、もともと休みがちで困った社員だと思っていたため、すんなりやめてくれるならまあいいかと、求められるままに離職票(雇用保険の手続のときに会社が作成して労働者がハローワークに提出する書類)の離職理由の欄を会社都合として出した。しかし、しばらくしてから突然弁護士を介して不当解雇による損害賠償請求の内容証明郵便が届いたという内容の原稿です。

会社都合と言っても離職票には「解雇」をはじめとして希望退職や退職勧奨、人員整理などいろいろな理由を選択するようになっていて、実際に自己都合退職の人に対して会社都合とするのは結構難しいのではないかと思うのですが、自己都合退職の場合と比べていくつかの優遇措置がありますので、労働者側にとっては確かにその方が都合がいいわけです。
まず、3か月の給付制限期間がないことと、年齢や勤続年数により違いますが、給付日数も多くなる場合があります。
また、退職した後に国民健康保険に切りかえた場合、前年の収入により保険料額が決まりますが、自己都合退職にはない優遇措置(所得を100分の30とみなす)が受けられます。

しかし、このようにして多く給付を受けた場合には不正受給ということになり、法律上は受給した額全額とさらにその2倍の額のペナルティを、労働者とともに会社も連帯して返済する義務が生じるため、会社としては非常なリスクを抱えることになります。
また、この事例のように後で不当解雇だと言われた場合に、相手方に有力な証拠を与えてしまうことにもつながりますから、会社としては絶対にしてはいけないことです。

昨日出された原稿は、損害賠償については速やかに金銭交渉に入り早期の解決を図った方がよいとの結論になっていましたが、これについては、私の他、他の会員からも異論が出され、原稿はすんなりOKというわけにはいきませんでした。
私が言いたいのは、内容証明郵便がきたからといって、まずはあわてないことです。
会社として反論できる材料や証拠や事実を客観的に示す資料などがないか、まずはじっくりと検証することが先でしょう。
損害賠償請求をしてきたということですが、法律的な損害賠償の要件をみたしているのかどうかということは案外厳密に考えられますから、労働者側の言い分をよく調べて抗弁できるかどうかを判断することだと思います。

一番感じたのは、労使関係は契約関係であるという意識を事業主さんにはしっかり持っていただきたいということです。
契約関係という認識があれば、契約を解除する(労働者の退職)というのは非常に重要なことなので、その理由を簡単に捻じ曲げるなどということはできないはずです。
また、当該事例では、退職願も受け取らず口頭ですませているという話になったいたので、それも「契約関係」という認識があれば、文書に残すという行動をとるのが普通でしょう。
口頭での契約も合意があれば成立しますが、「証拠」がないといのは当事者にとっては恐いことだと思います。そんなことを感じた新年度最初の定例会、他にも有意義な原稿がいつくも出て、毎度のことながら私にとってはとても勉強になりました。
例会終了後懇親会に行く前に、近くにある私の知っている枝垂桜の名所へメンバーを案内したのですが、1週間前は咲き始めでとても美しかったのに、なんとすっかり葉桜になってしまっていてちょっと残念でした。
ぱっと咲いてぱっと散る、でも後には青々とした若葉があり、それはそれで美しいんじゃないのかなとも思いました。

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