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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

事故の損害全額を労働者に請求するのはおかしい

配信してもらっている労組系のメルマガに、運送会社に勤める人からの相談が掲載されていました。
同僚が事故を起して損害額の全額を賠償させられ、一度には支払えないので分割して給料から天引きされている、一人はバックして建物にぶつかる、もう一人は追突事故で、会社は100%社員の過失だからと全ての損害額を社員から徴収しているが、それってどうなんでしょう。
というものですが、それっておかしいですよ。
「使用者がその事業の執行につきなされた被用者の加害行為により直接被害を被った場合には、使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し前記損害の賠償を請求することができる」(茨城石炭商事事件最判昭51.7.8)という判例があり、その事案では損害額の3分の1を労働者に負担させることを認めています。

労働基準法では、あらかじめ損害賠償額を決める労働契約を禁止しています。賠償額などを定めて働かせると強制労働につながりかねないからです。
しかし、現実に起こった事故等の損害を妥当な範囲で請求することは可能とされます。
前述の判例の考え方のように、労働者に責任があったとしても会社は使用者として労働者を働かせることにより利益を得ているわけですから、当然応分の負担があるはずです。
判例では、総合的に配慮して負担の分担を決めるとしていますが、労働者の勤務態様なども問題としています。

今まで、何回か同様の事故を起している場合と初めての場合とでは当然負担額は変わるでしょうし、過重労働などがあったとしたらそれは使用者側にも責任があることになります。また、事故に備えて保険に入っていれば保険で賠償できるはずです。
労働者側が明らかな故意により事故を起したのではなく過失によるのであれば、使用者と労働者で状況を総合的に考慮して損害を負担する、そして、労働者側の負担は使用者よりは少な目というのが一般的ではないでしょうか。

また、冒頭の例では、給料から天引きしているとのことですが、給料は全額を支払わなければならず、会社が控除できるのは税金、社会保険料など法令できまっているものだけです。それ以外を控除したい場合には労使協定により決めなければなりません。
様々なことで違法又は、違法に近いグレーゾーン的なことをしている会社は多いのだなと思いました。

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