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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

懲戒処分の軽重の判断基準

昨日、ネットでたまたま見たニュースですが、大阪市交通局の職員(市営地下鉄運転手)が回送運転中の信号待ちのときに喫煙したとして、停職1年という処分を6月に受けたらしいのですが、それが重過ぎるとして提訴するそうです。
大阪市交通局では、駅助役の喫煙を原因としたトラブルが4月に発生してから勤務中の喫煙を禁じる職務命令を出していて、いわば職務命令違反に対する懲戒処分とのことでしょうが、1年も停職となっては生活ができないとして提訴に踏み切るらしいとの報道でした。
停職というのは、仕事をさせない=給料が支払われないという処分です。それが1年間というのは確かに重いかなという気がしないでもありません。
通常の就業規則などでは1週間ぐらいの「出勤停止」処分などをよく見かけます。
ただし、交通局というのはまかり間違えば多くの人命が関わってくる職場ですから、職務命令違反については厳格にやらなければいけないという考え方もできます。

労働法的には、まず、懲戒をするには「罪刑法定主義」と同じ考え方で、根拠となる就業規則上の条文が必要であるということがあります。もちろん、労働者側に周知していなければなりません。この交通局の場合も、職務命令ですから、当然該当者に周知徹底していたと思います。
判例での考え方としては、「労働契約上の労務提供義務を負うとともに企業秩序を遵守する義務を負っている」(関西電力事件最判昭58.9.8)として、企業の円滑な運営に支障をきたすおそれがあるなどの場合に企業秩序の維持確保のために、職務遂行に関係のない労働者の行為にも懲戒を課すことができるとしていますから、職務遂行上はなおさら強い範囲で懲戒権があることになります。

懲戒処分について重すぎるとか妥当とかの判断は個別の事情により大きく変わるので、なかなか難しい判断になると思います。
先述の「罪刑法定主義」の他に、「平等取扱の原則」(同じ規定に違反した場合は同一程度の処分とする)、「相当性の原則」(規律違反の種類、程度に照らして相当なもの)かどうかで判断されることになります。
余りにも相当性を逸脱している場合には懲戒権の濫用とされます。
この事例の場合、職務命令のきっかけとなった助役には3か月の停職、それよりも前に回送運転中の喫煙が発覚した運転手については、厳重注意とするなど1年の停職とは大きな開きがあります。同様な事例には同様な処分という平等性に反するようにも見えます。しかし、この処分は職務命令が発令された後なので厳しくしたと当局は説明しているそうです。
職務命令違反に対して、停職1年とするということも明示して周知徹底していたのかが気になるところですが、裁判所がどのような判断を下すか興味のあるところです。

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