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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

ユニオンショップ協定 脱退を認めないのは無効 

2月2日とちょっと古いですが、ユニオンショップ制により労組の脱退を認めないのは公序良俗(注1)に反して無効という最高裁判決がありました。(参照 新聞記事なので時間がたつと消えるかもしれません)


ユニオンショップ協定を結ぶ労組に対して不満を持つ社員が、労組を脱退して社外の労組に加入して脱退を認めるよう提訴した事案の判決です。


注1.公序良俗 民法90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。


社労士試験の勉強で、①ユニオンショップ、②オープンショップ、③クローズドショップというのを習いました。③は労組組合員しか採用しない、②は組合員に関係なく採用し入社後も組合加入は自由、①は採用の時は関係ないが、入社したら必ず組合員になるというものです。


ユニオンショップには脱退の自由などないのだと思っていました。

判例を調べてみるとそうでもないのですね。


三井倉庫港運事件(最高裁判決平成元年12月14日)では、A組合を脱退してB組合に加入した社員について、A組合とのユニオンショップ協定に基き解雇した件で解雇を無効としました。


①労働者には労働組合を選択する自由がある。②ユニオンショップ協定を締結している労組の団結権同様に他の労組の団結権も尊重されるべき。③労働者に対し解雇の威嚇のもとに、特定の労組への加入を強制することは労働者の組合選択の自由、及び他の労組の団結権を侵害する場合は許されない。


以上の理由によりユニオンショップ協定のうち、組合を脱退したり他の労組に加入した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法90条により無効と解すべきであるとしました。それゆえに、ユニオンショップ協定に基く解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものではない」としました。


これに先立ち、昭和61年の東京高裁の判決(日本鋼管鶴見製作所事件12月17日)でも、ユニオンショップ協定が締結されている場合でも、労働者の組合からの脱退の自由は最大限に保障されるべきとした判決があります。


ユニオンショップ協定は労働組合の統一的基盤を確かなものとして、団結権を擁護するための制度です。


しかし、近年の労働組合の変質により、会社と協調的な組合執行部に対して批判的な労働者を除名・解雇して会社から放逐するという、いわばユニオンショップ制の悪用とも言える事例に対してその法的効力の再検討が求められていました。前述の判例は、それについての最高裁の判断だと言われています。今回の判決もその流れを受けたものと思われます。


社内に複数の労組が存在する場合に少数派の労組に加入した場合や、社内の労組に不満を持ち社外の労組に加入した労働者が、ユニオンショップ協定を理由に解雇されるのは不当だとする考え方です。


労働組合は最近組織率も低いということもあり、あまり熱心に勉強していなかったのですが、新聞記事からちょっと気になって勉強してみました。確かにユニオンショップ制で守られている労組が会社べったりで、労働者の意見を代表するという機能を果たしていない場合など、別の労組を作りたいと思う労働者が現れても不思議はないわけです。その場合、ユニオンショップ協定を盾に解雇までいってしまうということも考えられますね。そういう解雇は無効だという最高裁の判断だと思います。


現実のユニオンショップ協定では、「組合員資格を失った者の解雇については労使で協議する」とか「解雇については会社が適当と判断した者に限る」等の規定を設けて、脱退したから即解雇という運営を避ける場合もあるようです。


労働組合についてはウィキペディアの記事(参照)も参考になります。


今日の参考文献 別冊ジュリスト労働判例百選 P174~175、P178~179



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