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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「家族によりかかる企業」労働市場における若者の受難

今日の朝日新聞の朝刊に社会学者本田由紀氏の意見が掲載されていました。


私は、他の方との共著の『「ニート」って言うな』を読んで以来この方の言説には賛同するところが多く、注目している社会学者の1人です。今日の記事でも、、「個々の若者が個々の親に依存しているのではなく、経済システムが家族システムの含み資産、親世代の収入、住居などに依存している」という他の方(居郷至伸氏、私は知らない方です)の論文を参考にしつつ、若者の雇用環境について論じています。一部の抜粋を以下に書いてみます。

労働政策研究・研修機構が都内の18~29歳の若者の働き方について、2001年と06年で比較したところ、正社員の労働時間は増加し、年収は減少している。この間非正社員の時給に変化はなく、年収平均174万円(男性)で、親から独立して家庭を持つのは難しい状況となっている。実際にアルバイト・パート男性の4人に3人は親許に住み、有配偶率は1.5%に過ぎない。


新卒の採用状況がよくなったとはいえ、若者の雇用環境の悪化は明らかである。正社員になれば最大限の時間とエネルギーをそれに見合っているとはいえない処遇で要求される。非正社員になれば、さらに低い賃金と不安定な雇用状況におかれることになる。いずれを選んでも厳しい状況に変わりはない。


若者に対して批判的な論者は、若者が豊かな親世代に依存し(パラサイト)あくせく働かないからだと、説明してきた。しかし、現実は個人単位、家族単位を超えて進行し「マクロな社会システム間の関係性」という観点が必要である。


「若者の甘え」という無根拠な要因を除去すれば、そこには経済システムと家族システムの依存関係という事実が浮かび上がる。すなわち、これほど大量の低賃金労働者が暴動に走りもせず、社会的に存在し得ているのは、彼らを支える家族があるからであり、それゆえ、企業はそこによりかかり、彼らの生活保障に関する責任を放棄することができるのである。そのため、早世や離別により親の援助のない若者は困窮状態に置かれている。


このような状態は長期的に持続可能ではない。今後数十年のうちには親世代はこの社会を去るのだ。


企業が労働者に対して果たすべき責任を完遂させるための強力な枠組みが必要である。それらの実現のために個々人が苦境に耐えるのではなく、協同して怒りの叫びをあげる必要がある。


というような感じで、「家族によりかかる企業」という興味深い見方を提示しています。親世代を考えてみても、仕事に没頭する夫に対して家事、子育てを一手に引き受ける妻という構図があり、「家族によりかかる企業」という関係はあったのではないかと思い至ります。それでも親世代は安定した雇用、賃金、年金を得ることができたのですから、お互い様ということかもしれません。


近年の熟年離婚などを考えると、「企業(夫は企業に一体化している)によりかかられた妻の反乱」と見えなくもないですね。子の世代は企業の「人件費減らし」の直撃を受けて、とても企業と「お互い様」(今風に言えばwin winの関係)の関係にはなっていないですから、何らかの形で不満が噴き出すということも考えられます。


いずれにしても、企業も政治家ももう少し本気で若い世代の雇用について考えるべき時期にあると思います。



 

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