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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

解雇に2000万円かかる?

同じ支部の仲良しの社労士と勉強会で同席したとき、先月支部に講演にきた新進気鋭の弁護士さんの話として、「使用者が不当解雇を申し立てられた時に仮処分で給料を支払わされ、本裁判で負けてまたまた給料を支払わされ二重払いになり、大変な額がかかる。」と言っていたというのです。
その講演の演題は「社労士は労働法をこう使え!」というもので、祝日で予定があり、私は出席しませんでした。
仮処分とは、あくまでも暫定的・仮定的になされるもののはずで、それっておかしくない?後で精算されるはずだよねと前述の社労士に確認しましたが、その弁護士さんがそう言っていたというので、彼女に講演の資料を送ってもらいました。
確かに、二重払いになるということが図表化されて書かれています。
私は、民事訴訟法は選択科目だったため勉強していないし、仮処分は民事保全法でほとんど門外漢なのですが、納得できないなーとネットで検索してみました。

そうしたら、その弁護士さんのその記述に対する批判がたくさん出てくる、出てくる、それだけならまだしも、その弁護士さんの「解雇に2000万円かかる」という記述をそっくりそのまま出典も明らかにせずに自分のHPに掲載している社労士までいて、「あら、あら」と思いました。
この弁護士さんの著書が今年の3月ごろ随分話題になったらしく、問題の記事はやはり専門家から間違った記述として批判を受けたようで、ネットでも記事を書いている当該弁護士さんのその批判に対する弁解?をしているサイトも見つかりました。

それは、実際に仮処分とは関係なく本裁判で解雇当時から裁判で判決が出るまでの間の給料を支払うように判決が出た裁判があったこと、裁判では、仮処分で支払ったものはその後の清算の対象となるとしてはいるが、一度支払ってしまったものを取り返すのは、相手が資力がなかったりすると大変だというようなことが書かれています。
不当利得返還請求の対象とできるが、現実に回収するのは大変だということらしいです。
また、この裁判は特異な例らしく、通常は、仮処分で支払った分を控除して判決が出ないとおかしいというようなことも書かれていました。

支部の研修では、そのあたりのことはちゃんと説明されたのか不明ですが、面白かったのは、私が時々ブログを拝読している労働法の専門家の「〇〇chan」が、今年の3月ごろこの「2000万円かかる」という記述について言及していたことです。
〇〇chanいわく、人生の大事な時期を会社相手の裁判闘争に費やそうという労働者にぶち当たってしまった不運な使用者にとっては、まさに解雇には2000万円かかると言っても、それほど間違いではないかもしれないとしています。
しかし、それは弁護士であることのバイアスがかかっているように思うとして、そういう奇特な労働者の外側に膨大な弁護士の感知しない世界があるというようなことを書いています。

そして、本当に解雇にそんなにお金がかかるのかということについて、労働局のあっせんのデータを示して、4分の1は10万円以下の解決金で決着していて、裁判所でとことん闘う人だけ見ていると見えなくなる日本社会の姿があると結んでいます。
私は、勉強のために弁護士さんの話を聴くことがありますが、彼らと社労士である私とではスタンスが違うということを念頭に聴きます。
彼らは、裁判の場が勝負の場、判例を最大限論拠とします。判例は同じような内容に見えても個別のケースで結論が正反対になることもあり、都合のよい判例をひっぱってくることなど簡単にできます。
社労士は裁判の代理人はできませんから、裁判に行かせないのが勝負、弁護士さんの話は労働法の専門家としてためになることも多いけれど、社労士とはスタンスが違うということを忘れてはいけないのだと思いました。

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