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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

安全衛生の意識の低さは命取り

昨日、元従業員ら16人の労災が認定された大阪市の印刷会社に労働基準監督官による強制捜査が行われたと報道されています。
印刷の過程で使う化学物質が原因で胆管がんが発症したと認定されて労災となったわけですが、この会社は労働安全衛生法で規定されている産業医の選任を怠っていたなど、労働安全衛生法違反の疑いがあるとも報道されています。
労働安全衛生法は労働基準法から分かれて独立した法律で、労働基準法同様罰則もある強行規定です。
労働基準監督官は労働基準法並びに労働安全衛生法違反に対して、警察官同様の職務を行うことができますから、監督官による強制捜査となったのでしょう。
労災が認められた16人のうち、8人がすでに亡くなっているとのことで、大変痛ましい労災事故となりました。

原因となった化学物質は印刷機を洗浄するときに使う化学物質で、以前より発ガン性が指摘されていたようです。揮発性が強いため作業場の換気をよくしなくてはいけないのですが、報道によると、この会社の換気は十分ではなく劣悪だったとされています。
労働安全衛生法では作業環境基準なども定めていますので、それらについての違反の疑いももたれています。
産業医については、50人以上労働者のいる事業場で業種に限らず必ず選任が義務付けられています。
産業医は少なくとも毎月1回作業場を巡視して、作業方法又は衛生状態に有害なおそれのあるときは、必要な措置を講ずる義務があります。
選任義務を怠った場合は、罰金50万円以下と定められていますが、この会社は、50人以上の事業所で義務付けられている衛生管理者の選任もせず、定期健康診断の結果報告(50人以上の事業所に義務づけられている)もしていなかったそうですから、衛生管理に対する意識が低かったようです。

会社には従業員に対して安全で快適な職場環境を提供する義務があり、従業員の健康に配慮する義務もあります。
衛生管理体制はまずは法令を守ることからスタートです。また、有害な化学物質などを扱う場合は、特に従業員の健康状態には配慮しなければならないはずです。会社の意識の低さが時に重大な結果をもたらすことがあるというのが、今般の事例だと思います。
前述のように、法律では50人というのがひとつの線引きとなっていますが、それ以下の人数でも安全配慮義務はあります。
命にかかわるようなことが起きてからでは取り返しがつきません。経営者の方は安全衛生体制をしっかりと構築していただきたいと思います。
最寄の労働基準監督署では、職場の安全衛生についても相談にのってくれるはずです。

労働者は、会社が労働安全衛生法に違反している場合には労働局又は労働基準監督署に申告して是正を求めることができます(労働安全衛生法第97条)使用者は申告したことを理由に解雇その他不利益な取扱をしてはいけないとも規定されています。
会社の安全衛生管理体制がおかしいと思ったら、会社の住所地管轄の労働基準監督署にご相談ください。(
各地の監督署はこちら
なお、厚生労働省では職業性胆管がんについての電話相談を行っています(参照

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