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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

国民皆保険の行方

来週講師をすることになっているセミナーのために、今、社会保険について勉強し直しています。健康保険法の条文を読んだのも随分久しぶりです。
普段、どうしても労働法関係の勉強に偏りがちなので、それはそれでとても良い刺激です。
わが国の医療保険制度は「国民皆保険」と呼ばれ、原則として国民は何らかの公的な医療保険制度に加入しています。
会社など民間企業に勤めている人は社長等役員も含めて健康保険組合又は全国健康保険協会(協会けんぽ)、公務員等は共済組合、75歳以上は後期高齢者医療制度、その他の人は住所地の市区町村の国民健康保険、又は家族が加入している職場の制度の被扶養家族になって、必ずどれかの制度に加入しています(生活保護世帯等除く)
それらは、全て国の法律にのっとり国が関与して税金も投入されて運営されている公的な保険制度であり、「国民皆保険」と言われるゆえんです。
先日来、TPPに加盟するとこの「国民皆保険」がくずれると一部で言われています。

TPPは加盟国が横並びになるので、アメリカなどの民間保険中心の医療制度にならざるを得ないという議論です。
私は、経済というのはどうも興味がもてなくて少しも頭に入らないのであまり勉強しない。勉強しないから益々わからなくなるという状況で、TPPのことも恥ずかしながらよくわかりません。
しかし、「国民皆保険」がくずれるとしたらそれは大変なことだなと思います。
健康保険法ができたのは大正11年です。労働者のための健康保険制度というのはそれだけ歴史があるのですね。
国民健康保険法の公布は昭和33年で、そこで本当の意味での「国民皆保険」が実現したものと思われます。
厚生労働省の発表によると現在、協会けんぽ加入者3,500万人、組合健保3,000万人、国民健康保険3,800万人、後期高齢者医療制度1,500万人、共済組合900万人と発表されています。
ほぼ全国民ですが、「国にお任せ」から自分で保険を選びなさいとなったら随分混乱することになるでしょう。

医療費は総額30兆円を超えていますが、患者が負担する医療費はそのうちの12.7%です。
保険料の占める割合は48.5%ですが、被用者の場合は事業主と折半負担のためそのうちの20.1%が事業主負担です。残りが国や地方で負担する公費です。
本人については保険給付がありますが、事業主=会社にはいわば何の見返りもありません。企業の従業員に対する責任、社会に対する責任ということでの負担なのでしょう。
現在の保険診療では、患者が自由に診療を選ぶことに制約があり、国内未承認の薬を使えない、治療法も決められているなどの不都合があり、規格外の治療をする場合には「自由診療」となり保険がきく診療も保険がきかなくなり、全額自己負担となってしまう。
というようなことから、医療の自由化をすすめてほしいとの議論があるようですが、「国民皆保険」をくずすというのは、相当に慎重にやらないと国民の負担は費用や情報の入手といったことについても増えてしまうでしょう。
誰もが自分の望む医療を受けられる社会が理想だとは思いますが、コストの面でみんなが全く横並びにはできないということを前提にして、一部自由診療なども取り入れることを視野に入れることは可能なのだろうか。
以上は、セミナーでお話することとはほとんど関係ないことです。
相変わらず本題からずれて考えることが多い毎日で、時間がないよーと言っております。

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コメント


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おばさん、こんにちは。
おばさんも購読されている朝日新聞の「中村秀一の現場から考える社会保障」というシリーズですが、
2012年11月16日の「国民皆保険」というタイトルの記事から。

皆保険で医療は安くて当たり前だという錯覚を生んでしまった。医療は受けやすくなったあまり、その大切さへの実感が失われ、感謝の念が後退した…。

私たち自身に「皆保険は自分たちの財産であり、大事に使う」という自覚がなければ、皆保険はいずれ崩壊してしまう…。


私たちにとって当たり前と思いがちなことも、実は当たり前を支えている社会的、財政的などの負担があるんですね。
ちょっと日本語がおかしいかな?

ひますけ | URL | 2013年04月09日(Tue)17:12 [EDIT]


ひますけさん
コメントありがとうございます。

現在の診療体制にぶら下がり、乱診乱療をする一部医師や終末期の過剰診療、高齢者によるクリニックのサロン化など、
まさに、国民が「国民皆保険」を守るという自覚のなさなのでしょうね。

高額療養費のお陰で非常に低額で本来大変な額の診療が受けられる。
それはとてもよいことだと思いますが、国民全体でどこまで負担していくのか、考えなくてはいけない問題がたくさんありますね。

社労士の専門分野とはいえ、問題が大きすぎて私には難しいです。

おばさん社労士 | URL | 2013年04月10日(Wed)10:20 [EDIT]