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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「追い出し部屋」の違法性

大企業では「追い出し部屋」なるものがあって、今年に入ってから厚生労働省も調査をしています。今のところ違法性はないとされているようです。
「追い出し部屋」とは所属部署が縮小したり統廃合したり、人員削減その他社内的な事情などで本当は辞めてほしいと思う人を解雇せずに、「人事異動」させて一部屋に閉じ込めて仕事を与えないことを言うようです。
建前上、何らかの仕事は与えられています。自分で転職先を探すのが仕事とか、研修を行うとかですが、デスクとパソコンはあるので、1日中パソコンに向かっているという状態が多いようです。
ネットで検索すると、その様子が企業名を出して詳細に書かれているサイトなどもあります。
大手企業中心に簡単に解雇できないがための措置という見方が大勢です。
企業には広い人事権がありますから、追い出し部屋に「配属」したというだけでは確かに違法とは断言できないだろうと私も思います。
大手企業が行っていますから、違法にならないように十分気をつけているのでしょう。

では、違法になるとしたらどんな場合でしょうか。
企業側としては本当は解雇したいけれど、不当解雇を争われると厳しいと思い一種の嫌がらせ的なことをして本人から自発的に辞めてもらうように仕向けているともみえます。しかし、それだけで違法と断言するにはかなり難しいかなと思います。
先週「就職より就社」という記事を書きましたが(参照)、職種を限定せず入社する人が多いですから、所属部署の変更については文句を言えない場合が多い。もし、そこで給料が下がるようなことがあっても、本人が同意すれば労働条件は変えることが可能ですから、会社としてはそのあたりの手続もちゃんと行っているのでしょう。

これは一種の「退職勧奨」ともいえますが、それが違法とされるのは男女間での年齢格差など明確な法令違反の場合だけで、会社の経営上の必要性などは比較的広く認められています。
一歩進んで、それが「退職強要」にあたると判断されると、違法性が強くなります。判断基準としては、繰り返してなされる、執拗で半強制的なもの(下関商業高校事件最判昭55.7.10)、衆人環視の下で侮辱的な表現で退職強要された(東京女子醫科大学事件東京地判平15.7.15)などです。他にも配転も検討しなかった、降格・減給・配置換えの甘受などが社会的許容の限度を越えたなどとされて違法となったケースがあります。

「追い出し部屋」はグレーゾーンではあると思いますが、違法とまで断定できるかというと、私の聞いた限りの材料では難しいです。長期間にわたり続いて本人の健康に悪影響を及ぼしたというようなことが出てくると、安全配慮義務違反の疑いも出てくるかなとは思いますし、もともとが「嫌がらせ」なのですから、違法の匂いはするんですが・・・。
「だから、解雇規制を緩めないと企業は困るんです」と言いたいのかなとも思いますが、せっかくの人材、活かすことができないものか、もったいないと思います。

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